更新日: 2023.01.16 資産運用

定年後に投資はしてもいい?「してはいけない」投資と「してもいい」投資について解説

執筆者 : 辻本剛士

定年後に投資はしてもいい?「してはいけない」投資と「してもいい」投資について解説
長年勤めた会社を定年退職し、まとまった退職金が振り込まれる時、取引している金融機関から投資を勧められるケースはよくあります。しかし、安易に誤った投資をしてしまうと、老後資金の大半を失うかもしれません。
 
本記事では定年後に「してもいい投資」と「してはいけない投資」について解説します。
 
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプランニング技能士、宅地建物取引士、証券外務員二種

老後資金で運用しても大丈夫なのか?

日本の平均寿命は年々延びており、「人生100年時代」と呼ばれています。長生きすればするほど老後資金がかかり、貯蓄だけでは老後資金が不足しがちです。そのため、老後資金を運用に回し、老後資金の目減りスピードを遅らせることは効果的な対策になるといえるでしょう。
 
例えば、「2000万円の老後資金」を一切資産運用せずに毎月10万円ずつ切り崩すと、17年弱で枯渇します。
 
しかし、老後資金の半分(1000万円)を年率4%で、15年間複利で運用すれば、約800万円も増えることになり、老後資金に回すことが可能です。
 
ただし、定年後に投資を始める場合は、現役時代と異なり、収入が低くなっているケースがほとんどだと思われます。そのため、できる限り「元本を減らさない」運用を心掛けることが重要です。
 
以下では、「してはいけない投資」と「してもいい投資」を解説していきます。
 

「してはいけない投資」

退職金を一括で投資する

退職金が振り込まれたからといって、退職金を一括で投資に回すことのないようにしましょう。退職金を一括で投資してしまうと、万が一暴落が発生した場合に、老後資金や生活費が大きく目減りしてしまいます。
 
特に、高齢になると病気や介護などで、高額な費用がかかる可能性も高くなってくるので大変危険です。このような事態にならないよう、資産の大半を投資に回すことはやめておきましょう。
 

売買を繰り返す投資

短期投資は1日から数ヶ月で売買を繰り返す投資法で、投機性が強く、長期投資よりもリスクが高いといわれています。
 
そのため、老後資金で短期投資を行うのはあまりお勧めできません。売買ごとに手数料を取られるので、長期投資よりも手数料を多く支払う傾向にあります。その上、投資歴が浅い人の場合、損失が生じた時の精神的な負担も大きくなる恐れがあります。短期売買よりも落ち着いて運用できる長期投資で運用することをお勧めします。
 

レバレッジをかけた投資

レバレッジとは「てこの原理」のこと。わかりやすくいうと、自己資金以上の資金で取引することです。
 
例えば「レバレッジ3倍」の場合、老後資金1000万円ある人であれば、1000万円の3倍に当たる3000万円で運用することができます。
 
主なレバレッジ商品は

●FX
●先物取引
●株式の信用取引

などが挙げられます。
 
レバレッジのメリットは、少ない資金で多く稼ぐことができる半面、損失も大きくなりやすいデメリットがあるので、投資初心者の人や老後資金を運用する人にはお勧めできません。
 

「してもいい投資」

長期投資

長期投資は金融商品を長期にわたって保有し、その商品の価値が上がるのをじっくり待つ手法です。保有期間中には配当金や利息(インカムゲイン)をもらいながら運用していきます。
 
初心者の人は「長期投資」での運用がお勧めです。なぜなら投資世界では「リターンが3~7%」といわれていて、投資の初期では利益が出なくても、長期的に見て収益を平均化すれば、安定した利益を生むことが長期投資では可能だからです。
 
例えば、1年目ではマイナスのリターンであっても、10年、20年と長期で数%のリターンを続けていけば、最終的にプラスの値に落ち着いていく傾向にあります。もちろん、元本保証があるわけではありませんが、短期投資と比べれば安定した運用が期待できます。
 
また、長期投資は数十年単位で値上がりを待つ手法です。そのため、投資経験の浅い人は一時的な値動きに対して敏感になる必要がなく、精神的な負担も軽く済みます。
 

積み立て投資

積み立て投資とは、毎月一定額を買い続けていくことです。「ドルコスト平均法」とも呼ばれています。この積み立て投資をすることにより、価格が高い時は少ない口数を購入し、価格が低い時は多くの口数を購入できます。
 
つまり積み立て投資をすることで、平均単価を下げることができて、もとの価格まで戻らなくても、利益が狙えるメリットがあります。
 
例えば、ある金融商品1口1000円を1万円分買い付けた場合、10口保有したことになります。しかし、翌月1口1000円から500円に値下がりした場合、1万円分を買い付けると、20口保有することができます。
すると、平均単価が以下まで下がったことになります。
 
(1000円×10口+500円×20口)÷30口=約666円
 
平均単価が666円まで下がったということは、今後666円以上価格が戻れば、利益が出るということです。
 

お勧めは「つみたてNISA」

先述のとおり、“長期投資”と“積み立て投資”が「してもいい投資」と解説しましたが、この両方をうまく活用できるのが「つみたてNISA」です。
 
「つみたてNISA」と聞いて、「老後から『つみたてNISA』を始めても遅いのでは?」と感じる人も多いでしょう。しかし「人生100年」といわれているとおり、65歳の定年以降も運用できる期間は短くはありません。したがって老後から「つみたてNISA」を始めることは、決して遅くはなく、なおかつ非課税で運用できることから、まだまだ有効的といえるでしょう。
 
「つみたてNISA」とは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。

つみたてNISAの特徴

●年間40万円まで買い付け可能(月3.3万円)
●非課税期間が最長20年
●対象商品は限定された投資信託

20年間は購入した商品の売却益や配当金などの利益が非課税になる制度です。
 
例えば、投資で100万円の利益が出た場合、通常は約20%の税金がかかり、20万円ほどの税金を支払わなければなりません。しかし、「つみたてNISA」を利用すれば、20万円の税金が非課税になり、丸々自身の利益となります。また、2024年からは年間上限額は40万円から120万円に、非課税期間は無期限になります。
 
つみたてNISAはあらかじめ手数料が高い商品、リスクの高い商品などは除外されており、その中から商品を選ぶことができるので、商品選びも安心で、投資歴の浅い人に向いている制度といえます。本記事の内容を参考に、定年後の資産運用について、現役時代から考えておきましょう。
 

出典

金融庁 NISA特設サイト つみたてNISA
国税庁 民間給与実体統計調査
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプランニング技能士、宅地建物取引士、証券外務員二種

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