更新日: 2023.10.17 その他資産運用

コロナショックとコロナバブル その3 世界経済への影響

コロナショックとコロナバブル その3 世界経済への影響
コロナショックとコロナバブルは、世界経済全体に大きな影響を与えました。それぞれに関連した出来事や、各国・各地域の経済への主な影響について説明します。
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

コロナショックの影響

1. 経済の停滞と景気後退

新型コロナウイルスの感染拡大で多くの国がロックダウンや渡航の規制、外出制限などを実施し、企業によっては営業を停止したり、需要が減少しました。世界経済は一時的に停滞し、景気の後退が生じました。
 

2. 失業と雇用の減少

コロナショックによる経済の停滞は多くの企業に影響を与え、失業する人が増加し、雇用機会も減少しました。特に観光業やホスピタリティ産業などは、雇用への大きな影響が見られました。
 

3. グローバルサプライチェーンの混乱

コロナショックでの国際的な交通制限や生産の中断により、グローバルサプライチェーンが混乱しました。多くの企業で生産や供給に遅れが生じ、製品の供給不足が起こりました。
 

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コロナバブルの影響

1. 株式市場の急激な回復

コロナバブルの間に政府や中央銀行による経済刺激策が導入されたことで、株式市場は急速に回復しました。株式市場に多額の資金が注入され、市場の先行きに対して一部の投資家は楽観的な見方をしました。
 

2. 株価の過剰評価

コロナバブルの期間中、特にテクノロジーやオンライン関連企業の株価が過剰に評価される状況が見られました。一部の企業やセクターが、市場の実態を反映していない高い評価を受けることもありました。
 
なお、世界経済に対するコロナショックとコロナバブルの影響は、地域や産業によっても異なります。一部の産業は新たな成長の機会を見出す一方で、厳しい経済状況に直面した産業もありました。また、コロナショック・コロナバブルを経た現在も世界経済は変動し続けており、未来の展望は依然として不透明な部分もあります。
 

各国・各地域の経済への影響

コロナショックが国や地域ごとの経済に与えた影響について、財務省による「世界経済の現状と見通し」と以下の「各国(地域)別のGDP成長率と見通し」を参考に確認していきます。
 
なお、以下の資料(GDP成長率と見通し)はコロナバブル終了直後の2022年前半におけるデータですが、今回の記事はコロナショックとコロナバブルの影響を解説するものなので、あえて、その時点でのデータを用いています。


出典:財務省 「世界経済の現状と見通し」
 
・アメリカ
2020年はGDP成長率がマイナス3.4%となり、大きな落ち込みが見られましたが、政府の経済対策やワクチン接種の進展で2021年にはプラス5.7%と回復しました。
 
・日本
2020年のGDP成長率はマイナス4.5%で、戦後最悪の数字を記録しました。東京オリンピックの開催延期や観光産業への打撃などが影響していますが、2021年にはプラス1.6%と回復基調に入りました。
 
・ユーロ圏
2020年は輸出産業、自動車産業、観光業での落ち込みがひどく、 GDP成長率はマイナス6.4%でしたが、2021年はプラス5.3%に回復しました。
 
・イギリス
2020年にGDP成長率はマイナス9.3%となり、第二次世界大戦以降、最悪の結果となりました。観光業や小売業の不振が大きく、ブレグジット(EU離脱)との相乗効果も影響していますが、2021年はプラス7.4%と回復しました。
 
・中国
中国は2020年のGDP成長率がプラス2.2%と、世界的な落ち込みの中で唯一のプラス成長を記録しました。厳格なロックダウンや迅速な経済対策の効果で、2021年もプラス8.1%と持ち直しています。
 
・インド
2020年はGDP成長率がマイナス6.6%となり、緊急事態宣言が発令されるなど厳しい状況に直面しました。人口密度の高さや医療インフラの限界も影響しています。ただし、2021年はプラス8.9%に回復しました。
 
・ブラジル
2020年のGDP成長率はマイナス3.9%となりました。特に観光業や輸出産業が打撃を受けたほか、感染拡大の防止対策の遅れや政治的な混乱も影響していますが、2021年はプラス4.6%と回復しています。
 
・中東
中東諸国は原油価格の急落により、経済に大きな打撃を受けました。特に石油輸出に依存している国々は、需要減少と価格下落で財政収入が減少しましたが、2021年にかけて原油価格は回復しています。
 
また、いくつかの国は多様な経済構造を持っており、多角的な経済政策や新たな産業の開拓を進めるなど、経済の回復に向けた努力をしています。
 
・アフリカ
一部の国は観光業や輸出産業の減少によって経済に打撃を受けましたが、一方で農業や鉱業などの産業が盛んな国もあり、経済回復への可能性もあります。
 
ただし、アフリカ全体では医療インフラの限界や経済的な問題など、持続的な回復には多くの課題が残っています。
 

まとめ

先進国・新興国ともに、2020年はコロナショックによる経済の停滞と景気の後退で経済成長率は急激に落ち込みました。しかし、2021年にはコロナワクチンの普及と経済活動の再開などが進んだことで、経済成長率は回復しています。
 
次回「その4」では、コロナバブル後の2022年2月から続いているウクライナ戦争の世界経済への影響について説明します。
 

出典

財務省 世界経済の現状と見通し
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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