更新日: 2022.01.29 株・株式・FX投資
米国のインデックス・ファンドを毎月買ってドルコスト平均法の効果を検証してみた
コロナ禍の2020年初頭から2021年末の2年間、米国のインデックス・ファンドをドルコスト平均法で毎月買ったら、どのくらいもうかったでしょうか?
この記事では、それを検証してみたいと思います。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
目次
インデックス・ファンドとは?
インデックス・ファンドとは、その値動きが日経平均株価指数やダウ・ジョーンズ指数など、市場の動きを示す指数に連動するように設計されている投資信託をいいます。
インデックス・ファンドへ投資をすると、トヨタやアップルなど特定の銘柄を購入する場合と比べ、市場全体の動きに投資することになるので個々の銘柄の価格変動リスクが軽減され、効果的に分散投資ができるという利点があります。
コロナ禍に間にどれだけ株価が上がったかを見るためには、インデックス・ファンドへ投資した場合の成果を確認するのがいいということになります。
ここでは、米国のS&P500(※1)に連動するインデックス・ファンドに投資した場合の成果を示して、ドルコスト平均法(※2)の有効性を検証してみたいと思います。
(※1)S&P500とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している米国の代表的な株価指数で、ニューヨーク証券取引所、NASDAQなどに上場している企業のうち、代表的な500銘柄を時価総額で加重平均し、指数化したものです。
(※2)ドルコスト平均法とは、長期積立投資に用いられる手法で、株式等の変動制金融商品を一定の金額で定期的に購入する方法です。これにより、株価が高いときには少なく、株価が安いときには多く購入でき、平均購入単価が小さく済みます。
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ドルコスト平均法(定額購入法)で2年間購入した場合
以下の表は毎月一定額ずつ、すなわちドルコスト平均法で、コロナ禍の2年間にインデックス・ファンドを購入した場合の実績を示しています。
※筆者作成
2020年1月から2021年12月までの24ヶ月にかけて、毎月3万3333円ずつS&P500のインデックス・ファンドの買い付けを行います(毎月3万3333円の投資を行うと年間投資額は約40万円となり、つみたてNISAの年間の非課税投資上限額になります)。
インデックス・ファンドの買付単価は毎月変動しますが、買付額は3万3333円で一定です。買付単価の変動に合わせ、買付口数がどのように変化するのかを、例を挙げて説明します(詳細は上の表を参照してください)。
買付金額3万3333円÷買付単価1万1873円/1万口×1万=買付口数2万8075口
買付金額3万3333円÷買付単価1万8303円/1万口×1万=買付口数1万8212口
これを見て分かるように、買付単価が安いとき(1万1873円)には、買付口数が多くなり(2万8075口)、買付単価が高いとき(1万8303円)には、買付口数が少なくなります(1万8212口)。
すなわち、株価が高いときには少ししか買えず、株価が安いときには多く買えるので、平均買付単価が下がるというドルコスト平均法の効果が現れていることが分かります。2年間の平均買付単価は、1万3330円となります。
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定量購入法で毎月一定口数を2年間購入した場合
以下の表は毎月一定の口数ずつ、定量購入法でインデックス・ファンドを2年間購入した場合の実績を示したものです。
※筆者作成
定量購入法で買い付けをした場合はどうなるでしょうか?
買付口数は、2年間の総買付口数がドルコスト平均法の場合とほぼ一致するように、1回当たり2万5005口としています。
買付単価の変動に合わせ、買付金額がどのように変化するのかを、ドルコスト平均法の場合と同様に例を挙げて説明します(詳細は上の表を参照してください)。
買付単価1万1873円/1万口×1万×買付口数2万5005口=買付金額2万9688円
買付単価1万8303円/1万口×1万×買付口数2万5005口=買付金額4万5767円
式を見て分かるように買付口数が一定なので、買付単価が安いときには買付金額が小さく、買付単価が高いときには買付金額も大きくなります。この場合は、ドルコスト平均法のように平均買付単価を下げる効果はありません。
2年間の平均買付単価は、1万3793円となります。これは各月の買付単価を単純に平均したものです。ドルコスト平均法の平均買付単価は1万3330円なので、定量購入法の単価の約97%となり、ドルコスト平均法の方が約3%安く購入できたことになります。
2年間の平均買付単価 | 比率 | |
---|---|---|
ドルコスト平均法 | 1万3330円 | 約97 |
定量購入法 | 1万3793円 | 100 |
※筆者作成
2022年1月に一括売却した場合の利益比較とドルコスト平均法の効果
ドルコスト平均法と定量購入法で購入したものを、2022年1月7日に売却した場合、それぞれの利益はいくらになるでしょうか?
いずれの場合も売却単価は同じ、売却口数はほぼ同じとなります。
以下の表に示すように、ドルコスト平均法で購入した場合の利益は33万8930円、利益率は42.4%です。一方、定量購入法で購入した場合の利益は31万1140円、利益率は37.6%となります。
利益率において、ドルコスト平均法の方が、約5%高いという結論が出ました。積立投資を行う際には、ドルコスト平均法で行うべきということが、実際の株価の動きからも立証されたことになります。
※筆者作成
まとめ
ドルコスト平均法の効果については、お分かりいただけたと思います。
それに加えて分かったことは、直近2年間で米国のインデックス・ファンドに積立投資をした場合、40%を超える利益が出たということです。これは、米国株式がコロナ禍の2年間で大きく上昇したことを示しています。その点については、また機会を見て論じてみたいと思います。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー