更新日: 2023.04.26 NISA
NISAの利用者が亡くなったらどのように対応したらよい?
特定口座で保有しているこれらの金融商品をNISA口座に移すことはできません。また、亡くなった人がNISA口座で保有していた金融商品を、相続人のNISA口座に移すこともできません。
あくまでも、NISA口座を通じて買った株式や公募株式投資信託に限られるのです。では、NISA口座の名義人が亡くなった際、どのように対応したらよいのでしょうか。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
NISAの利用者が亡くなったら
NISA口座で金融商品を保有している方が亡くなった場合、亡くなった方がNISA口座を開設していた銀行や証券会社等に「非課税口座開設者死亡届」を出さなくてはなりません。
例えば、NISA口座で株式を保有していた方が、3月の配当金権利確定日には存命中で4月に亡くなった場合、6月に支払われる配当金は非課税で受け取ることができるでしょうか? 権利確定日に存命中でも、亡くなった日以後に配当金を受け取る場合には、その配当金は非課税にはなりません。
また、この場合、亡くなった人がNISA口座で保有していた株式や公募株式投資信託等を相続する際には、先述のとおり相続人のNISA口座に移すことはできません。相続人の特定口座か一般口座に移すことになります。相続人は「亡くなった日の終値」で取得したものとみなされます。
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NISA口座と相続
NISAで非課税になるのは売却益と配当金に限られます。つまり、相続税は非課税にはなりません。もし、亡くなった人の相続財産の価値が基礎控除の額を超えるのでしたら、NISA口座で保有していた株式や公募株式投資信託も相続税の課税対象です。
亡くなった人がNISA口座で保有していた株式や公募株式投資信託の相続税評価は、特定口座や一般口座で保有していた株式や公募株式投資信託等と同じ方法で評価されます。
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まとめに代えて
NISAは2014年に制度が始まりました。2022年9月末時点で80歳代以上の人による、買付け額の合計は1兆7488億8525万円です(2014~2022年のNISA(つみたて・一般)の利用の合計)。この額は、全世代を100とすると6.0%を占め、口座数にすると122万1870口座で、全体の7.0%を占めています。
80歳代以上の年代別比率は、NISAの全世代の利用者の中では多くはありません。しかし、人生100年時代といわれていますので、NISAについても世代を超えた理解と有効な活用が必要だと思います。
出典
国税庁 NISA及びつみたてNISAの手順に関するQ&A(令和元年7月)Q24 非課税口座の開設者が亡くなった場合
金融庁 NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について(令和5年1月12日)
金融庁 NISAとは
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役