更新日: 2022.08.04 株・株式・FX投資
一目均衡表の「三役好転」。3つの役がそろったら買いシグナル点灯!?
なぜならば、基本を知らずに応用である三役好転、三役逆転を知っても、一目均衡表を使えるようになったとは言えないからです。
今回からは、一目均衡表の基本的な考え方を習得したことを前提に、一目均衡表における売買判断の核である、三役好転、三役逆転について一緒に学んでいければと思います。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
三役好転とは
三役好転は、端的にいうと「3つの役が揃って初めて相場が好転した(強気に入る)といえる」という意味です。
三役というと、花札のような印象を持つ方もいるかもしれませんが、一目均衡表を考案したのは日本人なので、我々日本人にとっては投資でよく用いられる英語表記の言葉よりも、ずっと感覚的に頭に入ってくる言葉のように思います。三役好転の「三役」は、次のとおりです。
(1)転換線が基準線を上抜けた
(2)遅行線が相場(株価など)を上抜けた
(3)相場(株価など)が雲を上抜けた
線や雲については過去の記事を参考にしていただければ幸いですが、言葉で説明するよりも実際のチャートで見る方が分かりやすいので、日経平均株価指数の日足チャートで三役好転について確認してみましょう。
〇日経平均株価指数(日足)、一目均衡表
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
※解説を目的に使用しています。
それぞれの線や雲は、チャート上で色分けされているとおりです。
このチャートでは、左側に位置している(1)、(2)、(3)が三役を示していますが、(1)の位置では転換線が基準線を下から上に交差するゴールデンクロスが現れています。
(2)では、遅行線が日経平均株価指数(緑や赤の棒グラフのようなローソク足)を下から上にゴールデンクロスして上抜けています。そして、(3)の地点でようやく日経平均株価指数が雲を下から上に抜けました。
一目均衡表では、この三役が揃って初めて相場が強気に転じた、つまり「好転」したと判断します。このような状況を「三役好転」といいます。
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三役好転の問題点
三役好転は、一目均衡表における、いわゆる「強気シグナルの点灯」を意味します。相場が強気に転じた根拠と捉えるため、三役好転を確認した後は積極的に買いに走る方がいいとされます。
先ほどのチャートでは、三役好転が確認された後、日経平均株価指数は力強く上昇していきましたが、このように三役好転は強い上昇を伴う可能性を示唆しています。
ただし実践では、このような力強い上昇を見つけることができるのはそれほど多くはなく、一目均衡表における三役好転は、三役好転の前にすでに相場が下落トレンドから上昇トレンドに転換しているため、どちらかというとトレンド転換の判断としては遅いという問題があります。
こうした理由から、他のテクニカルツールも併用しながら売買の判断をする必要があります。
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まとめ
個人的には、一目均衡表は相場の上値や下値の目処を探る上で有効なツールだと捉えていますが、三役好転という買いシグナルを待って投資判断を下すのは遅いと考えています。
このため、他のテクニカルツール、例えば移動平均線やボリンジャーバンド、MACD、RSIを併用しながら、一目均衡表も一応確認するというスタンスで投資判断を下しています。
どのテクニカルツールを用いるかは、人それぞれ使いやすいものを活用すればいいと思いますが、一目均衡表の三役好転は、投資判断における後追いの確証を得るための根拠として捉えておくといいかもしれません。
次回は、三役好転の逆シグナルである「三役逆転」について見ていきたいと思います。
出典
TradingView Inc. TradingView
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)