更新日: 2021.11.30 NISA

制度廃止が決まったジュニアNISA、18歳未満でも非課税で払い出せるように?

制度廃止が決まったジュニアNISA、18歳未満でも非課税で払い出せるように?
NISAは、日本人の資産形成のために作られた運用益非課税制度です。
 
20歳(2023年1月1日より18歳)以上が利用できるNISA(少額投資非課税制度、以下、一般NISAとします)・つみたてNISA(非課税累積投資契約に関わる少額投資非課税制度)、未成年が利用できるジュニアNISA(未成年少額投資非課税制度)があります。
 
投資可能期間後、NISAは新NISAとして5年間、つみたてNISAは制度そのままで5年間延長がされます。2019年の時点で、NISA口座の口座開設数1174万口座、つみたてNISAは189万口座に対して、ジュニアNISAは35万口座となっています。
 
そのため、ジュニアNISAは2023年12月末で制度が廃止されます。ところが、制度廃止が決定の後の2021年6月時点では、口座数が56万と急激に増加しました。なぜでしょうか。
 
(出典:金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」より/万単位未満省略)
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

ジュニアNISAは子どもの将来のための資産形成をするもの

まず、ジュニアNISAはどんな制度なのでしょうか。
 
ジュニアNISAは未成年者が対象の非課税制度です。年間80万円と一般NISAの120万円の非課税上限より少ないですが、非課税期間はNISAと同様5年間あります。非課税対象となるのは、NISAと同様株式・投資信託等の配当金・分配金や譲渡益です。
 
例えば、両親と子ども3人の家族の場合、一家で年間520万の非課税が使えます。しかし、なぜ一般NISAに比べジュニアNISAが使われないのでしょうか。
 
いつでも払い出せる一般NISAと大きく違い、ジュニアNISAには払い出し制限があるからです。ジュニアNISAは、子どもや孫の将来に向けた資産形成を目的とするものであるため、高等学校を卒業する年、つまり3月31日で18歳である年の、前年の12月31日まで払い出しが制限されます。
 

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【廃止後】18歳前でも非課税で払い出せるように

ジュニアNISAは、3月31日で18歳である年の前年12月31日まではジュニアNISA口座から払い出しできません。もし、途中で払い出してしまう場合は、今まで非課税とされてきた利益に対しさかのぼって課税されます。それだけでなく、使用していた口座は廃止されます。
 
ジュニアNISA口座は、非課税口座の未成年者口座と払い出し制限付きの未成年者課税口座とで構成されます。ジュニアNISAという箱の中に、非課税・課税の箱があるイメージです。
 
売却した場合の代金は、払い出し制限付きの未成年者課税口座(未成年者口座開設と同時に開設されたものに限る)で管理されますが、この代金も18歳である年の前年12月31日までは払い出しできません。必要な一部分だけ払い出せる一般NISAと違い、一部分だけの引き出しもできません。
 
また、金融機関を変える場合は、今まで使ってきた口座を廃止しなければ新たに口座を開設できません。これも、廃止にするには商品を売却しますが、18歳未満ではさかのぼって課税されてしまいます。
 
ところが、令和2年の税制改正によりジュニアNISA制度は2023年12月31日で廃止となり、2024年1月1日より18歳未満で払い出してもさかのぼって課税されなくなり、非課税のまま払い出せます。そのため、ジュニアNISA口座の人気が出たのです。
 

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【廃止後】最長18歳まで非課税運用を続けられる

ジュニアNISAも一般NISAと同様、5年間の非課税運用の後に、新たな未成年者口座(非課税)にロールオーバー(移管)ができます。売却もできます。
 
売却代金やロールオーバーしなかった商品は、払い出し制限付き課税未成年者口座で管理します。ジュニアNISA制度終了までなら、課税未成年者口座から未成年者口座へ再投資ができます。
 
2023年12月31日で制度が廃止となりますが、ジュニアNISA口座で2023年に買い付けたものは、最長2027年までの5年間、非課税で保有ができます。
 
制度廃止前までに成年年齢20歳(2023年1月1日以降は18歳)になる場合は、一般NISAが自動的に開設されます。ロールオーバーをすることで、非課税での運用が続けられます。
 
制度廃止時に未成年である場合は、ジュニアNISA制度廃止により新たな未成年者口座(非課税)を作ることはできませんが、「継続管理勘定」にロールオーバーをすることで、18歳になるまで非課税で保有できます。継続管理勘定では再投資できませんが、売却は可能です。
 
高校卒業時に焦点を合わせていたジュニアNISA口座ですが、必要なタイミングで非課税のまま払い出せるようになります。大学進学以外の目的、例えば中学受験や高校受験の費用等、さまざまな目的を持たせて使えます。
 
ただし、さかのぼって課税されなくなっただけで、引き出せば使用していた口座は廃止されます。一部引き出しはできません。そして、口座変更もできません。いったん口座を廃止してからでないと、新たな口座は開設できません。ご注意ください。
 

*注意

この記事は、2021年11月現在の情報です。
 
2022年4月1日から成年年齢の引き下げに伴い、成年年齢20歳が18歳とされますが、令和元年度税制改正により、2023年1月1日以降にNISA口座つみたてNISA口座は口座開設の場合、18歳からとされます。
 
よって、2024年1月1日以降に開設される継続管理勘定で非課税保有できるのは、18歳までとなります。
 
出典
金融庁「あなたとNISA」
財務省「令和2年度税制改正の大綱」
国税庁「ジュニアNISAの手続に関するQ&A」
国税庁「令和元年度 所得税の改正のあらまし」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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