更新日: 2024.02.15 その他資産運用

長期的にマネーはどこからどこに向かうのか。オルカンもいいけど、また違った国際分散投資の面白さ

執筆者 : 重定賢治

長期的にマネーはどこからどこに向かうのか。オルカンもいいけど、また違った国際分散投資の面白さ
新NISAが始まり、長期・分散・積立投資をするうえで、世界のどの国や地域に投資していけばいいか考えている方もいるのではないでしょうか。
 
投資初心者向けには、株式投資の安定運用を目的に全世界株式型の投資信託、いわゆる「オルカン」(オール・カントリー)が勧められることが多いかもしれませんが、中には投資経験者で積極的に運用していきたいと考えている方もいるでしょう。
 
そこで今回は、あえてオルカンを外すなら、長期の国際分散投資についてどのように考えていけばいいか、近年の世界情勢を基に検討していきます。

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重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

世界情勢を世界地図で俯瞰する

2024年は、2022年から続くウクライナ戦争や、2023年に起こったイスラエルとパレスチナをめぐる戦争、そしてイエメンのフーシ派による紅海周辺での船舶攻撃といった争い事が、どのように幕引きするかが注目される1年になるかもしれません。また、長年懸念される台湾問題をめぐり、東アジア情勢にも目を配る必要はあるでしょう。
 
世界は今、ヨーロッパ、中東、東アジアと、3つの地域で大きな火種を抱えています。この背景には大国の興亡がありますが、特に「アメリカ一強の終焉」が指摘されます。端的にいうと、今のアメリカの軍事力では、ヨーロッパと中東、東アジアにおける三正面作戦を同時に展開することができないということです。
 
それだけの軍事力を一国が保有すること自体、無理があるように思いますが、だからこそアメリカは同盟国や関係国と協力関係を築き、世界覇権を維持しようとしていると考えるのが妥当ではないでしょうか。
 
仮に、アメリカと敵対する国を中国、ロシアと考えてみます。
 
ウクライナ戦争はウクライナとロシア間の戦争ですが、ウクライナ側についているのがアメリカも加盟しているNATO(北大西洋条約機構)で、ロシアに対しては中国が支援していると見立てます。
 
また、イスラエルとパレスチナ間の戦争については、イスラエル側にはアメリカがつき、パレスチナ側(ハマス)にはイランとロシアがついていると推論した場合、米ロの対立構図が浮き彫りになってくるかもしれません。そして、台湾をめぐる問題ですが、こちらは言わずもがな米中の対立構図が見て取れます。
 
中東情勢の変化としては、これまでサウジアラビアとイランの関係改善への努力がなされ、またサウジアラビア産の原油を中国が人民元建てで購入するといった動きもあり、アメリカから距離を置こうとするサウジアラビアの思惑が顕在化してきました。
 
他の新興国では、急速な経済成長を遂げようとしているインドは、表向きアメリカとの関係を重視しながら、ロシア産の原油を買うなどの動きがあります。また、ブラジルは2023年、アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の6ヶ国が新たに加盟したBRICS首脳会議において、世界における新興国の存在感を高め、途上国との協力を呼びかけました。
 
このように、超大国とそれらに関係する国々、そして第三国の思惑がちらつく現在の世界情勢ですが、図表1のように世界地図で俯瞰すると、地政学的な位置関係に基づいて思考をめぐらすことができます。
 
図表1

図表1

※筆者作成
 

世界情勢の変化、マネーの向かう方向が投資先を決める要素になる

世界情勢を踏まえて考えたいのが、「今後、長期的にマネーはどこからどこに向かうのか」ということです。まず、アメリカの側に立って考えてみます。
 
アメリカにはヨーロッパ、中東、東アジアに軍事力を展開・維持する三正面作戦が難しいという問題があります。この問題を解決するために、ヨーロッパではNATO加盟国のドイツやイギリスに、東アジアでは日本に軍事・防衛の一端を担わせようとしています。私たち日本人にとって記憶に新しいのは、2023年度から5年間の防衛費増額でしょう。
 
このように、アメリカがイギリスやEU諸国、日本などの関係各国に軍事的な協力を求める場合、経済的な裏付けが必要になります。つまり、経済成長によって、それらの国々を富ませる代わりに、軍事・防衛の予算をある程度は自前で用意してもらうということです。
 
一方、ロシアや中国の側に立って考えてみると、また違った景色が見えてくるかもしれません。ロシアは、東ヨーロッパにおける緩衝地帯を確保したいわけなので、原油や天然ガスなどの天然資源外交を通じ、どこまでウクライナとの戦争を継続できるかが大きな課題となっています。天然資源を売り、その見返りとして軍事支援を得る必要があるため、中国への依存度を高めているようです。
 
また、2023年にはサウジアラビア産の原油をロシア経由でインドに輸出しており、サウジアラビアやインドなどの第三国との関係を良好なものにしたい思惑が働いているのかもしれません。
 
中国は、現代版シルクロードと呼ばれる一帯一路政策の下、世界に対する経済的覇権を握ろうとしていますが、中国とヨーロッパの間に大国のインドがあります。インドとは歴史的にカシミール地方における国境争いを抱えていますが、経済的な結び付きを強めることは自国の利益につながります。
 
また、台湾をめぐる問題についてはアメリカに対抗し、東南アジアの国々への影響力を高めるために経済支援を長年にわたって費やしてきました。
 
このように、ロシアや中国としては、特に新興国や発展途上国との経済的関係を積極的に構築することで、アメリカへの対抗手段としています。
 
投資は本質的には、世界中のお金がどのように循環するかを考えるゲームともいえます。アメリカは、関係国の軍事・防衛能力の強化を図りたいという思惑があり、それらの国々の経済成長を手助けする可能性があると考えた場合、ヨーロッパでは特にドイツやイギリス、東アジアでは日本や台湾の経済が向上するように動くでしょう。
 
一方、アメリカを中心とした国々が現在実施している、ロシアや中国に対する経済制裁が今後も続くと考えるなら、ロシアや中国から成長する可能性が高い国・地域へと多くの資金が向かうようになるかもしれません。
 
その受け皿が、いわゆる第三国であるインドやブラジル、南アフリカ、サウジアラビアなどの新興国である場合、それらの国々にマネーが向かうと考えるのは不思議なことではないでしょう。
 

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まとめ

投資をするときは分散投資を心掛けましょうといわれることから、国際分散投資を行う場合、オルカンと呼ばれる全世界株式型投資信託が好まれる傾向があります。
 
オルカンは、先進国と一部の新興国の株式における平均的なリターンを得ようとするものです。安定性が高いという長所がある反面、成長性の高い個別の国・地域の株式と比べると収益力は弱いという短所があります。つまり、積極的に利益を狙いたい場合、運用効率が悪くなる可能性があるということです。
 
ある程度はリスクを抑えながら、もう少し高いリターンを追求したい場合、これから世界がどう動くのか自分なりに世界情勢をひも解くことで、長期的にマネーが向かいやすいと予測させる国や地域に分散投資するという考え方もあります。
 
今回の内容は投資初心者向けではありませんが、経験を積み、このような考え方に基づいて投資を行っていくと、オルカンとは違った分散投資の面白さを発見できるかもしれません。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
 

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