更新日: 2022.12.01 株・株式・FX投資

(5)S&P500、3200ポイント底値説のシナリオを作ってみよう

執筆者 : 重定賢治

(5)S&P500、3200ポイント底値説のシナリオを作ってみよう
最近、金融関連の記事を読むと、にわかにS&P500が「3200」ポイントまで下がるだろうという予測が目立ち始めたように思います。日常会話の中では、こうした話題はめったに上がることはないかもしれませんが、資産運用をする場合、このような記事が出てきたら、なぜそう考えられているのか、ある程度は念頭に入れる必要があります。
 
以前、投資のシナリオを作成する方法についてお伝えしましたが、今回はS&P500が「3200」ポイントまで下がるシナリオを描いてみたいと思います。
 
※この記事は2022年11月17日時点の情報を基に執筆しています。記事の内容は、あくまでも資産運用の方法を提示するものであり、実際の投資において相場がこうなると断定するものではないことをご理解ください。

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重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

S&P500、「3200」ポイントの意味

それではまず、S&P500の日足チャートを確認してみましょう。
 
2022年11月17日時点では、S&P500は図表1のチャートのようになっていますが、チャートを見ると今年に入ってから下降局面が続いていることが分かります。
 
【図表1】 S&P500(日足)
 


 
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
※解説を目的に使用しています。
 
チャートを週足に切り替えると、図表2のようになります。紺色の線は200日単純移動平均線(200SMA)ですが、S&P500は2022年10月に「3500」ポイントを下回り、200SMAにタッチしました。
 
テクニカル的にはこれを受けて、その後、S&P500は上昇に転じたということができます。
 
【図表2】 S&P500(週足)
 

 
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
※解説を目的に使用しています。
 
もう一度、チャートを日足に切り替えますが、「3200」ポイントというレベルは、チャートに引いた黒色の横線です。
 
この水準はコロナショック後の上昇相場である、いわゆるコロナ相場の上昇幅に対するフィボナッチ・リトレースメント「0.618」の水準と近いことが分かります。ほとんど同じといっても過言ではありませんが、「3200ポイント」底値説は、おそらくこれが大きな根拠になっているのだろうと推察できます。
 
【図表3】 S&P500(日足)
 

 
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
※解説を目的に使用しています。
 
個人的には、元々この線で底値予測のシナリオを組み立ててきましたが、このような予測の記事がようやく出てきたということで、おそらく市場参加者は、下値の目処をこの水準に寄せてくるだろうと考えています。
 

逆業績相場は、S&P500が「3200」ポイントになることで終わる?

仮にこのシナリオを描くならば、前提として相場循環が、これから逆業績相場に突入していくと考えることになります。
 
逆業績相場とは、企業の業績が明らかに下がっており、決算の内容が悪化する企業が続出する中で形成される株式相場のことですが、チャートの波形取りで見ると、図表4のように描くことができます。
 
【図表4】 S&P500(日足)
 


 
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
※解説を目的に使用しています。
 
簡単に説明すると、2022年8月から10月の下落相場が急激な金利上昇を伴う逆金融相場で、その後の反転上昇が間もなく終わり、後に続くのが業績相場という位置づけです。
 
エリオット波動理論においては、2022年8月からの下落相場から2つ目のジグザグ波と計測することができ、現在進行中の戻り相場が「b波」、その後、訪れるであろう下落相場を「c波」と捉えていきます。
 
逆業績相場の特徴は、景気後退、つまり実体経済が不況になることを市場参加者が強く意識することです。
 
この局面では、金利の上昇がピークを迎えて停止し、その後、下がっていきます。その過程で、不況による企業業績の悪化が意識されて株価が下落、その後に金利の上昇が止まり、利下げが実施されるようになると株価は上昇していきます。
 
S&P500が「3200」ポイントまで下落するだろうという考え方は、同時に、逆業績相場の終点がこの水準であろうと想定していることを意味しています。
 

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S&P500、チャート分析

それでは、もう少し細かくチャートを分析していきましょう。
 
エリオット波動理論では、現在進行中の下降局面をダブルジグザグという波形で捉えます。この場合、「A波」の値幅分を「B波」の終点から差し引いた値が「C波」の終点になりますが、その値は「3167.50」ポイントになっています。
 
この点でS&P500、「3200」ポイント底値説との整合性が取れました。
 
【図表5】S&P500(日足)
 


 
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
※解説を目的に使用しています。
 
「3200」ポイントの前に、極めて強いサポートライン(下値支持線)が引かれていますが、その線は2022年10月安値である「3500」レベルと、2020年2月に見られた「3400」レベルです。
 
つまり、S&P500の「3200」ポイント底値説に基づいてシナリオを作成する場合、「3500」ポイントと「3400」ポイントという、極めて強いサポートレベルを突破していく必要があります。
 
世界経済が景気後退に陥る場合は十分に考えられる底値水準であるため、一応、念頭に入れておく必要はあるかもしれません。
 

まとめ

投資を始めると、上値・下値の目処を予測するニュースや記事に触れる機会が往々にしてあります。私たちは、その内容が当たったか、それとも外れたのかと、つい占いの結果のように受け止めてしまいがちですが、そのような受け止め方にはまったく意味がありません。
 
むしろ、今回取り上げたS&P500の「3200」ポイント底値説は、どのような理由で導き出された結論なのか、自分で探る能力を身に付けることの方が余程重要です。
 
投資初心者のうちは難しいかもしれませんが、投資は実践しながら常に学ぶ姿勢が求められます。放ったらかしにすると、当然ながら実力は養われないため、少しずつ経験を積みながら学び続けるようにしていきましょう。
 

出典

TradingView Inc. TradingView
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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