更新日: 2023.09.13 確定申告
還付申告は、翌年から5年間行うことができるって知っていますか?
実は、還付申告はその翌年の1月1日から5年の間ならいつでもすることができます。「今年は3月16日までにしないといけない」と思われている方、そんなことはありません。もちろん還付の時期は遅れますが、今年の夏でも、来年でも、4年後でも還付申告は可能なのです。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
還付申告は、その翌年の1月1日から5年間することができる
国税庁のタックスアンサー「No.2030 還付申告」の冒頭の部分を引用させてもらいます。
「1 還付申告とは
確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。」
給与所得者は年収2000万円以上などの特別な人を除いて「確定申告書を提出する義務のない人」にあたります。それでも「確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができ」、それを「還付申告」といいます。
「還付申告」は納税者の義務ではなく、税金を納めすぎた人の権利なのです。そして「還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができる」のです。
確定申告とは?
確定申告とは自営業者などのまだ前年の税金を支払っていない人が、確定申告をすることによって前年の自分の所得を申告し、税金を支払うことをいいます。それは納税者の義務であり、期限内に申告納税をしないと延滞税などのペナルティーを支払わなければなりません。
給与所得者は所得を捕捉され、所得税は源泉徴収税として支払い済みで、年末調整で支払額の調整も済んでいます。原則として、それ以上、申告納税の義務はないということになります。
還付申告は権利ですが、具体的に「給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多い」ことを示すために確定申告が必要で、その確定申告を「還付申告」と呼んでいます。
還付申告の後でも、還付請求ができます。更正の請求とは?
上述の国税庁のタックスアンサーNo.2030には、このようなことも書いてあります。
「4 還付申告をするときの注意事項
(1)既に還付申告をした人が、その申告した年分について、還付を受けるべき税金を少なく申告してしまった場合には、更正の請求という手続により納めすぎになっている所得税の還付を受けることができます。
更正の請求ができる期間は、原則として還付申告書を提出した日から5年以内です。」
「還付申告」をしていることが条件ですが、その「還付申告」をした人が、「還付を受けるべき税金を少なく申告してしまった場合には、更正の請求という手続により納めすぎになっている所得税の還付を受けることができ」るのです。
ですから、最長5+5=10年間は税金還付の請求をすることができるということになります。
例えば、2010年に使った医療費に関して、2015年に医療費控除の還付申告をした人がいるとします。2020年になって、還付申告には使用していない2010年に使った医療費の領収書を見つけた場合は、2020年に更正の請求をすることによって追加の還付申告をすることができるのです。
「更正の請求」とは、「確定申告期限後に申告書に書いた税額等に誤りがあったことを発見した場合や確定申告をしなかったために決定を受けた場合などで、申告等をした税額等が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める場合の手続」をいいます。
まとめ
還付申告は、かなりの期間行うことが認められています。今からでも、古い領収書がないか探してみましょう。もし見つかれば、税金の還付が可能かもしれません。
[出典]
国税庁タックスアンサー「No.2030 還付申告」
国税庁「[手続名]所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー