更新日: 2021.02.19 国民年金
失業中の年金はどうなる? 納付できない場合の対処法は?
そうはいっても国民年金保険料を納付することが困難な場合もあります。そんなとき、どうしたら良いのでしょうか。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
保険料免除・納付猶予制度を利用する
まずは基本理解として、国民年金の保険料免除・納付猶予制度について解説します。
保険料免除制度
「保険料免除制度」とは、以下のような状況になり経済的に保険料納付が困難と認められる場合に、保険料が免除されるという制度です。
・本人、世帯主、配偶者の前年所得(申請月によっては前々年所得)が一定以下になった
・失業した
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。保険料を免除された場合、その期間は受給資格期間に算入されますが、受け取れる年金額は全納した場合に比べて、免除された割合に応じて減額されます。具体的には以下のようになります。
(1)全額免除された期間の年金額:保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1
(2)4分の3免除された期間の年金額:保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5
(3)半額免除された期間の年金額:保険料を全額納付した場合の年金額の8分の6
(4)4分の1免除された期間の年金額:保険料を全額納付した場合の年金額の8分の7
保険料納付猶予制度
「保険料納付猶予制度」とは、本人、配偶者の前年所得(申請月によっては前々年所得)が一定以下になった20歳から50歳未満の方が、保険料の納付を猶予されるという制度です。
保険料を猶予された場合、その期間は受給資格期間に算入されますが、受け取れる年金額への加算はありませんので、納付していないときと同じ扱いになります。あくまで猶予されているだけですので、年金額を増やすためには追納(後から納付すること)が必要となります。
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失業等による特例免除
失業により保険料の納付が困難となった場合、「失業等による特例免除」が利用できます。この制度は以下のような「失業等」に該当する場合、特例免除を申請できるというものです。
(1)退職(失業等)により納付が困難
(2)新型コロナウイルス感染症の影響により納付が困難
失業は、「(1)退職(失業等)により納付が困難」に該当しますので、この点について以下で解説します。
対象者・免除期間・申請期間
対象者は、本人、世帯主、配偶者のうち退職(失業等)した人です。
保険料の納付が免除される期間は、失業等のあった月の前月から翌々年6月までです。
免除などの申請ができる期間は、申請書が受理された月から 2 年1ヶ月前(すでに保険料が納付済の月を除く)から、申請書が受理された月の翌年の6月分(申請したのが1月から6月であればその年の6月分)までです。
ただし、1枚の申請書で申請ができるのは7月から翌年の6月までの12ヶ月間だけですので、この期間より長い期間について免除などの申請をする場合は、複数の申請書を提出する必要があります。
手続き
提出する書類は、以下のとおりです。
(1)国民年金保険料免除・納付猶予申請書
(2)失業していることを確認できる公的機関の証明の写し(雇用保険受給資格者証の写し、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書など)
書類は、以下のところへ持参か郵送により提出します。
(1)住所地の市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口
(2)年金事務所
提出期限は特に無いようですが、早めの提出が良いでしょう。先述のとおり、申請書が受理された月から 2 年1ヶ月前(すでに保険料が納付済の月を除く)まではさかのぼって申請をすることはできます。しかし、万が一に備え、早めに申請しておく方が賢明です。
まとめ
失業した場合、その方は国民年金第1号被保険者となります。一般に、国民年金保険料を納付することが困難になった場合には、「保険料免除制度」「保険料納付猶予制度」を利用できます。失業の場合は、「失業等による特例免除」が利用できます。
保険料の納付が免除される期間は、翌々年の6月までです。申請は過去にさかのぼってすることもできます。
手続きとしては、(1)国民年金保険料免除・納付猶予申請書、(2)失業していることを確認できる公的機関の証明の写しを年金事務所などへ提出します。提出方法は持参、郵送のどちらでも構いません。提出期限は特にありませんが、早い方が良いでしょう。
失業をした場合にあっても、これらの手続きを行うことは後々に大きく影響してきますので、面倒くさがらずに手続きをしておくべきかと思います。
出典
日本年金機構 「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
日本年金機構 「国民年金保険料の納付が困難な方へ 国民年金保険料の免除・納付猶予申請が可能です!」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー