更新日: 2022.05.26 不動産投資
退職金で「不動産投資」はできる?メリットや注意点も紹介
不動産投資をするメリットや注意点についても解説します。
執筆者:荒木和音(あらき かずね)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
老後の資産形成の手段として不動産投資は適している
不動産投資とは、保有する不動産から家賃収入を得たり、売却して利益を得たりする投資方法です。家賃収入を得る方法には、一般的に次のような種類があります。
・マンションやアパートの一室を区分所有し、貸し出す
・マンションやアパートを一棟丸ごと所有し、貸し出す
・一戸建てを購入し、貸し出す
金融庁によると退職後の限られた収入の中で生活していく場合には、毎月5万円程度の不足分が発生するとされており、公益財団法人生命保険文化センターによると実際に8割以上の方が公的年金だけでは不十分と感じています。不動産投資は、老後の資産形成をするために有効な選択肢の一つです。
不動産投資以外に資産形成に役立つ方法としては株式投資や債権などがあります。
しかし、株式投資は元本が保証されておらず、値動きも大きいため「ハイリスク・ハイリターン」の投資方法です。一方、債権は値動きがさほど大きくないため「ローリスク・ローリターン」とされているため、必要な老後資金を確保できない可能性があります。
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法です。現物の資産があるため、すぐに元本がゼロになることは考えにくく、家賃収入によって毎月安定的に収入を得られるケースもあります。
不動産投資は元手が少なくても始められる
2022年3月時点で、全国のマンション成約価格の平均は3309万円、一戸建ては2617万円となっています。一方、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者(大卒)に支給された退職金の平均額は約2000万円です。
退職金だけでは不動産投資ができないと考える方もいるかもしれませんが、銀行や信託銀行などで取り扱う不動産投資用のローンを利用すれば、元手が少なくても始められる可能性があります。ただし、現在は融資に消極的な金融機関が多いため、退職前の早い段階から融資を受けることも検討しておく必要があるでしょう。
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退職金で不動産投資をするメリット
退職金で不動産投資をするメリットは主に次の2つです。
年金以外の収入源が得られる
相続税の節税対策になる
定年後の収入源のメインとなるのが年金です。しかし、国民年金の支給額は定期的に見直しがされており、2021年度からは0.4%引き下げられています。年金以外の収入源があることで、老後の生活資金の不足が解消され、余裕をもった生活を送れるようになるでしょう。
また、相続税の節税対策になるのも大きなメリットです。相続税の計算では、正味の遺産額から基礎控除を差し引いた分が課税対象となります。正味の遺産額を算出するために必要なのが「評価」です。評価は「財産評価基本通達」に基づいて行われるため、地域ごとに差が生じます。
不動産では現金で遺産を残す場合と比べて評価額が抑えられることにより、結果として相続税が安く済むケースがあります。
不動産投資をする上での注意点
不動産投資をする上では、運用に関する正しい知識を身につけることが重要です。特に次のようなリスクについては十分把握しておきましょう。
・空室率が上昇すると想定どおりの家賃収入が得られなくなる
・古い物件の場合には大規模修繕が必要となるケースがある
・サブリースを利用した場合、賃料の減額や中途解約が発生する可能性がある
また、投資用マンションに関しては悪質な勧誘が横行しています。「絶対に儲かる」といった話には注意が必要です。
退職金の全額を不動産投資にあてないことも大切なポイントといえるでしょう。不動産以外の資産にも分散して投資すると、投資リスクを減らせます。
出典
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活にどれくらい不安を感じている?
日本証券業協会 金融におけるリスクとはなにか
公益財団法人不動産流通推進センター 指定流通機構の物件動向(令和4年3月)
厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 結果の概況
金融庁 投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果(主なポイント)
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
国税庁 No.4602 土地家屋の評価
国税庁 財産評価
一般財団法人 住宅改良開発公社 サブリースの仕組みと今後の動向
国土交通省 国土交通省から消費者の皆さんへのお知らせ・注意喚起(マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等)
金融庁 投資の基本
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士