確定申告にそなえて「医療費控除」をおさらいしておこう!
配信日: 2019.11.30
目次
医療費控除とは?
医療費控除とは、その年に支払った医療費が、保険金などで補てんされる金額プラス一定額(基本的に10万円、総所得金額等が200万円以下であればその5%)を超えるときに、医療費控除として「所得控除」を受けることができるものです。
医療費控除の対象は?
「医療費控除の対象」となるのは、自分または生計を一にする配偶者や家族のために、1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費です。
「医療費控除の対象となる医療費」は、基本的に治療や診察のための費用で、予防や美容、健康増進を目的とするものは含まれません。詳しくは、国税庁のホームページ(※1)をご覧ください。なお、還付を受けるためには確定申告が必要です。
医療費控除額は?
医療費控除額は、次の計算式にそって計算します。
「支払った医療費」―「保険金などで補てんされる金額」―「10万円(総所得金額等が200万円以下であればその5%)」=医療費控除額
また、医療費控除額の上限は200万円となっています。
医療費控除を受けるための流れ
医療費控除は年末調整では対応できませんので、以下の3つの工程を踏み、確定申告(または電子申告)する必要があります。
・1年間(1月1日~12月31日)の医療費の領収書、医療費のお知らせを保管する。
医療機関までの交通費(基本的には公的機関)も医療費控除の対象になりますので、領収証などはとっておきましょう。
・医療費控除の明細書を作成する。
保管していた領収証等をもとに、明細書を作成します。平成29年度より領収書の添付の必要はなくなりましたが、領収書は自宅で5年間保管する必要があります。
・確定申告をする。
確定申告書の医療費控除の欄に医療費控除の明細書の金額を記入します。なお、医療費控除の明細書に、健康保険組合から発行される「医療費のお知らせ」などを添付することで、簡略化することも可能です。
基本的には、毎年2月16日から3月15日まで(休日の関係などで変更あり)の期間に確定申告を行う必要があります。
医療費控除の明細書の書き方について知りたい!
書き方は簡単です。まず、医療費控除の明細書を入手しましょう。国税庁の、医療費控除の明細書のぺージ(※2)を印刷するか、申告時に現場で入手する方法があります。医療費控除の明細書には、1・2・3の3つの欄があります。
1 医療費通知に関する事項(医療費通知を添付する場合)
2 医療費(上記1以外)の明細
3 控除額の計算
領収書をもとに申請する場合は、2と3の欄を記入します。
2の欄
(1)医療を受けた方の氏名、(2)病院・薬局などの支払先の名称、(3)医療費の区分、(4)支払った医療費、(5)生命保険や社会保険などで補てんされる金額を記入していきます。
3の欄
支払った医療費の金額、保険金などで補てんされる金額、所得金額の合計額を記入し、医療費控除額を計算して記入しましょう。
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進および疾病の予防として一定の取り組みを行っている方が受けられる、医療費控除の特例です(※3)。
自分または生計を一にする配偶者や家族のために、1年間で1万2000円以上の対象医薬品(市販薬)を購入した場合に適用されます。上限は8万8000円となっており、還付を受けるには領収書が必要です。
確定申告時の注意点
・確定申告時には、源泉徴収票の原本、社会保険料・一般の保険などの控除証明書、マイナンバーカード、銀行口座、印鑑を持参してください。
・確定申告時には「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」の選択制になりますので、両方が所得税還付の対象になる場合には、シミュレーションをしてみてどちらかメリットがある方を選択することになります。
・マイナンバーの記入と、本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。またマイナンバーカードを持っていない人は、通知カード等と自己を証明するもの(例えば運転免許証)の提示が必要となります。
まとめ
医療費控除で還付を受けるには、領収書の保管などに少し手間がかかりますが、税金の還付が受けられますのでぜひ実践してみてください。確定申告書は、自動計算してくれるので難しく考えなくても大丈夫だと思います。
出典
(※1)国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
(※2)国税庁 医療費控除の明細書
(※3)厚生労働省 セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表