【おさらい】投資信託の「普通分配金」と「特別分配金」は、何が違うの?

配信日: 2021.04.28

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【おさらい】投資信託の「普通分配金」と「特別分配金」は、何が違うの?
民法改正により、来年(2022年)4月から成年年齢が18歳に引き下げられます。有効な契約を1人でできるようになる時期を高校生3年生で迎えるわけですが、契約にはおカネが関係するケースも多いでしょう。
 
そんな状況が、2022年4月の高校1年生から使われ始める新しい教科書(新学習指導要領に対応)にも変化をもたらします。「家庭」科では、消費生活に関わる学習内容拡充のために預貯金ほか基本的な金融商品が題材となり、その中には投資信託も含まれます。
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

投資信託のおさらい

日本は欧米などに比べて、社会全体でマネー教育が遅れているとよくいわれます。その結果、大人になってからも「マネーリテラシー」(おカネに関する知識や情報を持っていて、それをうまく利活用する能力)は、人によってバラバラ。本人がその気になって自分から取り組んでいかないと高まらないのは、そのとおりでしょう。
 
先ほどの新しい高校教科書でも、マネー教育の一環として学んでおくべき基本的な金融商品の1つとして挙げられている投資信託。その概要は、次のとおりです(※)。
 

◇投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品。
◇運用成績は市場環境などによって変動し、その損益(損得)はそれぞれの投資額に応じてすべて投資家に帰属する。
◇つまり、預貯金と違って元本が保証されている金融商品ではない。

 
自分で個別の株式などに直接投資する場合に比べて、資金がまとまることで運用の機会や局面が広がって効率も高まる一方で、投資や運用を外部委託しているためのコストを負担し続けなければなりません。
 
こうしたコスト負担が高すぎると中長期に安定した資産形成には不向きなので、問題視されることがあります。
 
また、毎月分配型(毎月決算をして分配金を出す)投資信託は、定期的におカネを受け取りたいニーズの人々からは一定の人気を得ていましたが、本来の実力以上に分配を続けている点を金融庁から問題指摘されたことなどをきっかけに、近時は低迷しているものが少なくありません。
 

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普通分配金と特別分配金の違いとは

先述の「本来の実力以上」なのかどうかが、今回のテーマである投資信託の「普通分配金」と「特別分配金」の違いの本質ですが、その概要は【図表1】のようにまとめられます。
 

 
【毎月分配金50円で基準価額4000円】の投資信託を購入したケースを見てみましょう。
 
翌月までに分配の原資(配当収益や売買益・評価益など)を50円増やしたうえで50円分配すれば、基準価格は4000円のままです。また月間の分配原資が100円増えれば、分配金を除いた50円が上積みされて基準価額は4050円に上昇します。どちらの場合も普通分配金の扱いです。
 
翌月までに原資が増えなかったのに50円を分配すると、基準価額は50円減って3950円になります。こちらは特別分配金になるのです。
 
翌月までに増えた原資が20円で、50円を分配しているとどうでしょうか。基準価額は30円減って3970円です。この場合、20円が普通分配金、残り30円は特別分配金という組み合わせとなります。
 
基準価額が順調に上昇しているときは、毎月の分配金に課税される分だけ手元に残る金額は減りますが、個別元本を基準価額が上回っている分の「含み益」があり、売却すれば課税はされますが利益を手にできます。
 
逆に基準価額が下落を続けると、毎月の分配金は課税されずに手元にきますが、個別元本の額は特別分配金の額だけ下落していきます。基準価額が将来持ち直したときには、分配金に課税がされやすく、また売却したときの課税対象額も大きい状態になっているのです。
 
分配金の扱いは、同じ投資信託でも個別元本が違えばさまざまです。ある月の分配金50円が例えば、Aさん[普通分配金50円]、Bさん[普通分配金20円+特別分配金30円]、Cさん[特別分配金50円]と人によってバラバラになることも、決して珍しくありません。
 

まとめ

特別分配金の状態が続いていく状況は、問題です。資産運用しているつもりがそうではなく、実は自分の財産の一部を取り崩して受け取っているだけなのです。しかも、相場が下落していても運用を外部委託するためのコストは、しっかりと取られ続けます。
 
ひょっとしたら、タンス預金を毎月単純に取り崩していた場合よりも、手元に残っている資産額が少なくなっていることだってありえます。いま受け取っているのは、どちらの分配金なのか。チェックし続けることは、とても重要です。
 
[出典]
(※)一般社団法人投資信託協会「そもそも投資信託とは?」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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