これまで更地だった隣地に、住宅が建つことになりました。日当たりが悪くなるなどした場合、自宅の固定資産税が安くなることはあるのでしょうか?

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
これまで更地だった隣地に、住宅が建つことになりました。日当たりが悪くなるなどした場合、自宅の固定資産税が安くなることはあるのでしょうか?
南側の隣地が更地の時期が長く快適に過ごしていたが、建築工事が始まり、これまでの日当たりの良さが阻害されてしまった場合、生活に大きな影響がないとしても、その土地などの快適性が減少することで、固定資産税などの評価に影響があるのでしょうか。
吉野裕一

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

https://moneysmith.biz

固定資産税評価額は「路線価×補正率」で決まる

土地の固定資産税評価額は、国が定めた固定資産評価基準に基づき、市区町村が3年に一度(基準年度)見直しています。基本となるのは道路ごとに付けられた路線価です。
 
この路線価を基に土地の形状や奥行き、間口などに応じた「画地補正率」を掛け合わせて評価額が求められる仕組みとなっています。
 
総務省の固定資産評価基準を見ると、路線価を基礎とし、「画地計算法」を適用して計算されることになっています。ただし、宅地の状況に応じて必要があるときは、市町村長がこの画地計算法について所要の補正を独自に加えることができるようになっています。
 
この固定資産評価基準を基に一部の市町村が「日照阻害補正率」を独自に設けているところもあるようです。
 
国が一律に義務づけている補正ではないため、導入している自治体があるからといって、どこでも同じように適用されるとはかぎりません。
 

一般的な戸建てでは、評価に影響しにくいようです

隣に建つのが、ごく一般的な2階建ての一戸建て住宅であれば、日当たりの変化が固定資産税評価額に反映されることは、まず期待できないと思われます。
 
奥行きや間口、形状といった画地補正率の主な項目は、あくまで土地そのものの形状に着目したものであり、隣接する建物の日照への影響を直接的に評価する仕組みにはなっていないためです。
 
一部の自治体が設けている日照阻害補正率は、中高層建築物による日照被害を想定したもののようです。
 
建築基準法第56条の2の「日影規制」では、条例で指定する区域において、低層住居専用地域で軒高7メートル超または3階建て以上、それ以外の地域で高さ10メートル超としています。ごく普通の一戸建て住宅は、この基準に当てはまらないことがほとんどのようです。
 
隣に普通の戸建てが建ち、多少日当たりが悪くなったと感じたとしても、それだけで自宅の固定資産税評価額が下がるとは考えにくいのではないでしょうか。
 
仮に補正が適用される可能性がある場合でも、隣に家が建った時点で、自動で見直しを行うわけではありません。固定資産評価額は、3年に一度の見直しになります。
 

相続税評価額であれば、減額となる可能性も

固定資産税とは別に、相続税や贈与税を計算する際の土地の評価額(路線価方式)については、少し考え方が変わります。
 
国税庁が示す「利用価値が著しく低下している宅地の評価」という取り扱いでは、騒音や臭気などと並んで、日照阻害も評価減の対象となる要素の一つに挙げられています。ここでいう日照阻害とは、建築基準法第56条の2に定める日影時間を超えるものとされています。
 
該当すると認められると、利用価値が低下していないものとして評価した価額から、その部分の面積に応じて10%を控除した価額で評価することができます。これは、市区町村が一方的に見直す固定資産税とは違い、相続や贈与が発生した際に、申告する本人が状況を申し出て適用する仕組みです。
 
写真や日照の状況が分かる資料などを添え、税務署に対して根拠を示す必要があります。また、路線価や固定資産税評価額の側にすでに利用価値の低下が織り込まれている場合には、重ねて適用することはできません。
 

まとめ

隣地に一般的な戸建てが建ち、日当たりが悪化したとしても、毎年の固定資産税評価額が下がることは期待しにくいのが実情のようです。画地補正率は土地の形状に着目した仕組みであり、日照阻害補正率を設けている自治体があっても、対象は中高層建築物に限られる場合がほとんどです。
 
ただし、将来の相続や贈与の場面では、少し話が変わってくるようです。国税庁の取り扱いにより、日照阻害の程度によっては申し出ることで評価額を10%減額できる可能性があります。今の生活への影響が小さくても、将来の相続税評価という観点は、頭の片隅に置いておいてよいのではないでしょうか。
 

出典

総務省 固定資産評価基準 第1章第3節 宅地
デジタル庁 e-Gov 法令検索 建築基準法 第56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限)
国税庁 タックスアンサー No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価
 
執筆者 : 吉野裕一
夢実現プランナー

  • line
  • hatebu

LINE