更新日: 2022.03.02 株・株式・FX投資
単純移動平均線だけで日経平均株価指数のシナリオを考えてみる
今回は、コロナショック後における日経平均株価指数の戻り相場について、50日と200日の2つの単純移動平均線を用いながら考えていきたいと思います。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
単純移動平均線で日経平均株価指数を振り返る
図表1のチャートは、コロナショック以降、2022年2月16日時点における日経平均株価指数の日足です。
黒色の線が日経平均株価指数、紫色の線が50日単純移動平均線、紺色の線が200日単純移動平均線と捉えてください。
【図表1 日経平均株価指数(日足)】
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
コロナショック後、日経平均株価指数は、間もなくして50日単純移動平均線を下から抜けました。このとき、日経平均株価指数と50日単純移動平均線が交差し、ゴールデンクロスが現れました。
その後、50日単純移動平均線が200日単純移動平均線を下から上回り、50日単純移動平均線と200日単純移動平均線が交差してゴールデンクロスが現れました。
これらの意味したことは、短期的にも、中期的にも、日経平均株価指数が上昇局面に入ったということです。
そして、200日単純移動平均線と実際の株価との距離が大きく乖離(かいり)した後、当時の総理大臣であった菅義偉氏が辞任する数日前、日経平均株価指数が50日単純移動平均線を下回り、さらに200日単純移動平均線との間でもデッドクロスが現れました。
菅氏が辞任すると日経平均株価指数は跳ね上がり、再びゴールデンクロスが出現し、株価は急上昇していきました。
その後間もなく、日経平均株価指数はピークをつけて再び下落、2022年2月16日時点では、依然として株価は50日単純移動平均線と200日単純移動平均線の両方を割り込んでいる状況にあります。
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単純移動平均線だけでみたコロナショック後の戻り相場
単純移動平均線だけで株価をみる場合、確認すべきポイントは以下の3つです。
(1)日経平均株価指数と50日単純移動平均線・200日単純移動平均線との距離(乖離幅)
(2)50日単純移動平均線と200日単純移動平均線が向かう先(循環軌道:トレンド)
(3)日経平均株価指数・50日単純移動平均線・200日単純移動平均線における、ゴールデンクロスとデッドクロスの水準
【図表2 日経平均株価指数(日足)】
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
2022年2月16日時点では、(1)はいくらか元に戻っている状況ですが、まだ距離があります。
(2)については依然として若干の右肩下がり、(3)については、日経平均株価指数が50日単純移動平均線と200日単純移動平均線の双方をデッドクロスし、下抜けした状況が続いており、また50日単純移動平均線と200日単純移動平均線との間でデッドクロスした後、こちらも下抜けした状況が継続しています。
このように単純移動平均線だけでみた場合、これらからいえることは、日経平均株価指数は中期的には、依然として調整局面(ここでは下降局面)の中にある可能性が高いということです。
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単純移動平均線だけで考える2つのシナリオ
実際の投資においては、このような方向感というか、トレンドを頭に入れながら、もし相場が回復するなら、反対に相場が回復しないなら、といった2つのシナリオを描いていくことになります。
繰り返しになりますが、単純移動平均線だけでシナリオを描く場合、おおよその見方としては、次の点がポイントになるのではないでしょうか。
(1)中期回復シナリオ
回復後の上昇のめどは、2万8000円近辺か、2万8500円近辺であろう。
【図表3 日経平均株価指数(日足)】
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
この考え方は、単純移動平均線が上値抵抗の値になる、下値支持の値になる、ということに基づいています。
実際の株価が単純移動平均線を下回った後、上昇する場合、上値のめどの1つとして、単純移動平均線の値が候補になります。
逆に、株価が単純移動平均線を上回った後に下落する場合は、下値のめどの1つとして、単純移動平均線の値が候補となります。
このような考え方に基づき、2022年2月16日時点での50日単純移動平均線の値がおおよそ2万8000円水準、200日単純移動平均線の値がおおよそ2万8500円水準であるため、仮に日経平均株価指数が回復、上昇するなら、これらの水準が目標値として注目されるだろうという意味のシナリオです。
(2)中期下落シナリオ
50日単純移動平均線でみると、すでに下値をつけた可能性がある。しかし、200日単純移動平均線でみると、もう一段の下落もあり得るだろう。
【図表4 日経平均株価指数(日足)】
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
この考え方は、実際の株価と単純移動平均線との距離(乖離幅)に着目したものです。
日経平均株価指数と50日単純移動平均線との距離は、過去の時点を例に取ってみると、おおよそ下げ切っていると考えることができるかもしれませんが、200日単純移動平均線との間では、依然として乖離幅が足りていないように映ります。
このように、(1)中期回復シナリオ、(2)中期下落シナリオについて、単純移動平均線だけで考えた場合、総評としては、例えば今後、日経平均株価指数は2万8000円水準までは戻すものの、仮にそこで上値を抑えられると、再び深く下落していく可能性があるだろうと推論することができます。
まとめ
単純移動平均線を活用する場合、いくつかのポイントを確認した上でシナリオを組み立て、それらを基に推論をぶつけていくことになります。
今回は、チャートの画面をみやすくするためにラインチャートで解説しましたが、始値・高値・安値・終値の4本値を記したローソク足を用いる方が、実際の相場状況がみえやすくなると思います。
また、今回の内容については、あくまでも単純移動平均線だけで相場状況を確認したものですので、実際は他ほかのテクニカルツールも取り入れながら、総合的に分析していくといいかもしれません。
今回で、これまで続けてきた単純移動平均線の話題はいったん終了します。
今後も他のテクニカルツールも含めて言及していこうと考えていますが、世界のマーケット環境が変わってきているため、次回からは基本に立ち返り、相場の変動要因に関する事柄に触れていきたいと思います。
出典
TradingView Inc. TradingView
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)