更新日: 2022.09.12 その他資産運用

【1790万円から2380万円(?)】同じ部屋なのに価格評価の差がこんなに大きいのはどうして?

執筆者 : 上野慎一

【1790万円から2380万円(?)】同じ部屋なのに価格評価の差がこんなに大きいのはどうして?
ワンルームマンションを1室所有し賃貸運用している知人がいます。
 
彼の自宅に、その部屋を売ってほしいというダイレクトメール(DM)が最近よく送られてきて、送付している不動産業者はいずれも全然知らないところだそうです。
 
先般はそんなDM が同じ週に3通もきて、それぞれに具体的な価格も書いてあった。びっくりしたのは、その数字のあまりの差。1790万円、2050万円、2380万円だった。そんなことを聞きましたが、これってどうしてなのでしょうか。

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上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

知らない業者から売却勧誘のDMが来るワケ

まずは、面識もない不動産業者がどうして所有者の自宅住所を知っているのか。人の戸籍と同じように、土地や建物の不動産にも登記簿が整備されています。手続きをすれば誰でも見る(閲覧する)ことができ、そこには不動産の所有者や住所のデータも記載されています。
 
今や不動産登記はオンライン化されているので、所定の手続きによってネットでの閲覧やデータ取得などが可能。登記情報(証明力自体はない)ならば全部事項でも1件当たり332円で利用できます(※)。
 
各部屋を誰が持っているのか。総戸数100戸の大きなマンションだって、ネットにつながったパソコンがあれば、たちどころに氏名や住所が分かります。例えば、札幌にある物件の登記内容を福岡のデスクから調べたいときでも、すぐにできるのです。
 
先述のDMは、面識がなかろうが、遠隔地に住んでいようが、所有者へ送付することだけは可能なわけです。
 
特に、賃貸運用することを主目的に分譲されたマンションでは、所有しているが住んではいない人がほとんど。売却するために引っ越しが伴うわけでもなく、こうしたDMに反響がある可能性は通常の分譲マンションよりも高まります。
 

DMの表示価格に大きな差があった一因は

では、先述のDMで見られたような価格差がどうして生じるのか。知人が示した3通にはいずれも、「この価格での購入希望者がいます」などのセールストークが書かれています。
 
よく見ると、2通は住戸の部屋番号を特定して記載しています。しかし残り1通(表示価格2380万円)はマンション名だけが記載されていて、住戸の部屋番号は特定されていません。
 
不動産(土地)は、「1物5価」だとよくいわれます。具体的には次の5つがあって、同じ土地なのにそれぞれが違う数値になることがあるのです。

(1)公示地価
(2)基準地価
(3)相続税評価額
(4)固定資産税評価額
(5)時価(実勢価格)

(5)の時価は、その名のとおり時々によって変化します。計算の仕方もいろいろありますが、その1つが「収益還元法」。不動産(土地建物)から得られる収益額を期待利回りで割り算したものです。
 
例えば、手取りで月々7万円を稼ぐマンションで期待利回り4%ならば、[7万円/月×12ヶ月÷4%=2100万円]という計算です。5%だと1680万円、3%ならば2800万円。利回りをちょっと変えただけで、総額が大きく動くことがわかります。
 
また、利回りを仮に4%で固定してみても、月々の稼ぎが変わるとどうでしょうか。6万円だと1800万円。7万円の場合から300万円も下がります。5.5万円ならば1650万円。450万円も下落するわけです。
 

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こんなリアクショントークだってありえます

先述のDMを見て「こんなに高く評価してくれるのなら、売却してもいいか」と思う所有者がいるかもしれません。しかし、DMを送ってきた不動産業者に連絡を取ってみると、【図表1】のようなリアクションがあるケースだって珍しくないでしょう。
 


 

まとめ

こうしたDM を送ってくる不動産業者から見ると、DMは売却してくれそうな有望客を発掘するためのツールに過ぎません。手間やコストをあまり掛けずに、反響さえあればしめたもの。あとは収益額、期待利回り、専有面積などの実際の数値を盾にして、当初提示した価格を理屈づくめで下げることができてしまうのです。
 
何だか、漫画『正直不動産』にでも出てきそうなやり方や手口ですが、どれも現実にあった、またはありえる内容です。特に<ケース3>は、各住戸の面積に違いがあることは登記事項の(ネット)閲覧段階で分かるはずなので、悪質さが高いといえます。
 
「時価」に大きな幅がありえるとはいえ、その中で常識的な線の相場というものもあります。不動産売却でもしかりでしょう。そこからあまり飛び出ているようなときは、「うまい話には裏がある」。そんな風に疑ってみる姿勢も必要です。
 

出典

(※)一般財団法人民事法務協会「登記情報提供サービス」~「サービス概要」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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