更新日: 2020.09.02 その他年金
読み流していませんか?ねんきん定期便で見ておいたほうがいいこと
年齢によって形式が異なり(圧着ハガキか封書)、それぞれ年代によって(50歳未満か50歳以上)記載される内容も異なります。また、一定の手続きをとることで、その内容を電子版ねんきん定期便としてウェブサイトで確認することも可能です。
ここでは、このような『ねんきん定期便』について、先に述べた形式の違い、記載内容の違いをはじめとして、何が記載されていて、何に留意するのかについてまとめてみます。
執筆者:堀内教夫(ほりうち のりお)
封書と圧着ハガキの2種類があります
『ねんきん定期便』の形式は2種類あります。通常年(節目の年以外)は圧着ハガキで、節目の年には封書で送られてきます。節目の年とは、35歳、45歳、59歳で、これらの年齢の年には封書の年金定期便が送付され、それ以外の年齢の年にはハガキで送られてきます。
節目の年には、これまでに支払った公的年金の保険料の納付記録が“すべて”記載され、それ以外の通常の年には直近“1年分”の記録が記載されます。
そこに記載されているものが、現在、日本年金機構で記録されている公的年金の保険料の納付実績です。したがって、『ねんきん定期便』届いた際には、必ず開封して、まず保険料の納付実績が正しく記録されているかどうかを確認しておく必要があります。
ポイントは、意図して未納とした期間がないのに(全期間納付しているはずなのに)、未納とされている期間がないかということと、厚生年金に加入している場合は、年金額算出の基礎となる標準報酬月額が自分の給与水準と比較して違和感がないかです。
確認した結果、漏れや誤りが発見された場合には、『年金記録回答票』を作成して、調査を依頼することとなります。用紙は節目の年に封書で送られる定期便には同封されています(日本年金機構のホームページからもダウンロード可能です)。
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50歳未満と50歳以上では、記載されている年金見込額の計算方法が異なります
『ねんきん定期便』には、これまでの保険料の納付実績をベースとして将来の年金の見込み額も記載されていますが、50歳未満の方に送られるものと、50歳以上の方に送られるものでは、その位置づけが大きく異なります。
50歳未満の方には、“これまでの加入実績に応じた年金額”として、これまでに納付した実績をベースに(これから納付する予定のものを計算にいれずに)年金額が記載されています。
例えば、40歳の人についていえば、20歳からの20年間に支払った保険料を基に計算していますので、当然、今後、保険料を納付し続けた場合に受け取れる場合の金額とは、大きく乖離(かいり)しています。
ですから、年金受給見込み額が少ないと悲観しすぎることはありません。きちんと納付し続ければ、年を追うごとにその金額は増えていきます。
一方で、50歳以上の人は“老齢年金の種類と見込み額(年額)”が開示されます。これは、現状の収入がそのまま60歳まで継続するという前提で、保険料を納付し続けた場合に受け取れる年金見込み額です。
あくまで、現状の年収がベースになりますので、厚生年金部分については、早期リタイアや諸事情により収入が下がっていくと、保険料納付額が減少しますので、年金見込額も少なくなっていきます。
年収が増えれば少し増えますし、下がれば少し減少、現状維持なら変わらずというイメージです。こちらの数字は、ある程度の蓋然性が高いものですので、老後の資金計画の参考となるものです。
電子版ねんきん定期便について
ねんきん定期便に記載されている“お客様のアクセスキー”と基礎年金番号(年金手帳に記載)を使用すれば、「ねんきんネット」に登録することができ、そこから電子版のねんきん定期便の閲覧及びPDFファイルのダウンロードができるようになります。
また、「ねんきんネット」では、将来の年金見込み額について、一定の条件を入力することで試算もできます。なお、アクセスキーを使用できる期間は3カ月間なので注意が必要です。
繰り下げについて
『ねんきん定期便』では、受給開始を70歳まで繰り下げると42%年金額が増える、受給開始を遅らせること(繰り下げ)で年金額が増大すると、大きな図をつけて説明しています。受給を1カ月遅らせると年金額が0.7%増えると定められているので、5年間だと60(カ月)×0.7%で42%増えるという事実を図示したものです。
注意したいのは、確かに受給開始した際にもらえる年金の金額は増えるのですが、年金として受領する総額が確実に42%増えるわけではないことです。繰り延べた期間の5年間にもらえた年金をもらっていないので、その分を取り戻すまで長生きしないと余分にもらえることにはなりません。繰り上げ、繰り下げについては、別稿で詳細を記載しますので、そちらをご参照ください。
執筆者:堀内教夫