上昇相場が終わり、下落相場が始まったとき、どこまで下がるかを見極めたい。どうすればいいの?
配信日: 2021.12.29
エリオット波動理論においても似たような考え方があり、以前の記事(『相場の波を捉える「エリオット波動理論」。その根底に流れる「フィボナッチ」ってなに?』)でお伝えした「黄金比」、テクニカルツールとしては「フィボナッチ・リトレースメント」を活用したりします。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
フィボナッチ・リトレースメントとは
フィボナッチ・リトレースメントとは、フィボナッチ級数における関係比を応用したテクニカルツールです。基本的な数値としては、「0」から起算すると「0.236」、「0.382」、「0.5」、「0.618」、「0.786」、「1.0」……という並びがあります。
フィボナッチ・リトレースメントを活用する目的は、相場がどの水準まで戻るかを予測することですが、上昇相場においては、どの水準まで上げるか、逆に下落相場においては、どの水準まで下げるかの目処を探るために用います。
下の図は、エリオット波動理論における衝撃波と修正波の基本的な捉え方ですが、フィボナッチ・リトレースメントを活用する簡単な方法としては、衝撃波が終わりを迎え、修正波が形作られていく段階で、どの水準まで相場が下げていくかの目処をつけていきます(衝撃波が形作られていく段階でのフィボナッチ・リトレースメントの使い方は、もう少し説明が必要となるため、ここでは割愛します)。
※筆者作成
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フィボナッチ・リトレースメントの使い方
それでは、フィボナッチ・リトレースメントの使い方について下の図で見ていきましょう。
第V波の終点を起点に、相場が修正波に転換すると仮定します。要は、それまでの上昇相場が第V波で終わり、その後、下落相場が訪れているというタイミングです。
このような局面で気になるのが「どれぐらいの水準で下げ止まるか」ですが、冒頭で簡単に説明した「半値戻し」のラインが下の図にある「0.5」の水準です。これは、それまでの上昇分に対して半分値を戻すという意味です。
※筆者作成
フィボナッチ・リトレースメントでは、「0.0」を起点に「0.236」、「0.382」、「0.5」、「0.618」、「0.786」、「1.0」と切り下がっていきますが、これらの水準が当面の下値の目処と考えていきます。第V波までの上昇分に対して、0.236分値を戻す、0.382分値を戻す、0.5分値を戻す、0.618分値を戻す、0.782分値を戻す、1.0分値を戻す、といったように計測していきます。
例えば、それまでの上昇分が1万円の場合、フィボナッチ・リトレースメントでは、0.236は2360円程度値を戻すと捉えます。
「半値戻し」の場合は0.5戻しであるため、5000円程度値を戻すだろうと想定し、1.0分値を戻す場合は、いわゆる「全値戻し」と呼ばれますが、上昇分の1万円が相殺されてしまうぐらいの水準になります。
ちなみにエリオット波動理論では黄金比として0.618が美しい数字であるため、この場合、6180円程度値を戻すと考えます。
エリオット波動理論を活用する場合、半値戻しである0.5や黄金比の0.618はもちろんのこと、0.618の裏の数字である0.382も重要な戻り水準として捉えられるため、おおよそ3割から6割戻しの水準は常に想定しておくと良いかもしれません。
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まとめ
実際の相場では、上値目処、下値目処といった言葉や、上昇の目処、下落の目処といった言葉が日常的に使われます。フィボナッチ・リトレースメントによって上値や下値の目処を探るのは1つの方法ですが、「移動平均線」や「一目均衡表」、「ボリンジャーバンド」、「ピボット・ポイント」など、他にもさまざまな方法があります。
投資に慣れるまでは、さまざまな方法を試しながら自分に合ったテクニカルツールを選んでみると良いでしょう。
次回は、移動平均線の基本的な使い方についてお伝えしていきたいと思います。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)