更新日: 2022.03.10 資産運用

リスクがあるがクーポン(利率)もある・仕組み債とは?

リスクがあるがクーポン(利率)もある・仕組み債とは?
資金を運用して資産を増やそうとする人は増えつつあるようです。その運用対象は、内外の投資信託、ETF、個別銘柄株式、債券などさまざまありますが、今回は、債券の一種として区分けされている「仕組み債」について学んでみましょう。
 
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

債券と仕組み債

債券とは債務証券のことで、国・自治体等や企業が投資家から資金を借りる際に発行する有価証券のことです。その利率は時代と共に変化してきましたが、発行体が国・自治体・大手企業なので信頼度が高く、中でも国内債券は最も安全な金融資産の位置づけです。
 
一方で仕組み債は、債券の一種と位置付けられていますが、「債券」と「デリバティブ」を組み合わせた有価証券と言うことができます。
 
   
 
デリバティブとは、金融派生商品のことで、「先物商品」「オプション取引」「スワップ取引」などの高度な金融取引技術を使った取引のことです。
 
債券は、決められた期間に約束の利率が支払われる証券ですが、仕組み債は、利率や償還金額、期日に条件が設定されていますので、リスクのある債権です。
 
仕組み債の発行者はデリバティブを使っていますが、投資家はデリバティブの内容よりは、利金の支払いと償還の条件をよく確認することが何よりも大切です。
 

仕組み債の用語と償還について

金融商品にはそれぞれの専門用語がありますが、仕組み債の場合にも独自の専門用語があります。利金(クーポン)の支払い条件や償還に関わるものなので、最初にこれらを説明することから始めましょう。
 
仕組み債には、株価指数の値動きによって償還額が決まるものが多くあります。下図は、日経平均株価などの指標の動きと償還額の関係を4つのパターンを想定して図示した一例です。
 

                           (※)を元に筆者が作成
 
以下の用語は、仕組み債の発行会社によって表現が異なっている場合もありますが、ここではよく使われている用語例を挙げてみました。
 
・基礎(当初)価格 
債券と連動(リンク)する株価等の指標の基準値のことです。募集前に決定日時が案内され、利率や償還時期を決める価格となります。
 
・リンク(連動) 
債券の利率や償還時期・価額を決める際に、個別銘柄やインデックス指標と対照することを連動(リンク)と言います。
 
・トリガー価格(早期償還判定水準)
早期償還判定水準とも言われます。基礎価格から5%~10%程度高い価格で設定されることが多く、早期償還を決める価格になります。
 
・早期償還     
債券は償還期日が決められていますが、仕組み債は、利息判定日にリンク指標の株価等がトリガー価格を超えた場合には、予定償還期日前でも額面(100%)で償還されます。
(図中(1)のケース)
 
・ノックイン価格
基礎価格の60%~70%程度で設定されることが多く、償還価格を決める数値のことです。
 
期間中に連動している株価指数がノックイン価格を下回っても、償還期日に基礎価格まで戻った場合は額面で償還されます。(図中(2)のケース)
 
ただし、ノックイン後、償還期日に基礎価格まで戻らない場合は、額面割れ償還となります。
 (図中(3)(4)のケース)
 

仕組み債の利金(クーポン)の決まりかた

仕組み債には、利率が固定されているもののほかに、単独の利率と複数の利率を組み合わせた商品があります。今回は1%と5%の利率を設定した例を見てみましょう。
 

                              事例を元に筆者が作成
 
仕組み債の利率は、対象期間と利率判定日が決まっているものがあり、リンクする指標や株価に対照して1%~5%(1%未満から、さらに高い利率もある)の利率が適用されます。
 
この図の例では、
 

●1回目判定日 利率判定日のリンク指標価格が基礎価格以上であり、5%の利率が適用されます。
 
●2回目判定日 リンク指標価格が基礎価格以下であり、1%の利率が適用されます。
 
●3回目判定日  基礎価格以下であり、1%の利率が適用されます。
●4回目判定日  基礎価格以上であり、5%の利率が適用されますが、トリガー価格を上回っているので早期償還されます。

 

まとめ

仕組み債は、債券の利回りが低利率となっている中で、高利回りが得られるので一部の投資家からは支持を得ていますが、しくみが難しいことに加え、大幅元本割れのリスクがあるので、注意が必要です。リスクの高い商品への投資に挑戦する場合は、運用資金枠の中で比率を決めて、配分することが大事でしょう。
 
出典
 
(※)日本証券業協会 「仕組債」とは?
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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