更新日: 2023.12.28 NISA
新NISA直前! NISA運用中の人が気を付けておきたいことって?
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
あなたの積立商品は大丈夫ですか?
現行のNISA制度には「つみたてNISA」と「一般NISA」があり、併用はできません。つみたてNISAは非課税投資枠が年間最大40万円で運用期間は20年間です。コツコツと定額を積み立てることでリスクを減らすことができる優れた制度ですが、老後が視野に入る中高年層には物足りなさがあります。「もう少し年間の投資金額を多くして、ピッチを上げたい」というのが実感です。
そこで一般NISAを使って、積立投資を実践している方も多いです。こちらなら年間120万円まで投資できます。実は筆者も「毎月5万円を投資信託で積立、残りの60万円の枠で個別株を購入」というスタイルでNISAを利用してきました。
先日、筆者のもとに取引している証券会社から“重要なお知らせ”「新NISA制度開始に伴う投信積立のお取扱いについて」という書面が届きました。
NISA制度をすでに利用している場合は、自動的に新NISA口座も開設されるので、特別な手続きは不要です。つみたてNISAから新NISAのつみたて投資枠に移行する場合はスムーズなのですが、筆者のように一般NISAで積立投資をしている場合は“注意が必要ですよ、確認してください”の内容でした。
注意の内容は以下の図表のとおりです。(1)2)について後述します。
(図表1)
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NISAの恩恵がなくなる?
下記の図表2は新NISA制度の概要ですが、対象商品の欄に注目ください。
(図表2)
つみたて投資枠の対象商品は「つみたてNISA」と同様に、金融庁の指定条件を満たした商品です。成長投資枠の対象商品はこれまでの一般NISAの対象商品とは異なり、一部除外されるものがあります。条件に当てはまるものは除外されるのですが、その条件とは、
1. 整理・監理銘柄
2.信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等
です。
長期スパンでの投資を前提にしているため、信託期間が短く設定されているものや、運用効率が良くないという理由でシニア層に人気のある毎月分配型の商品は外されています。毎月分配型は年金の補完役として使い勝手の良い商品なので、一般NISAで積立投資をして老後の準備をされていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、この商品は図表1では(1)に該当します。つまり、このまま投信積立を継続することは可能ですが、非課税での恩恵はなくなってしまいます。NISAの利用を優先するのであれば、商品を再選択する必要があります。
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新NISA制度、両方の枠を使う
次に、図表1の(2)の場合を考えます。(2)の場合は、現在のままでもOKのように思えます。ですが、現在積立中の商品が、つみたて投資枠の該当商品ならば、「成長投資枠」ではなく「つみたて投資枠」での運用に移し替えることが賢明です。
図表2にあるように、新NISA制度では併用が可能です。個別株式をはじめ、より幅広い商品に投資できる成長投資枠を温存しておけば、次の投資戦略にも使えます。移し替えには簡単な手続きが必要です。「投信で積立をしているのだから自動的につみたて投資枠で運用してもらえる」との誤解もあるようなので要注意です。
NISA制度は、あくまでも資産形成のツールです。本末転倒になってはいけませんが、つみたて投資枠・成長投資枠の特性をフルに生かし、どの商品を充てるのかを検討することも大切だと思います。この機会に、商品の再選択やリバランスをするのも良いかもしれません。
出典
金融庁 新しいNISA/新しいNISAのポイント
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士