離婚の厳しい現実。増える年金の平均月額は約3万円
配信日: 2020.09.10
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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離婚時の年金分割の方法は2種類
離婚時の年金分割の方法には「合意分割」と「3号分割」があります。
・合意分割
平成19年4月以降に離婚または事実婚を解消して、2人からの請求により年金を分割する方法です。分割の割合(上限2分の1)は2人の話し合いで決めます。合意できない場合は裁判手続きによって決まった割合となります。
・3号分割
平成20年5月1日以後に離婚または事実婚を解消し、平成20年4月以降に、会社員の妻である専業主婦の方など国民年金第3号被保険者がある場合に、その方からの請求により年金を分割する方法です。分割の割合は、2分の1ずつとなります。
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年金分割の手続きの流れの概要
・合意分割
年金を分割するには、「年金分割のための情報提供請求書」に年金手帳、戸籍謄本などの必要書類を添えてお近くの年金事務所に提出し、「年金分割のための情報提供通知書」という通知書を入手する必要があります。2人一緒でも1人でも請求できます。また、離婚の前でも後でも行うことができます。
情報提供通知書を入手したら、今度は年金をどれくらいの割合にするのかという按分割合を決めなければなりません。按分割合が合意できたら、年金分割の手続きとなります。年金分割の請求は離婚後、お互い、またはその一方が年金事務所に対し、「標準報酬改定請求書」に按分割合を明らかにできる書類を添付して行います。
なお、話し合いで合意できなかったときは、一方が家庭裁判所に調停などの裁判手続きを申し立てることで、按分割合を定めることができます。
・3号分割
3号分割のみ請求する場合は、2人の合意は必要なく、年金手帳と双方の戸籍謄本を持っていけば情報提供通知書などを入手する必要はなく、自動的に按分割合が2分の1ずつで年金分割を請求できます。
年金分割でいくらもらえる?
分割年金を受ける人(主に女性)が受け取る年金は、「厚生年金」かつ「婚姻期間中」の部分です。平成30年度厚生年金・国民年金事業の概況(令和元年12月厚生労働省年金局)によると、年金分割された年金額の平均月額は約3万円となっています。これは平均ですので、婚姻期間の短い若い人の場合はわずかしかないといったケースもあります。
年金分割の留意点
(1)年金分割は「婚姻期間中」の「厚生年金(保険料納付記録)」を分割する仕組みです。婚姻期間中に厚生年金の保険料納付記録がなければ年金分割を受けられません。
(2)合意分割は、情報通知書を受け按分割合を定めたとしても、年金事務所に年金分割の請求手続きをしないと標準報酬は変更されません。
(3)年金分割は、婚姻期間中の2人の厚生年金(保険料納付記録)合計額を基礎として計算します。年金額の低い人(主に妻)が年金額の多い人(主に夫)の2分の1を受け取れるわけではありません。
(4)年金分割の手続きは、原則として離婚等をした日の翌日から2年を経過すると、請求できなくなります。また、すでに離婚等が成立し、相手方が死亡した日から起算して1カ月を経過すると請求できなくなります。
(5)年金分割を受けた人が実際に受給できるのは、自分の年金を受給できるとき(原則65歳)からです。年金分割を受け、即、受給できるわけではありません。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。