更新日: 2021.10.30 株・株式・FX投資
投資初心者にとって、これだけ知っておけば良いと言っても過言ではない「金融相場」と「業績相場」ってなに?
資産運用初心者の方にとっては、大局的な法則性を知っておくだけでも投資に対して向き合う力が格段に高まることから、今回は「金融相場」と「業績相場」という大きな波の転換についてお伝えしていきたいと思います。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
金融相場と業績相場の関係性
資産運用や投資を行う際、長期的に相場を理解するには、景気のステージについて理解を深めておくと、相場の全貌が比較的見えやすくなります。
下の図は、金融相場と業績相場の関係性を示したものですが、金融相場と業績相場について簡単に説明すると、金融相場は、金融政策、特に金融緩和政策を追い風に形成されやすい相場の波であるのに対し、業績相場は、企業の業績に基づき、底堅く推移していきやすい相場の波といえるかもしれません。
〇金融相場と業績相場の関係図
※筆者作成
それでは、相場の段階を景気の段階に沿うような形で、金融相場と業績相場の違いについて見ていきましょう。
株式市場は、実体経済の半年先、1年先を予測しながら動いていくといわれます。
上の図は、相場の動きをイメージしたものですが、〔回復期〕、〔拡大期〕、〔過熱期〕の3段階に分けている景気ステージに対して、半年先、1年先を見越して相場がそのように形作られるといったイメージで見てください。
いわゆる「回復期」、つまり将来、景気が回復していくだろうと呼ばれる、実体経済が不景気から回復していく段階では、経済政策として金融緩和政策が実施されます。
金融緩和政策の下では、金利が低水準に抑えられるため、企業の資金調達、例えば経営資金の借り入れに際し、低い金利でお金を借りることができるため、企業経営にとって大きな支援となります。
このようなことから株式が買われやすくなり、株価が上昇していく傾向があります。
これをいわゆる「金融相場」といいますが、例えば、リーマンショックや今回のコロナショックのような経済の急激な悪化を改善しようとしていく際に現れる相場です。
金融相場の過程では、足元の経済が徐々に回復されてくるため、ある一定の時期に来ると、それまで行われてきた金融緩和政策などの経済的な支援が少しずつ縮小されていきます。
要は、国としては「経済的なサポートは十分行ったから、そろそろ自立してね」というメッセージが込められているわけですが、この段階が「そろそろ金融相場が終わるだろう」という思惑を株式市場に伝えることになります。
この段階で注目されるのが、いわゆるテーパリングと呼ばれる「量的緩和政策の段階的な縮小」ですが、テーパリングが開始される前当たりから、10年物国債の利回りが少しずつ上昇し、実際に政策金利が引き上げられるまでの間、株式市場では値動きの荒い展開が続くようになります。
本当にテーパリングが始まるのか、仮にテーパリングが始まるのならいつからなのか、そんな予想をしながら10年物国債の利回りが徐々に上がっていくわけですが、このような思惑の中で、株価は比較的大きく下がったり、上がったりを繰り返し出します。
そして、テーパリングが終わり、その後、いざ政策金利が引き上げられるようになると、そこから、いわゆる「業績相場」が始まるというくくりで相場のストーリーが展開されるようになります。
厳密にいうと、金融相場の終わりと業績相場の始まりには、はっきりとした線引きができるというものではありませんが、相場の上昇要因が金融緩和による恩恵から企業業績に少しずつ移っていく過程で、金融相場から業績相場に切り替わっていくと解釈していくと良いかもしれません。
前述したとおり、業績相場は、企業の業績に基づいて相場が上昇していく局面です。ということは、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)的には、実体経済がいよいよ本格的に拡大していくだろうという予測に基づいた相場展開ということができます。
そのため、この過程では例えば、GDP(国内総生産)の成長率が高まったり、物価が上昇、失業率がさらに低下するなど、いわゆる好景気の特徴が現れるようになります。
同時に、金利の引き上げも徐々にですが起こってくるため、これも加味すると、業績相場は利上げが実施されてもなお、企業の成長率が高くなる点に着目した相場環境ともいえます。
つまり、たとえ金利が上がっても、物価が上がっても、それを上回るほどの企業成長率が出る可能性があるため、マネーはそれを狙って、株式市場に大きくなだれ込みやすい相場になるというのが業績相場の特徴です。
いわば経済が回復し、かつ、自走できるようになったため、公的な支援がいらず、自然に経済が成長していくという好循環の景気を先取りする相場が業績相場という意味です。
その後、景気が今後は過熱してくるだろうと株式市場が予測するようになると、株式市場に過熱感が生まれ、これがいわゆるバブル相場ですが、何かをきっかけにバブルがはじけ、再び株式市場は下落し、下降局面に入っていきます。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
まとめ
景気には、ある一定のサイクルがあり、これを見越しながら動くのが株式市場です。
細かい相場はよく分からない、デイトレードのような超短期の売買を繰り返すような運用をする時間がなかなか取れない、という場合、おそらく長期投資をすることになると思いますが、それでもなお、株式相場は大局的に大きな波を描きながら進んでいきます。
その大きな流れをつかむのに必要な相場観が、今回お伝えした「金融相場」と「業績相場」の関係性です。
個人的には、資産運用初心者の方が最も身に付けておいてほしいマーケットの知識の1つと位置づけていますが、今のような、アメリカでこれからテーパリングが始まるかもしれないという局面では、ぜひ、この機会に自分なりにいろいろと調べてみると良いかもしれません。
次回は、今起こっている、いわゆる「悪い物価の上昇」について見ていきたいと思います。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
【PR】SBI証券