遺族年金がもらえないケース。未納や離婚した場合はどうなる?
配信日: 2021.01.20
そこで、未納や離婚した場合にどのような取り扱いになるのか解説します。
執筆者:伏見昌樹(ふしみ まさき)
ファイナンシャル・プランナー
大学卒業後公認会計士試験や簿記検定試験にチャレンジし、公認会計士試験第二次試験短答式試験に合格や日本商工会議所主催簿記検定1級に合格する。その後、一般企業の経理や県税事務所に勤務する。なお、ファイナンシャル・プランナーとして、2級ファイナンシャル・プランニング技能士・AFP合格した後、伏見FP事務所を設立し代表に就き今日に至る。
遺族年金の種類と受給要件
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。そこで、これらの支給要件について解説します。
遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金の受給要件は、次のとおりです。
被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
※死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること。
ただし、令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
遺族厚生年金の受給要件
遺族厚生年金の受給要件は、次のとおりです。
(1)被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。
※遺族基礎年金と同様、死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。
ただし、令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
(2)老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
(3)1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
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経済的理由で国民年金が納付できない場合の制度
国民年金保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上でないと受給資格がないことになります。仮に、何らかの理由で保険料を滞納した場合、2年以内であれば後から納付することができます。
しかし、これを過ぎると「未納」となり、遺族基礎年金や遺族厚生年金の受給額が減少することになります。
また、国民年金を納めることが経済的に困難な場合は、「免除制度」や「納付猶予制度」があります。この制度を使うと、受給資格期間に算入することはできますが、10年を上限に追納しないと、遺族基礎年金や遺族厚生年金の受取額が少なくなります。
離婚した場合の受給条件
離婚した場合は、原則遺族基礎年金や遺族厚生年金を受給することはできません。しかし、次の要件を満たす場合受給資格を与えられる可能性があります。
(1)当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
(2)当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。
また、DV被害のため、夫婦の共同生活を送ることが困難な場合は、通常の年金請求のほか、以下の書類を日本年金機構に提出することで、遺族年金を受給できる場合があります。
(1)DV被害者であることが確認できる証明書
(2)配偶者と住民票上の住所が異なった日が確認できる住民票など
(3)DV被害などに関する申し立て
まとめ
遺族基礎年金や遺族厚生年金は、子や配偶者への「遺産」ともいうべきものです。今回紹介した各種受給要件があることを理解し、遺族基礎年金や遺族厚生年金の受給漏れがないようにしましょう。
特に、遺族基礎年金は、基礎年金の受給額や税金の控除にも影響します。くれぐれも納付漏れがないよう注意したいものです。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
執筆者:伏見昌樹
ファイナンシャル・プランナー