更新日: 2023.10.27 NISA
子どもの大学進学に向けて教育資金を準備したいです。低金利の時代、学資保険よりも新NISAがお得なのでしょうか?
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
新NISA(少額投資非課税制度)の概要
2024年から始まる新NISA(少額投資非課税制度)は、18歳以上の方が利用できます。
年間投資枠は、120万円の「つみたて投資枠」と、年間240万円の「成長投資枠」の併用が可能です。つまり、1年間に投資できる金額の上限は360万円になり、一生涯で投資できる枠は1800万円です。
口座開設・投資できる期間が恒久化され、非課税で運用できる期間も無期限になります。
通常、投資信託や上場株式などを購入した場合、普通分配金や配当金を受け取った際や売却益については20%(復興特別所得税は考慮せず)の税金がかかりますが、新NISAでは非課税で受け取ることが可能です。
従来のNISAでは、口座内で保有する投資信託などを売却すると、非課税投資枠の再利用はできませんでしたが、新NISAでは翌年から再利用できます。
例えば、子どもの教育費としてお金が必要になったとき、一部を解約してその資金に充て、その後は老後資金の準備に復活した非課税枠を利用して投資を続けることも可能です。「つみたて投資枠」では積立・分散投資に適した一定の株式投資信託とETF、「成長投資枠」では上場株式・投資信託等を購入できます。
このように、新NISAでは、長期的な視点で、それぞれのライフプランに沿った柔軟な資産形成ができます。
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低金利のいま、学資保険は資産形成に向いている?
学資保険は、子どもの教育資金を準備する方に向けた貯蓄型保険で、生命保険会社が扱っています。契約者が死亡または高度障害となった場合に、以後の保険料の支払いが免除されるのが特長です。
また、保険料が毎月、預金口座から引き落とされるので、お金を貯めるのが苦手な方でも無理なく教育費の積み立てができるうえに、満期保険金は保証されます。
さらに、税のメリットもあります。支払保険料は生命保険料控除の対象なので、所得税・住民税の軽減になります。受取時にも、税のメリットがあります。例えば、契約者が受取人の場合、満期保険金は一時所得の対象なので、利益(満期保険金−支払保険料総額)が50万円を超えなければ非課税ですし、超えた部分は2分の1が課税対象です。
一方、デメリットとしては、契約時の予定利率で固定されるため、低金利のときに契約すると満期保険金はほとんど増えず、インフレに弱い商品といえます。また途中解約すると、ほとんどの場合元本割れします。したがって、「変動10年」個人向け国債のほうが、元本割れしないのでいいかもしれません。
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教育資金の準備は学資保険よりも新NISAがおすすめの理由
新NISAの「つみたて投資枠」では、積立・分散投資に適した一定の株式投資信託とETFを毎月自動的に購入できます。家計の状況に応じて積立額を増やしたり、減らしたり、やめたりすることも可能です。一方、学資保険では、増やすときは新規契約(年齢の制限あり)、やめるときは一般的に解約となり、新NISAに比べ自由度が劣ります。
投資信託等も元本保証があるわけではありませんが、「長期投資」をすることで、リターンが安定する傾向にあります。
金融庁の「NISA 早わかりガイドブック」(1989年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に積立投資を行い、5年間と20年間それぞれ保有した場合についての年間収益率と運用結果を計算したもの)によると、5年保有ではばらつきが大きく、元本割れのケースもあります。20年保有した場合は、年2~8%の利回りに収れんしており、元本割れはしていません。
「NISA 早わかりガイドブック」には、「積立投資なら、『あらかじめ決まった金額』を『続けて』投資することで、安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまったりすることを防ぐことができる」とあります。また、毎月一定額を購入することで、安いときは多く、高いときは少なく購入するので、平均購入単価を安くできます(ドルコスト平均法)。
投資信託は、複数の資産・地域・通貨に投資しています。例えば、一つの資産だけに投資するより、値動きの異なる複数の資産に「分散投資」を行うことで、価格の変動が小さくなります。企業には倒産のリスクもありますので、一つの企業に投資するは避ける必要があります。
金融庁の資産運用シミュレーションによると、毎月3万円を10年間積み立てる場合(元本360万円)、想定利回り(年率)1%では、最終積立金額は378万4496円となります。2%では398万1590円、3%では419万2243円です。
つみたて投資枠の対象となる投資信託は、株式に投資する投資信託と、株式を含むバランスファンドなので、大きなリターンを期待できます。
いままで資産運用は、「長期・分散・積立」がポイントであることを見てきました。さらに、低コストであることも大切です。
つみたて投資枠の商品はほとんどが、日経平均などの「株価指数」に価格が連動するように設計されたインデックスファンドであり、市場平均や指数を上回る運用を目指すアクティブファンドよりも投資信託の保有期間中、投資家が負担し続けるコスト(信託報酬)が低く設定されています。
つみたて投資枠のインデックスファンドは、低コストです。購入手数料は無料、信託報酬は上限が決められています。
まとめ
長期に運用期間がとれる方は、学資保険よりも新NISAを活用して教育資金を形成するのがよいでしょう。
出典
金融庁 新しいNISA
金融庁 NISA 早わかりガイドブック
金融庁 資産運用シミュレーション
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。