更新日: 2019.09.02 控除
親からのマイホーム購入資金援助は贈与税の対象です!非課税になる制度と要件を知っておこう。
住宅取得のための贈与であれば、贈与税が一定額まで非課税になる特例があります。まずは、制度の内容について理解しておきましょう。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
目次
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度
マイホームを購入したり、新築したり、あるいはリフォームしたりするケースにおいて、2015年1月1日から2021年12月31日までに父母あるいは祖父母から資金の贈与があった場合、一定額まで贈与税が非課税になります。
非課税になる上限額は、住宅の種類や住宅の契約締結日によって異なります。非課税限度額は下記の通りです。
※国税庁ホームページより
すでに非課税制度の適用を受けている場合、非課税額を除いた残額が非課税上限額となります。
たとえば、父から300万円の贈与を受けた後に、祖父からも贈与を受ける場合、祖父からの非課税限度額は父の贈与分300万円を除いた金額になります。
ただし、上記の表2における非課税限度額は、2019年(平成31年)3月31日までに住宅新築等の契約をして、既に非課税の特例の適用を受けていても、その金額を差し引く必要はありません。
なお、この非課税制度を適用するには要件があります。要件はいくつかありますが、ここでは、主な要件をお伝えします。
資金援助を受ける側の要件
■父母・祖父母など直系尊属からの贈与であること
たとえば、配偶者の父親から資金援助を受ける場合、養子縁組をしていない限り、直系にはならないので要件に該当しません。
■贈与を受けた年の翌年3月15日までに住み始めること。あるいは、同日後遅滞なく住むことが確実であること
住宅の要件
■住宅の登記上の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること
■中古の場合は築20年以内(耐火建築物の場合25年以内)であること
■リフォームの場合、工事料金が100万円以上であること
手続きについて
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、贈与税の申告をする必要があります。非課税の特例を受けることを記載した申告書に戸籍謄本や契約書の写しなどを添付し税務署へ提出します。
制度適用により非課税になるなら申告は不要、と思われがちですが、この制度を適用する場合は、贈与税額が0円でも申告は必要です。
組み合わせて使える税制
非課税枠を超える資金の贈与を受けた場合、贈与税はどうなるのでしょうか。実は、別の課税方法と組み合わせることで、さらに非課税枠を増やすことができます。
その課税方法は、
・暦年課税
・相続時精算課税
の2つの制度で、どちらか一つを選択します。
暦年課税とは、1年間に贈与される財産の合計額が110万円以下であれば贈与税はかからない課税方法です。
ですから、省エネ住宅以外のケースで2018年(平成30年)に贈与を受けた場合、700万円+110万円=810万円まで非課税になります。
一方、相続時精算課税には2500万円分の特別控除額があります。つまり、700万円+2500万円=3200万円まで非課税というわけです。
一見、かなりお得に見えますが、この課税方法は、名前の通り「相続時」に贈与した非課税分を「精算」して「課税」する制度。贈与税は非課税になるものの、相続税はかかるので、税金の支払いを先送りするにすぎません。
どちらの制度を組み合わせるかは、親の財産規模や資金援助額などによって異なりますから、組み合わせる際は、将来の相続も念頭において選択しましょう。
注意点は、住宅ローン控除に影響を与えるケース
住宅ローン控除の仕組みは、
1、住宅ローンの年末残高
2、住宅取得の対価額
いずれか少ない金額に対して住宅ローン控除額が計算されます。
「住宅取得資金贈与税の非課税」を適用して贈与を受けた場合は、2の住宅取得の対価額から贈与額を差し引きますから、ローンを組む際は注意しておきましょう。
資金援助を受けるなら、まずは調べてみよう
自分の親や祖父母から資金援助を受けるなら、住宅取得等資金の贈与税非課税制度はぜひ活用したいですね。なお、この制度を利用するにあたっては、いくつか要件があります。
ここでお伝えした要件は一部ですから、ご自身で事前に要件等の確認をお願いいたします。
国税庁ホームページ
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者