更新日: 2021.10.04 株・株式・FX投資

上昇相場の天井で拡大三角形が現れると、その後の相場はどうなる?

上昇相場の天井で拡大三角形が現れると、その後の相場はどうなる?
前回は、典型的な拡大三角形がどのような形で、相場の波の中でどこに現れやすいのかについてお伝えしました。今回は、典型的な拡大三角形が成立せず、失敗に終わるケースについて見ていきたいと思います。
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

典型的な拡大三角形のイメージについてのおさらい

おさらいとして、典型的な拡大三角形の波形について再確認しておきたいと思います。パッと見ても明らかなように、典型的な拡大三角形は、右方向に三角形が広がる波形を示しています。
 
それまで続いてきた上昇相場がいったん天井を着け、その後、下落、再び上昇、そして反転下落といった上下運動を、上値と下値の差が開くように拡大していき、最終的に相場が下値のトレンドラインを下回らずに上昇した後、上値のトレンドラインを突破するという一連の流れが伴います。
 

※筆者作成
 

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典型的な拡大三角形が成立しないケース

この流れが拡大三角形の完成ですが、これとは逆に不成立、つまり、拡大三角形が成り立たずに失敗に終わるパターンが存在します。それを示しているのが下の図のような波形パターンです。
 

※筆者作成
 
見てのとおり、拡大三角形の最終段階で上値を追えず相場が腰折れし、下値のトレンドラインを割り込み、下落相場に突入していっているのが分かります。
 
これが典型的な拡大三角形の失敗パターンですが、例えば、3回目の上値をつけた後、悪いニュースが報道されたり、投資家心理としては3回も上値を追ったにもかかわらず、上値のトレンドラインを突破できなかったことによるあきらめから、利益確定の売りが入りやすくなったことがうかがえます。
 

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典型的な拡大三角形の成立失敗は相場のどこで現れやすいのか

典型的な拡大三角形の失敗パターンは、上昇相場がその後も続かないことを示しているため、上昇相場の終わりで起こりやすいと考えることができます。波の位置を確認すると、下図のようなイメージになるかもしれません。
 

※筆者作成
 
上昇相場の終わりは、上の図では赤い丸で囲んだ位置ですが、いずれも、その後に下落相場が続くため、上昇相場の天井付近で出現しやすいと言い換えることができます。
 
典型的な拡大三角形の失敗パターンが出現した後の下落の程度が強いか、弱いかは不明瞭ですが、おおよそ、一連の上昇波動の最終局面で現れる第V波でこれが現れると、その後の下落は急激になりやすい傾向があります。
 

まとめ

典型的な拡大三角形は、おおよそ上昇につながると思いがちですが、今回見てきたように失敗した場合、その後は下落、もしくは急落につながる恐れをはらんでいます。このため、拡大三角形においても典型的な三角持ち合いパターンと同じく、十分な観察の上、見極めが必要です。
 
次回は、拡大三角形が直角になるパターンについて見ていきたいと思います。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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