変わる年金。75歳まで働くために必要なこととは? 在職老齢年金のこと

配信日: 2021.01.08

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変わる年金。75歳まで働くために必要なこととは? 在職老齢年金のこと
2020年5月に年金改正法案が成立し、年金の受給開始年齢が柔軟になりました。
 
そこで、75歳まで働く場合に影響が出る年金の受給開始時期の拡大をはじめ、在職老齢年金、その他の改正ポイントについて解説します。
伏見昌樹

執筆者:伏見昌樹(ふしみ まさき)

ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後公認会計士試験や簿記検定試験にチャレンジし、公認会計士試験第二次試験短答式試験に合格や日本商工会議所主催簿記検定1級に合格する。その後、一般企業の経理や県税事務所に勤務する。なお、ファイナンシャル・プランナーとして、2級ファイナンシャル・プランニング技能士・AFP合格した後、伏見FP事務所を設立し代表に就き今日に至る。

受給開始時期の選択肢の拡大

今回の年金改正法案では、年金の受給開始時期の範囲が拡大されました。
 
具体的には、現在は60歳から70歳までの間で受給開始時期を決めることができますが、2022年4月1日に施行される年金制度改正法では60歳から75歳までに変更されます。この変更によって年金の受給を繰り下げる時期を延長することができ、繰り下げた月数に0.7%掛けた分、より多くの年金がもらえるようになります(75歳まで繰り下げた場合は84%増額)。
 
なお、この改正は「75歳まで年金がもらえない」のではなく、「75歳までの間で好きなタイミングで年金がもらえる」という改正になります。
 

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60歳前半の在職老齢年金の改正点

これまで、60歳前半の方で在職老齢年金によって年金の一部または全額が支給停止される場合があり、60歳後半の方と比べて賃金+年金(老齢厚生年金)の合計額が少ない月28万円超で、在職老齢年金が適用されてきました。
 
そこで、2022年4月1施行の年金制度改正法では下図のように変更され、65歳以上の方と統一されることになりました。

※筆者作成
 
この改正によって、従来のように60歳~64歳までの方は受け取れる年金が減額されないために働き方を抑制していたところが改善されると期待されています。
 

65歳以上の在職定時改定の導入

現在、働いている間に支払った保険料が年金額に反映されるのは被保険者資格を失ったとき、すなわち、退職時または70歳到達時のみでした。そこで2022年4月1日施行の年金制度改正法では、在職中から年金額の改定を行い、年金額を毎年増額させる制度(在職定時改定)が導入されることになりました。
 
今回の改正は、65歳から70歳までのいわゆるシルバー世代に対し、就労を継続したことの効果を年金額に早期に反映することで、就労意欲を喚起しようとするものといえます。
 

厚生年金保険の適用拡充

新しい年金制度改正法では、厚生年金保険が適用される方の段階的な拡大も実施されます。これまでは厚生年金保険が適用される事業所規模として常時500人超の従業員数を条件としていましたが、2022年10月1日から常時100人超、2024年10月1日からは常時50人超になります。
 
また、現在の「1年以上の雇用見込み」という雇用期間の条件に関しても、2022年10月1日からは「2ヶ月超の雇用見込み」に変更されます。今後は小規模の事業所や短期間の雇用であっても、厚生年金保険の適用を受けられる可能性が広がります。
 

まとめ

医療や介護が充実している昨今は、人生100年時代ともいわれるようになりました。これに伴い、働き方に対する考え方を変える必要に迫られていると思います。
 
今回紹介した年金制度の改正は、こうした社会の要請に応えるための制度改革だといえます。年金制度の改正ポイントを知ることで、将来の働き方の参考にしていただければ幸いです。
 
執筆者:伏見昌樹
ファイナンシャル・プランナー
 

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