どうやって受け取るべき? 企業年金の受け取り方

配信日: 2021.01.24

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どうやって受け取るべき? 企業年金の受け取り方
企業年金とは、会社や個人事業主が従業員の退職後の生活安定を目的として行う企業内の私的年金制度です。もともと、「退職金」を分割して受け取るところから始まったといわれており、一時金として受け取ることもできるのが一般的です。
 
では、一時金受取と年金受取では、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットについて考えます。
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
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雑所得か一時所得か

退職金も企業年金も企業の「退職給付制度」です。しかし、受け取り方の違いにより税金の取り扱いが変わります。
 
受け取るときの税金は以下になります。

(1)一時金で受け取る場合

退職金の受け取りと同様に扱われます。

退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額:
勤続20年以下=40万円×勤続年数
勤続20年超=800万円+70万円×(勤続年数-20年)

例)勤続36年で退職金1500万円と企業年金を一時金で1000万円受け取った場合
退職所得控除額=800万円+70万円×16年=1920万円
退職所得=(2500万円-1920万円)×1/2=290万円

(2)年金で受け取る場合

国民年金や厚生年金と同様に扱われます。
 
原則として、雑所得は収入金額から経費を引いた額に課税されますが、年金には「公的年金等控除額」が適用されます(企業年金は公的年金等です)。
 

出典:国税庁 「No.1600 公的年金等の課税関係」

 
年金の受取額が65歳未満で60万円、65歳以上で110万円を超えた額が雑所得となり課税対象になります。収入が年金のみであれば、この雑所得が基礎控除(住民税43万円、所得税48万円)を超えた部分に課税されることになります。
 
また、所得金額が多くなると国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の保険料が高くなることもありますので併せて検討が必要です。
 

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税金を抑える受け取り方

控除額を考えて年金を受け取ることで、課税額を抑えることができます。

(1)退職所得控除額までを一括で受け取る。
(2)控除額を超えた部分は、60歳から65歳までに60万円/年(他に所得が無い場合103万円)を超えないように受け取る。
(3)それでも全額を受け取りきれない場合は、公的年金の受け取りを繰り下げて65歳以降110万円/年(他に所得が無い場合153万円)を超えないように受け取る。

 
しかし、退職金や年金が多い方は控除額以内にするのは難しいですし、他の収入や住宅ローンの残額など事情により有利な受け取り方は人それぞれです。
 
また、年金が少なくて生活が苦しくなっては本末転倒です。会社の企業年金担当者に試算などをしてもらい、シミュレーションするとよいでしょう。
 

税金以外のポイント

(1)一時金にするメリット

・ローンの返済に充てる
住宅ローンや教育ローンを一括返済や繰り上げ償還して、金利を減らすことができます。自宅の抵当権を削除すると、心情的にもすっきりします。
 
・夢をかなえる
キャンピングカーを買って自由に旅をするなど、現役時代にはできなかったお金のかかる夢を実現する資金に使えます。高齢になると体力的にできなくなることも多いので、最後のチャンスになるかもしれません。

(2)年金で受け取るメリット

・管理、運用をお任せ
企業年金は管理と運用をお任せで一定の利回りが約束されています(確定拠出年金は自分で運用)、受取総額は、年金受取の方が多くなるのが通常です。
 
・計画的に使う
定期的に指定口座に振り込まれるので、生活費として計画的に使うことができます。
 
一時金受取がNGな人

総合的に判断

企業年金の受け取り方には、一時金・年金・併用とさまざまなパターンが考えられます。税金や金利に加えて住宅ローンの残りや家族の状況、自分の性格や価値観なども勘案して検討しなければなりません。
 
大きな金額の判断ですので、年金や税金、ローンに詳しい専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
 
出典
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士
 

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