更新日: 2020.11.13 その他年金
あなたの年金手帳は何色? 色によって何がどう違うの?
本記事では、年金手帳とは何かという説明から、人によって色が異なる理由、さらには、色によっては注意しておかなければいけない点についても詳しく解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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目次
そもそも年金手帳とは?
年金手帳とは、冒頭に挙げた公的年金制度に加入した際に「日本年金機構」から発行されるものです。したがって、年金手帳は「公的制度にきちんと加入しています」ということを証明するものであるといえます。
年金手帳には1人ずつ異なる10桁の基礎年金番号が記載されており、その番号を企業への入社や転職、退職などで加入制度を変更する際や、加入状況を調べたり、年金を受給する際の手続きに使用したりします。
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年金手帳の色が異なる原因は「支給された年代」
では、年金手帳はなぜ人によって表紙の色が異なっているのでしょうか。実は、色の違いは、公的年金制度に加入した年代の違いによって生じています。
例えば、公的年金制度に加入した年代が1960年10月から1974年10月の場合は「茶色」、1974年11月から1996年12月までに加入した場合は「オレンジ」、そして1997年1月以降に加入した場合は「青色」です。
もちろん、加入した年代別以外にも、手帳の表紙の色の変更により、手帳の内容についても改正が行われています。その詳細について、以下で詳しく説明します。
オレンジ色の表紙の年金手帳
オレンジ色の表紙の年金手帳は、1954年から1976年にかけて生まれた方やそれ以前の世代の方が持っている年金手帳で、公的年金制度の加入時期が1974年11月から1996年12月までに、被保険者資格の取得手続きを行った方が該当します。
このオレンジ色の表紙の年金手帳においては、国民年金と厚生年金の記号および番号について統一されたものが使用されているのが特徴です。
オレンジ色の表紙の年金手帳を持っていれば、厚生年金に加入していた人が会社を辞めて自営業者になる際に、国民年金への加入手続きを行う場合であっても、新たに別の手帳を発行せずに手続きを行うことができるというメリットがあります。
青色の表紙の年金手帳
青色の表紙の年金手帳は、1997年1月から発行されており、現在まで20代以上の方に支給されています。この青色の表紙の年金手帳においては、従来の記入事項に基礎年金番号が加わり、すべての公的年金に対応できるように改正されています。
ちなみに、2009年以前の青色の年金手帳の発行機関は社会保険庁、それ以降は日本年金機構と、発行機関が異なっていることも特徴の1つです。
実はオレンジ色、青色以外にも茶色の年金手帳がある
加入時期が古いものですので、目にしたことのある方はあまりいらっしゃらないかもしれませんが、茶色の表紙の年金手帳も存在します。
この茶色の表紙の年金手帳は「国民年金手帳」と呼ばれ、その後国民年金手帳と厚生年金手帳が統一されるまで使用されていたものです。旧厚生省が発行したもので、80代以上の年金受給者が保有しているので、見かけることもあるかもしれません。
オレンジ色の表紙の年金手帳の注意点
オレンジ色の表紙の年金手帳を保有している場合に、実は注意しておかなければならないことがあります。
制度の加入時期から換算すると、オレンジ色の表紙の年金手帳を保有しているのは40代半ばから60代半ばであると想定されます。
つまり、これから年金の受給が開始される年齢の方ということになるわけですが、このオレンジ色の表紙の年金手帳を保有している場合、加入記録に誤りや漏れが多く見られるのです。これがオレンジ色の表紙の年金手帳の注意点です。
オレンジ色の表紙の年金手帳を保有している人が公的年金制度に加入した時期は、国民年金番号や厚生年金番号が記載されており、それを10桁の基礎年金番号に統一する際に加入者情報が不明の年金番号が多くあることが判明しました。
例えば、「転職の回数が多い」「結婚後に退職し、名前が変わった」もしくは「離婚して、再婚した」などのケースに当てはまる人は、もともとの公的年金の番号が分からなくなっている可能性があります。そのような場合に多く見られるのが、年金加入記録の漏れです。
具体的には、「加入期間が正確ではない(空白期間がある)」や「保険料や年金額の起算の基礎となる標準報酬額の誤り」などです。
年金加入記録の漏れや誤りがないか確認する方法
まず「基礎年金番号通知書を持っているかどうか」、そして「ねんきん定期便がきちんと届いているかどうか」を確認しましょう。これらがきちんと届いているのであれば、10桁の基礎年金番号が付与されていることになります。
ただし、その基礎年金番号の最初の2桁が「99」である場合は要注意です。
この最初の2桁が「99」となっている場合は、基礎年金番号が複数ある可能性があることを意味しています。なぜならば、「99」で始まる基礎年金番号は、あくまで「仮の基礎年金番号」であり、正式な基礎年金番号ではないからです。
もし、ご自身の年金基礎番号が「99」から始まっているのであれば、お住まいの管轄の年金事務所にて正式な基礎年金番号を発行してもらう必要があります。
基礎年金番号を確認する方法は?
ねんきん定期便は、毎年ハガキで送付されます。そして、35歳、45歳、59歳の人に対しては、加入記録の詳細が記載された封書が届きます。
ただ、ねんきん定期便には基本的に基礎年金番号が表示されていません(平成28年度「ねんきん定期便」(平成28年4月から平成29年3月発送分)についてのみ記載(※))。
その代わりに照会番号が記載されており、それを基に年金事務所等に問い合わせて確認することになります。年金事務所では、基礎年金番号の確認以外に年金相談もできますので、必要に応じて利用されるとよいでしょう。
それ以外にも「ねんきんネット」を利用して、基礎年金番号を確認する方法があります。その際には、ねんきん定期便に記載されている照会番号と、同じくねんきん定期便に記載されているアクセスキーを用いてインターネット上で確認するかたちになります。
ねんきん定期便に基礎年金番号が記載されていないのは、第3者が本人になりすまして「ねんきんネット」を利用する危険性が高くなるためです。もし、正確な基礎年金番号が判明したとしても、その取り扱いには十分に注意し、第3者に知られないような対策をとることを忘れないようにしてください。
年金加入記録に漏れや誤りがあった場合の対処法は?
上に述べた方法で基礎年金番号が分かれば、年金事務所や「ねんきんネット」などで加入記録を確認できます。その中で「加入していたはずなのに未加入になっている」などの誤りが発見された場合は、速やかに年金事務所にて、訂正の手続きをしてもらいましょう。
その際には、本人確認書類や、年金手帳、加入していたはずの時期の給与明細などの資料を持参すると手続きがスムーズに行えます。
まとめ
現在の日本においては、「国民皆年金制度」という名のもとに、すべての人が何らかの年金制度に加入します。そして時代とともに改正が行われ、年金手帳の表紙の色も変わっています。その改正の中でオレンジ色の表紙の年金手帳に変わった際、基礎年金番号がうまく付与されないという問題が発生し、それが現在にも影響を及ぼしています。
せっかく納めた年金保険料が、将来受け取る年金に反映されないという事態を引き起こさないように、オレンジ色の表紙の年金手帳を保有している方は、今一度基礎年金番号を確認するようにしてください。
(※)日本年金機構「自分の基礎年金番号の確認方法を教えてください。」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員