これから新NISAを始める方へ。いまさら聞けない投資信託の内容と選び方
配信日: 2023.11.16
しかし実際、新NISAで投資を始めようと思っても投資対象(投信)をどのようにして選んだら良いのか、リスクはないのか不安に思っている方は少なくないでしょう。この記事では投信の簡単な選び方を解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
新NISAのポイント
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つから構成され、それぞれの投資枠で運用益が非課税になります。年間非課税枠は「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」が240万円で、1人当たりの非課税となる生涯非課税枠の上限は1800万円です。
この金額は取得価額で管理されます。保有金融商品を売却すると簿価が減少しますが、翌年には枠が「復活」します。非課税保有期間は無期限化されているので、「復活」により半永久的に非課税枠の再利用が可能です。
「つみたて投資枠」の対象商品は、金融庁が厳選した「長期」「積立」「分散」投資に適した一定の投資信託です。それに対して「成長投資枠」の対象商品は上場株式・投資信託等で定期購入のほか、一括購入もできます。
両者は併用できますが、投資初心者は、「つみたて投資枠」で土台を作った上で「成長投資枠」の利用を考えるとよいでしょう。
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投資信託とは
投信とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金(ファンド)としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。
投信を購入するメリットは、「少ない金額から購入できる」「少額でも国内外の株式や債券などに分散投資できる」「専門家が運用してくれる」「投資信託会社が破たんしても投信は分別管理により保全されている」などがあります。
投信の手数料には主に
(1)購入時手数料(販売手数料)
(2)運用管理費用(信託報酬)
(3)解約時の信託財産留保額
があります。特に、信託報酬は投資信託の運用期間中、日々信託財産から差し引かれますので、低いものを選ぶのがポイントです。投信は運用方針の違いにより、インデックスファンドとアクティブファンドに分かれます。
インデックスファンドは特定の指数(インデックス)と同じような値動きとなることを目指す投信です。日本株であれば、「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの指標を目安としています。
一方、アクティブファンドとは、運用会社が独自に銘柄選択や投資判断などを行い、TOPIXなどの指数を大きく上回る投資成果を目指す投信です。これらは運用方針の違いなので、アクティブファンドが市場の平均を下回る場合もあることに留意しましょう。
インデックスファンドとアクティブファンドのコストを比較すると、インデックスファンドは銘柄選択や投資判断などの費用がかからないので、コストが安く済みます。
投信の種類には、株式を組み入れることが可能な株式投資信託、株式を組み入れることができない公社債投資信託があります。また、株式や債券、不動産など複数の資産に一定の比率(株式50%、債券50%など)で運用するバランス型もあります。
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投資信託のリスクと軽減法
株式や投信等は、元本が保証されているわけではありません。大きく損をする場合があります。しかし、「長期」「積立」「分散」を組み合わせることで、リスクを軽減し安定的な資産形成が期待できます。
長い期間投資を続けると複利効果が大きくなります。10年以上の運用で元本割れの可能性は低くなります。また、毎月同じ金額で投資(つみたて投資)することにより、価格が高いときには少なく、価格が低いときには多く購入できるので、平均の購入単価が低くなります。
1つの資産だけに投資するより、値動きが異なる複数の資産に分散して投資を行うことで、価格の変動をある程度抑えることができます。なお、株式は債券に比べ大きなリターンも期待できますがリスクも高い商品です。
新NISAでの投資信託の選び方
まず、「つみたて投資枠」の利用から始めましょう。復習になりますが、「つみたて投資枠」の対象商品は、金融庁が厳選した「長期」「積立」「分散」投資に適した一定の基準を満たした投信になります。
一定の基準としては、
・信託期間が無期限または20年以上であること
・毎月分配でないこと
・投信の販売手数料はゼロ(ノーロード)、ETFは販売手数料が1.25%以下であること
・運用管理費用(信託報酬)が一定以下であること
具体的には、
・インデックス型投信については、国内資産に投資するものは0.5%以下、海外資産に投資するものは0.75%以下であること
・アクティブ型投信については、国内資産に投資するものは1.0%以下、海外資産に投資するものは1.5%以下であること
となっています。まず、コストの安いインデックスファンドを選択します。インデックスファンドの中から運用期間が長期にとれる若者は株式の組み入れ割合の高い株式投信がよいでしょう。
また、時代により日本の景気が悪くても他の国の景気が良い場合もあるので、投資対象の地域は、日米欧・新興国など全世界の株式を対象とする投信を検討しましょう。リスクを取りたくない方は、債券の比率を高くしたり、あらかじめ比率の決まっているバランス型が良いでしょう。
自分自身に合った投資方法は何かをしっかり考え、選択することをお勧めします。
出典
金融庁 新しいNISA
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。