更新日: 2022.08.19 NISA
一般NISAで運用5年。出口戦略はどうする? FPが3つの出口を解説
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
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5年間で非課税期間は終了!
まずは、NISA制度のおさらいです。NISAは、投資で得た配当金や売却益に掛かる税金が非課税になる制度です。一般NISAでは、年間120万円までの投資金額に利用できますので、この制度を利用して投資を始めた人もいらっしゃるでしょう。
つみたてNISAに比べて、個別株式にも投資できる特徴がありますので、配当金目的や株主優待狙いで投資している場合もあるはずです。
この一般NISAは、非課税期間が5年と決められています。これは年単位でカウントされますので、2018年に取得した株式や投資信託は、今年末に期限を迎えることになります。
年末まで少し時間がありますが、株式投資において出口戦略は大切です。手持ちの資産をどう動かすのか、準備しておく必要があります。
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非課税期間が終了したら選択肢は3つ
非課税期間が終了したら保有している金融商品をどうするのか、選択肢は3つあります。
(1)翌年の非課税枠に移管(ロールオーバー)する
(2)課税口座に移管する
(3)非課税期間内に売却する
詳しく内容をみてみます。
(1)翌年の非課税口座枠に移管(ロールオーバー)する
非課税が終了する保有商品を、2023年分の非課税枠に移し替えるやり方です。注意点が3つあります。
注意点の1つ目は、2023年に購入することができる金額は、<120万円-ロールオーバーによる使用額>に減ってしまいます。
移管時の金額はもともとの取得金額ではなく、年末の時価(終値に相当する金額)が適用されます。50万円で購入した商品が、年末時点で40万円に減っていたら40万円、60万円に増えていたら60万円で評価されます。
60万円になっていたら、翌年2023年の枠は120-60=60万円となり、新規に購入できる枠が少なくなることに注意が必要です。
もし、年末に120万円以上に値上がりしていた場合でも、翌年2023年の枠にロールオーバーできますが、その場合は残り枠がありませんので、新規の購入はできません。
注意点の2つ目は、ロールオーバーには手続きが必要です。ロールオーバーを希望する場合は、「非課税口座内上場株式等移管依頼書」の提出が求められる場合もあります。
提出期限の締め切りは11月末必着(オンラインサービスの場合は12月15日)です。何もしないで放っておくと、自動的に課税口座に移管されます。
注意点の3つ目は、つみたてNISA口座を開設した場合や、NISA口座をほかの金融機関に変更している場合は、ロールオーバーできません。2023年の一般NISA口座を準備する必要があります。
(2)課税口座に移管する
NISA口座から出して、課税口座に移管して保有し続ける方法です。移管後の配当金や売却益には、税金が掛かります。注意すべき点は、移管時の時価(年末時点の時価)が基準になることです。
当初50万円で購入した株式を、5年後に課税口座に移管するとします。年末時点で40万円に値下がりしていたら、40万円が基準になります。
1.その後45万円のときに売却すると?
もともとの50万円ではなく40万円が基準なので、売却益となり、45-40=5万円に対して課税されます。
2.その後35万円のときに売却すると?
35-40=-5万円となり、5万円の損失です。この損失はほかの金融資産と損益通算できます。
(3)非課税期間内に売却する
非課税期間内に売却した場合の売却益は、非課税です。逆に損失が出た場合、ほかの金融資産との損益通算はできません。受渡日が非課税期間内(12月末)となる取引が対象なので、年末ギリギリの取引には注意が必要です。
また、非課税期間内に支払われる配当金や分配金は非課税ですが、それ以降に受け取る場合は課税されます。
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非課税期間の終了は、保有商品整理のチャンス
3つの出口を確認したところで、実例を少し考えます。
筆者自身は、2018年のNISA口座120万円の枠の半分を投資信託での定額積立に使い、残りの半分の枠を、2銘柄の個別株式の投資に充てています。毎月定額積立の成果が出て、投資信託の残高は順調に増えました。そこで投資信託部分は、年内の売却を考えています。
売却後は証券口座から引き出さず、新たな投資の原資にする予定です。個別株式Aは高配当株式なので、手続きをしてロールオーバーしようと思っています。
一方、個別株式Bは、配当も少なく残念ながら値下がりしています。株主優待に魅力を感じていますが、課税口座で保有し続けるか売却するか、思案のしどころです。
株式投資では、売却のタイミングが難しいかもしれません。手放すタイミングを逸して、塩漬けになったまま保有し続けているケースもあるでしょう。
「5年たったけど、どうする?」と肩をたたかれているようです。非課税期間の終了は、銘柄の入れ替えなど真剣に考える機会になりそうです。
出典
金融庁 一般NISA
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士