投資信託の運用成績 「評価損益」と「トータルリターン」の違いは?

配信日: 2023.10.01 更新日: 2023.10.02

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投資信託の運用成績 「評価損益」と「トータルリターン」の違いは?
一般社団法人投資信託協会の統計データによると、2023年6月末の公募投資信託の純資産総額は、過去最高の187兆4550億円であり、そのうち、約91.6%が株式を組み入れた株式投資信託となっています。2024年からは新NISA制度の開始も控えており、今後も多くの個人投資家が投資信託を購入していくことと思われます。
 
この記事では、投資信託の運用成果を見る基本的な指標の、「評価損益」と「トータルリターン」について確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

データに見る投資信託の現状

冒頭の統計データで、2023年6月末現在の投資信託ごとの純資産総額を見てみましょう。
 
図表

図表

一般社団法人投資信託協会の統計データより筆者作成
 
なお金融庁の公表統計(2023年3月末)では、一般NISA口座数は、1090万4260口座、つみたてNISA口座は、783万1060口座となっています。また、日本銀行の資金循環統計によると、個人金融資産に占める投資信託の割合は、4.42%とのことです。
 

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投資信託の評価損益とは

評価損益とは、投資信託の購入時の価額(取得単価)と現在の価額(基準価額)の差額を表す数値です。基準価額は、通常1万口当たりの価額が表示され、保有口数によって現在の価額が算出されます。
 
つまり、現在保有中の投資信託を、仮に今の価額で売却した場合にどれぐらいの損益となるのかを示すものです。そのため、保有資産について、まだ実現していない損益を表しています。一般的な計算式は以下のとおりです。
 
評価損益=現在の評価金額-取得価額
 
譲渡益に課税されないNISA口座(非課税口座)の場合は別ですが、評価損益は、保有資産を売却する際にどれぐらい利益が出るか(損失)、所得税等の課税額を計算するときの参考とすることができます。
 

投資信託のトータルリターンとは

2014年12月に投資信託のトータルリターン通知制度が開始され、販売会社は投資家に対し、年1回以上トータルリターンを通知することが義務付けられるようになりました。
 
トータルリターンとは、投資信託を購入したときから現在に至るまでのトータルでの損益を表したものです。複数回に渡り分配金を受領したり、買い増しをしたり、あるいは、一部売却したりしたことなどの加味された、投資期間を通じた総合的な損益を確認することができます。
 
そのため、現在の評価損益が仮にマイナスの場合でも、過去に受け取った分配金の累計額などを含めたトータルリターンはプラスとなるケースも、往々にしてあり得ます。一般的な計算式は以下のとおりです。
 
トータルリターン=現在の評価金額+累計分配金額+累計売却金額-累計買付金額
 
また、販売会社によって若干表示形式が異なりますが、累計受取分配金額は税引き後の金額で、再投資分を含む金額とし、累計買付金額は販売時手数料などを含めた金額とする場合が多いようです。さらに、口座別(特定口座、NISA口座など)に確認したり、年度別や一定の期間を指定して表示したり、保有資産全体や銘柄別にも確認することができます。
 

まとめ

インターネット証券のサイトなどで投資信託の運用成果を見る場合に、まず目に入るのは、現在の評価損益である場合が多いかと思います。基準価額がそれだけ値上がりしたか、逆に値下がりしたかを端的に表示するのが評価損益です。
 
また、トータルリターンは前述のとおり、これまでの買い増しや売却、受け取った累計分配金や購入時手数料や信託報酬などを、総合的に考慮した運用成績を見ることができる数値です。また、銘柄別に金額や比率を確認することで、投資資産全体の運用成績への貢献度合いを総合的に検討する材料ともなります。
 

出典

一般社団法人投資信託協会 統計データ
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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