相場の基本軸である「循環軌道」と「巡航速度」。これを知っておくと、下値の目処が概ね予測できる!?
配信日: 2022.02.08
基本的に単純移動平均線は、株価などのトレンドがどうなっているのかを確認し、その後どうなるのかを見極めるために使うテクニカルツールですが、この考え方に割高感・割安感の判断を組み合わせると、投資判断の精度がより高まる可能性があります。
その上で重要な考え方が「循環軌道」や「巡航速度」ですが、今回は、これらに絡めて「下値のめど」についてのお話をしていきたいと思います。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
循環軌道と巡航速度の意味
まず、相場における「循環軌道」のイメージですが、図表1のように捉えてみてください。
株価を黒の線、循環軌道を緑の線として描いていますが、循環軌道とは単純に、株価がどのようなトレンドで動いているかをならした曲線といい換えられます。
つまり、ある株価が傾向として、このようなトレンドで動いているということを示している線が循環軌道です。
【図表1】
※筆者作成
一方、巡航速度とは、循環軌道を形成している傾きをいいます。
傾斜角といい換えても差し支えありませんが、イメージ的には、急激に上昇している場合はスピードが速い、緩やかに上昇している場合はスピードが遅いといった、チャートでいうところの縦軸と横軸の対比関係を示しています。
このような循環軌道や巡航速度を測るために、前回お伝えした単純移動平均線などの移動平均線を活用します。
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循環軌道と下値のめどの関係
循環軌道を軸にして実際の株価の推移を見比べ、割高感・割安感を見極めていきます。
先ほどの図表1を用いると、循環軌道より株価が上にある場合、その株価には割高感がある、逆に下にある場合は、その株価には割安感があるといった判断になります。
これについても、前回お伝えした単純移動平均線と同じ考え方ですが、循環軌道の考え方を理解しておくと、チャート分析で重要な上値のめど、下値のめどをどのように探ればいいかが少し見えてきます。
図表2をご覧ください。
【図表2】
※筆者作成
相場では、利益よりも損失への対応力が問われてくるため、下値のめどを中心に考えてみると、図表2では青色の破線の丸の箇所において下値がついていることが分かります。
これらの箇所は緑の線である循環軌道との接点に位置していますが、循環軌道を意識しながらチャート面を眺めていくと、例えば、それまでの上昇トレンドが転換して調整局面に移行した後、どの水準で下値をつけるかの候補をある程度見いだすことができます。
つまり、株価がどこまで下がる可能性があるかの1つの基準が、循環軌道との接点であるという考え方です。
あくまでも候補であるため、可能性に過ぎませんが、前回お伝えした単純移動平均線は循環軌道としての意味合いを持つため、単純移動平均線の設定によって下値を模索することができるようになります。
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まとめ
相場は、あるラインを軸に行ったり来たりのシーソーを繰り返しながら動くものです。
相場理論の多くの場面で活用されている考え方ですが、別の表現をすると、リスク管理やリスクヘッジといった分散投資の考え方はもちろん、数学的には正規分布や標準偏差を基にした不確実性への対応につながってきます。
このため、今回お伝えした循環軌道と巡航速度の概念を身に付けておくと、銘柄ごとに相場の特性が見えるようになり、実際に運用する際に一喜一憂せず、相場に取り組みやすくなります。
今回は循環軌道と巡航速度に触れながら、株価の下値のめどと絡めてポイントをお伝えしました。
次回は、巡航軌道の考え方を理解したことを前提に、単純移動平均線の日数設定について確認していきたいと思います。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)