更新日: 2020.11.02 その他年金
自分の年金額ってどうやって計算すればいいの?受給額の計算方法とは
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
年金は大きく分けて2種類
老後の年金は大きく分けて「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2種類があります。
年金の被保険者については、その人の働き方で区分されており、自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者、会社員や公務員の第2号被保険者、会社員・公務員に扶養されている人の第3号被保険者に分かれています。
老齢基礎年金は、基本的に国民全員が対象となる年金で、第1号から第3号までの全ての被保険者が対象となります。一方、老齢厚生年金は、会社員や公務員の第2号被保険者が対象です。
年金を受給するには受給資格を満たす必要があり、保険料を納めた納付済み期間と免除された期間の合計が10年(120月)以上必要です。また、老齢厚生年金を受給するには、上記に加えて厚生年金の被保険者期間が1ヶ月以上ある必要があります。
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老齢基礎年金の年金額
老齢基礎年金の年金額はどのように計算されるのでしょうか。
老齢基礎年金の年金額は年間78万1700円(令和2年度)です。これは、加入可能年数である最大40年加入した場合のケースです。年金額は、物価や賃金の変動率などを参考にして毎年度改定されます。
また、加入している年数が30年であれば4分の3、10年であれば4分の1の金額になります。もし納付免除を受けている月があると、免除の種類(全額免除、4分の3免除、2分の1免除、4分の1免除)に応じて年金額が減額されます。
老齢厚生年金の年金額
次に、老齢厚生年金の年金額について紹介します。
老齢厚生年金の年金額は、報酬比例年金額と経過的加算、加給年金額の合計です。
報酬比例年金額は、厚生年金保険に加入していた期間の給与や賞与の金額を基に計算され、年金額の大部分を占めます。経過的加算は特別支給の老齢厚生年金を受給していた人、加給年金額は生計を維持している配偶者や18歳未満の子がいる人が対象となります。
報酬比例年金額については、本来水準と従前額保障という2種類の計算式がありますが、基本となる本来水準の計算式を紹介します。
まず、平成15年3月まで厚生年金に加入していた期間について計算します。
平均標準報酬月額×(7.125/1000)×被保険者期間の月数・・・(1)
次に平成15年4月以後に厚生年金に加入していた期間について計算します。
平均標準報酬額×(5.481/1000)×被保険者期間の月数・・・(2)
(1)と(2)を合計すると、老齢厚生年金の年金額が計算できます。
平均標準報酬月額は平成15年3月までの各月の標準報酬月額の平均額、平均標準報酬額は平成15年4月以後の各月の標準報酬月額と標準賞与額の平均額です。
標準報酬月額は毎月の給与に相当する金額ですが、上限が設定されています(令和2年9月分では65万円が上限)。標準賞与額はボーナスに相当する金額ですが、こちらも1ヶ月あたり150万円の上限が設定されています。
なお、昭和21年4月1日生まれ以前の人は、生年月日により7.125や5.481といった乗率が異なります。
例として、平成15年4月以後に20歳になった人が、20歳から60歳までの40年間、会社員として平均標準報酬額30万円の場合を考えます。老齢基礎年金は約78万円、老齢厚生年金は約79万円となり、合計約157万円となります。
「ねんきん定期便」なども参考に
年金額はその人の加入していた状況により異なります。老齢厚生年金については計算方法が複雑なので難しく感じるかもしれません。
そこで、「ねんきん定期便」を参考にしましょう。ねんきん定期便は毎年の誕生月に送付され、そこには現在までの加入状況が記載されています。現在までの加入期間を把握することができますので、受給資格の10年を満たしているかどうかを確認できます。
さらに、50歳以上の人は将来の年金額の見込みが記載されています。現在の収入状況が60歳まで続いた場合の65歳以降の見込額です。一方、50歳未満の人は、今後の働き方や収入状況によって受け取れる年金額が大きく変わる可能性があるため、これまでの加入状況から計算した年金額が計算されています。
50歳未満の人は、今後の納付で増える年金額を計算すれば合計の年金額を見積もることができるでしょう。今後の納付で増える年金額について、60歳までのケースは次のように計算します。
まず、現在から60歳までの今後の被保険者期間の月数を計算します。次に、老齢基礎年金については、480月で約78万円ですので、今後の被保険者期間の月数で按分します。
老齢厚生年金については、先に示した「平成15年4月以後に厚生年金に加入していた期間の計算式」を使って、今後の被保険者期間の年金額を計算します。このとき、平均標準報酬額は現時点の金額を参考にするとよいでしょう。
「ねんきんネット」を利用すれば、今後の収入や期間を設定して、将来の年金の見込額をシミュレーションすることができます。自分の年金額を知るためにも、ねんきん定期便やねんきんネットを活用するとよいでしょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 ねんきんネット
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員