2018.02.04 税金

医療費10万円以下でも申請できる?「医療費控除」でよくある勘違い5つ

年が明けて、所得税の還付申告ができるようになりました。

多くのサラリーマンは確定申告を必要としませんが、そんなサラリーマンでも比較的確定申告で利用するのが「医療費控除」ではないでしょうか。今回は医療費控除でよくある勘違いを5つまとめました。

10万円いかないと医療費控除はできない

「医療費が10万円超えたら」と思っている方は多いです。もちろん間違ってはいませんが、実は誰もが10万円というわけではないのです。
 
「10万円」もしくは「総所得金額の5%」を超えた分が医療費控除に使えるというのが正式ルールです。200万×5%=10万円ですから、総所得が200万円未満の場合は支払った医療費が10万円にならなくても医療費控除を使うことができます。
 
総所得金額というのが少しわかりにくいですが、サラリーマンで他に収入がない場合は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄が総所得金額に該当します。年収300万円程度の場合所得が200万円未満になりますから、10万円に行かない場合でも医療費控除できますね。
 
※国税庁:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1120.htm
 

医療費控除の分税金が返ってくる

医療費が10万円を超えると、その超えた分の金額が戻ってくると思っている方もいます。ですが、医療費控除は「所得控除」という分類です。
 
控除というのは差し引くこと。所得控除は「所得」から差し引くことです。所得というのは税金の金額ではなく、税金を計算する「モト」の部分ですので、医療費控除の額の税金が返ってくるものではありません。税金を計算するモトが小さくなり結果として税金が安くなるため、その差額が戻ってくるということなのですね。
 
一生懸命領収書を足して控除できる金額が1万円だったけれど、戻ってくる税金は500円程度だったということもあるわけです。
 

扶養に入っていないと妻の分は合算できない

扶養に入っていない共働きの場合、妻の分は妻のほうでしかすることができないという勘違いもありますね。
 
国税庁のホームページにも記載されている通り、「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合」の合計額を医療費控除に使うことができます。「自己と生計を一にする(せいけいをいつにする)」というのは税金の話の時には比較的よく出てくる言葉ですが、簡単に言うと『日常生活のお金を共にしていること』です。
 
その場合は扶養関係などは問われません。妻の分も夫の分も合算して、どちらか有利な方で医療費控除を行ってよいのです。別居の親などの分でも合算できるケースがありますが条件が細かくなっているので、よく確認して利用するようにしてください。
 

受け取った保険が多いとできない

入院などで医療費がかかった場合でも、高額療養費で払い戻された分や医療保険から入院保障などを受けた場合は差し引かなくてはいけません。ですが、これもじつは勘違いしている人が多い項目です。
 
例えば
・病気Aで入院 10万円※
・病気Bで通院  3万円
・病気Cで通院  6万円
・その他通院   4万円
医療費合計   23万円
 
というケースの場合に、病気Aでの入院保険が仮に15万もらえたとすると、23-15=8万円になり、10万円を切ってしまうので医療費控除できないと思っている人もいます。
 
しかし、国税庁のホームページに、「(注)保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。」
と書いてある通り、その保険をもらう原因になった医療費から「だけ」差し引きます。引ききれなくても他の医療費から引く必要はありません。
 
この例の場合は、医療保険は病気A入院10万円に対して払われただけなので、10-15=▲5になります。そして引ききれなくても他の医療費からは引かなくていいというルールですので、病気A入院に関しては、医療費の負担はなかったということになります。
 
したがって、残りのB・C・その他の医療費13万円から10万円(もしくは総所得の5%)を引いた数字が医療費控除としてできるのですね。
 

自費診療は医療費控除に使えない

保険適用にならない、自費診療の医療費は使えないと思っている方も多いです。よく言われるのは歯の矯正などですね。一般的に自費になることが多い歯の矯正ですが、かみ合わせを直して成長を阻害しないようにする子供の矯正などは医療費の対象となることがほとんどです。しかし同じ矯正でも大人がキレイになるためにする矯正は「医療」の目的から外れているので対象とはなりません。
 
このように、必ずしも保険が適用されなくても「治療」の目的であれば医療費控除の対象となります。予防のための受診であったり、健康増進のための物は「治療」ではありませんので認められません。
 
また治療のために病院に通う「交通費」も医療費控除の対象になります。交通費は領収書がなくてもかまいませんが、通院したことが分かる領収書などに金額を控えておくようにしてください。公共交通機関以外の手段は原則は対象になりませんので注意してください。
 
利用する人は増えてきているもののまだ勘違いしている人も多い医療費控除。もちろん医療費などかからないに越したことはありませんが、すでにかかってしまったものだとしたら、しっかりとルールを知って損のないように節税に使えるといいですね。
 
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

塚越 菜々子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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