2017.11.24相続

人生最後の手紙「遺言書」の注意点

Text : 竹内 美土璃

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遺言、エンディングノートが大切だということが浸透されてきた昨今ですが、まだまだ遺言を書けない人の方が多いのが実情です。自分の死を考えるのは、ちょっと気が重くなってしまいますからね。当事務所に実際に「遺言を作りたい」と言っていらっしゃる方でも、遺言を書くことを迫られている「経営者の方」、「余命宣告を受けた方」が多く、とても一般的に普及してきたとは言い難いです。

遺言は2種類ある

 
遺言は主に2種類あります。
一つ目は、自筆証書遺言です。自分の手で書いた遺言のことです。
二つ目は、公正証書遺言です。こちらは、証人を2人立てて、公証役場で公証人に作成してもらうものです。
 

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは?

 
お手軽にできるのは、何と言っても自筆証書遺言でしょう。ただ自筆証書遺言は、紛失したり、誰かに偽造されたりするリスクがあります。加えて、自筆証書遺言には、書き方に厳格なルールがあります。そのため、せっかく遺言でご自身のお気持ちとして財産の分け方を書いたにもかかわらず、間違った書き方をしたためその遺言が無効となってしまう場合があります。気持ちを奮い立たせて頑張って書いた遺言なのに、無効になってしまってはもったいないですよね。
 
さらに、自筆証書遺言を執行するには、被相続人が亡くなってから、家庭裁判所で、相続人全員に連絡したうえで、遺言の「検認」という手続きをとる必要があります。手間がかかりますし、遺言の内容が相続人に知られてしまいます。
 
一方、公正証書遺言は、公証人が作成するので遺言として無効になることは少ないです。また、公正証書の原本の保管期間は20年とされていますが、保管してある公証役場によっても違うのですが、実際には遺言者が120歳になる年まで保管している公証役場が多いそうです。
 
公正証書遺言を作成した時には写し(正本と謄本)をもらえますが、紛失しても公証役場で写しを再交付してもらえるので安心です。さらに公正証書遺言は家庭裁判所で検認の手続きをする必要がありません。
このような意味で、自筆証書遺言よりも公正証書遺言にした方が安心で便利だと言えます。
 


 

一番大切なことは「もめない遺言」を作ること!

 
ただ、有効な遺言を作っても、もめてしまうこともたくさんあります。大切なのは、「もめない遺言」を作ることです。例えば、「相続人が複数いるのに、ある一人の相続人に全部の財産を相続させる」というような遺言は、争いの火種を抱えている遺言になります。このような遺言を作成して相続人がもめてしまっては、せっかく財産を残したのに恨まれてしまいます。そんな悲しい思いはしたくないはずです。「もめない遺言」を作る自信のない方は、しかるべき専門家にご相談するのもありですね。
 

民法改正の動きに注目です!

 
今回の民法改正案で、自筆証書遺言のルール緩和や自筆証書遺言の検認手続きの簡素化案も出てきており、より自筆証書遺言が使いやすくなってきそうです。
 
民法改正により、自筆証書遺言で「もめない遺言」が手軽に作れるようになり、一人でもたくさんの方が「ありがとうと言われる相続」を実現できるといいですね。
 
Text/竹内美土璃(たけうち・みどり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、DCプランナー2級、企業年金基金管理士、さくら総合法律事務所 FP部門。
http://www.sakura-sogo.jp/

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竹内 美土璃

Text:竹内 美土璃(たけうち みどり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、DCプランナー2級、企業年金基金管理士、さくら総合法律事務所・FP部門、確定拠出年金相談ねっと認定FP。

FPでありながら、ある時は夫婦問題カウンセラー、ある時は相続アドバイザーとなり、「お金と気持ちを一気に解決」することを得意とする。
法律事務所で13年間勤務して得た知識と、5年間のファイナンシャルプランナーとしての実績で、「お客様を幸せで豊かな未来へ導く案内人」として定評が高い。
1972年生まれ。愛知県豊田市出身。現在は、名古屋市在住。