制度を賢く利用して手取り収入を増やす!会社員が知っておきたい所得税の控除のしくみ

配信日: 2020.05.19

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制度を賢く利用して手取り収入を増やす!会社員が知っておきたい所得税の控除のしくみ
家計やライフプランを考えるときに、手取り収入を知っておくことは大切です。手取り収入とは、会社から支払われる給料から、社会保険料と税金(所得税と住民税)を引いたあとの金額です。
 
制度を賢く利用して税金を減らすことは、手取り収入を増やすことにつながります。税金を計算する上でポイントとなるのが控除です。今回は、会社員が知っておきたい所得税の控除について紹介します。
 
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

控除には所得控除と税額控除がある

税金の控除には「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。
 
税金を計算するときには、まず各所得の合計を計算して合計所得金額を出します。その合計所得金額から所得控除を引くと課税所得が計算され、最終的に課税所得から税額が計算されます。
 
所得控除とは、所得から一定の金額を差し引く制度です。納税者のいろいろな事情に合わせて所得金額を調整する措置がとられています。合計所得金額が同じでも、所得控除によって課税所得に違いが出てきますので、所得控除を賢く利用したいものです。
 
税額控除とは、計算された税額から一定の金額を控除する制度です。税額から直接差し引くため、所得控除より節税効果が分かりやすいのが特徴です。税額控除は19種類あり、よく知られたものとして「住宅借入金等特別控除」(いわゆる住宅ローン控除)があります。

所得控除は14種類

所得控除は14種類あります。人や家族に関する控除として、基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除があります。
 
また、その他の控除として、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除があります。所得控除のうち、会社員が利用することの多い6つの所得控除について取り上げます。

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除とは、控除対象の配偶者がいる場合に一定の金額の所得控除を受けられるものです。
 
12月31日時点で生計を一にしている配偶者がいる場合、配偶者の合計所得が48万円以下(給与収入のみの場合103万円以下)であれば所得控除が受けられます。控除額は、本人の合計所得によって13万円から38万円となります。
 
また、配偶者の所得が48万円を超えた場合でも、配偶者の所得によって一定の所得控除が受けられます。これを配偶者特別控除といい、配偶者の合計所得が48万円超で133万円以下であれば対象となります。
 
ただし、本人の合計所得が1000万円を超えると、配偶者の所得にかかわらず所得控除の対象外となります。

医療費控除

医療費控除とは、本人や生計を一にする家族の医療費を払った場合に、医療費が一定額を超えた場合に所得控除を受けられるものです。
 
控除される金額は、実際に払った医療費から保険金などで補填される金額を差し引き、そこからさらに10万円(総所得が200万円以下の人は、総所得の5%)を引いた額です。
 
対象となる医療費は、医師による診療または治療の対価、治療または療養に必要な医薬品の購入の対価です。人間ドックや健康診断、予防接種の費用などは原則として医療費控除の対象とはなりません。
 
また、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)があります。
 
本人や生計を一にする家族の特定一般用医薬品の購入費を支払った場合、本人がその健康の保持増進および疾病の予防への取り組みとして一定の健康診査や予防接種などを行っているときに、年間の購入費が1万2000円を超えた分(上限額は8万8000円)について控除されます。
 
ただし、一般の医療費控除との選択制となっています。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金などを支払った場合に所得控除が受けられるものです。控除される金額は、その年に支払った掛金の全額です。
 
確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金や個人型年金加入者掛金も対象となっています。
 
老後資金の準備のために個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している場合、その掛金の全額が所得控除の対象となります。会社員でも加入できるケースが多いため、使いやすい制度の1つと考えられます。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合、一定の金額の所得控除を受けられるものです。
 
平成24年1月1日以後に締結した保険契約(新契約)とそれ以前に締結した保険契約(旧契約)では、生命保険料の取り扱いが異なります。
 
新契約の場合、生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料について、支払った保険料に応じてそれぞれ最高4万円、合計12万円の控除を受けることができます。

寄附金控除

寄附金控除とは、国や地方公共団体、特定の法人などに対し、支出した寄附金に対して所得控除を受けられるものです。
 
控除される金額は、寄附した金額の合計額から2000円を差し引いた額となっています。「ふるさと納税」も一部の自治体を除いて寄附金控除の対象となり、ここ数年利用する人が増えています。
 
このように、配偶者の収入に変化があったとき、多額の医療費を支払ったとき、寄附をしたときなど、さまざまな状況で税金が関係しています。これらの所得控除は、年末調整や確定申告で手続きをすることで適用されます。控除のしくみを知って、賢く利用しましょう。
 
出典
国税庁タックスアンサー「所得控除のあらまし」
国税庁タックスアンサー「税額控除」
国税庁タックスアンサー「配偶者控除」
国税庁タックスアンサー「配偶者特別控除」
国税庁タックスアンサー「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
国税庁タックスアンサー「小規模企業共済等掛金控除」
国税庁タックスアンサー「生命保険料控除」
国税庁タックスアンサー「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員


 

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