更新日: 2020.02.03 その他年金

年金保険料の未納期間が多いと、老齢基礎年金の額はどれくらい減るの?

年金保険料の未納期間が多いと、老齢基礎年金の額はどれくらい減るの?
自営業など国民年金第1号被保険者は毎月国民年金保険料(2019年度月額:1万6410円、2020年度月額:1万6540円)を納付する義務があります。
 
保険料の未納期間が多いと老齢基礎年金の受給にどのように影響するのでしょうか。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

老齢基礎年金の受給資格期間と国民年金保険料の納付期限

老齢基礎年金を受給するためには受給資格期間が10年(120月)以上必要です。受給資格期間としては保険料納付済期間、保険料免除期間があり、他に合算対象期間(いわゆるカラ期間)も含まれます。
 
国民年金保険料を納付すると保険料納付済期間となりますが、国民年金保険料には納付期限があり、各月とも翌月末日までです。そこから2年以内であれば時効が到来していないためまだ納付ができますが、2年を過ぎると時効によって納付できなくなり、未納期間として確定します。
 

 

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未納が多いと老齢基礎年金が少なくなったり受給できなくなったりする!

65歳からの老齢基礎年金は過去の保険料納付実績に応じて計算されます(【図表2】)。20歳から60歳までの480月(40年)、国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を納付した場合については、老齢基礎年金は年間78万100円(2019年度の場合)ですが、免除期間や未納期間があるとその分減額される仕組みとなっています。
 
国民年金保険料の未納期間がある場合、その月の老齢基礎年金は0円で計算されます。
 

 
もし、480月のうち、330月の保険料の納付があり、未納期間が150月であれば、老齢基礎年金は年間53万6319円(78万100円×330月/480月)になり、満額(2019年度:78万100円)より大幅に少なくなります。
 
また、未納期間は10年以上必要とされる受給資格期間にも算入されないため、未納期間があまりにも多く、結果、10年の受給資格期間がない場合は、老齢基礎年金そのものが受け取れません。老齢基礎年金としての必要な受給資格期間がないと、厚生年金加入期間がある場合の老齢厚生年金も同様に受給できません。
 

保険料が納められない場合は免除・猶予の申請を

各月ともその翌月が納付期限の保険料について、経済的に納められない場合は免除や猶予を受けると良いでしょう。免除・猶予を受けたことによる保険料免除期間は未納期間と異なり受給資格期間に算入されます。
 
法定免除の場合は法律上当然に免除されますが、申請免除(全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除)や猶予(学生納付特例、50歳未満の納付猶予)は申請手続きをした上で免除・猶予として認められます。学生納付特例と50歳未満の納付猶予の場合は老齢基礎年金の額には反映されませんが、その他の保険料免除となった期間は老齢基礎年金の額にも反映がされます(【図表2】)。
 
例えば、60月保険料を納付し、残りの420月が未納だった場合は、受給資格期間が10年(120月)ないため、年金は受給できませんが、もし、その420月について申請によって全額免除を受ければ、合計480月(60月+420月)の受給資格期間があることになり、まず老齢基礎年金自体は受給できます。
 
そして、420月のうち、もし、2009年3月以前の全額免除期間が300月、2009年4月以降の全額免除期間が120月であった場合、全額免除を受けて420月分の保険料をまったく納めていなくても、一部が年金額に反映がされ、合計で年間35万7546円(60月の納付分と免除期間300月×3分の1および120月×2分の1が年金額に反映)の老齢基礎年金が受けらます(【図表2】)。
 
免除・猶予の申請が必要であるのに行わず、そのまま保険料を納めず放置していると未納扱いとなります。将来の老齢基礎年金の受給に影響しますので、免除・猶予の対象となる人はその手続きを行いましょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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