更新日: 2024.03.11 NISA

NISAで税金はかかる? 確定申告は必要? 非課税でも気を付けるべき注意点を解説!

NISAで税金はかかる? 確定申告は必要? 非課税でも気を付けるべき注意点を解説!
「NISAで得た利益は確定申告する必要あるの?」、「非課税でも確定申告したほうがいいの?」というように、NISAで資産運用するときには確定申告との関連が気になってしまう人は多くいるはずです。
 
NISAは原則、確定申告は不要ですが、必要となるケースや申告したほうがよいケースもあります。
 
本記事では、NISAが確定申告不要である理由、確定申告しなければならないケースなどについて解説します。NISAで運用を開始するときには、確定申告についてもしっかりと理解しておきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

NISAは原則、確定申告は不要

NISAは原則、「確定申告は不要」です。
 
ただし、NISAの運用方法次第では、確定申告をしなければならなくなります。NISAで資産運用を開始するときには、確定申告をしなければいけない条件を理解しておかなければなりません。
 
また、確定申告をしなくてもよいが、申告したほうが有利になるケースも存在します。
 
NISAで資産運用する場合、「確定申告しない」、「確定申告しなければならない」、「確定申告する必要はないものの申告したほうが得をする」の3つのパターンがあることを覚えておきましょう。
 

NISAが確定申告不要となる(非課税となる)理由

NISAが原則確定申告不要(非課税)となる理由は、非課税枠が設けられているからです。
 
「非課税枠」とは、一定の金額内で運用して得た利益に対しては、税金が課税されないことをいいます。NISAの非課税枠は成長投資枠で投資額1200万円、つみたて投資枠で投資額1800万円(両方を運用する場合は合計で投資額1800万円)までです。
 
非課税の対象となる利益は、株式売却による「譲渡益」、株式を保有して得られる「配当金」、信託投資を保有して得られる「分配金」などです。
 
NISAの非課税枠は投資金額に対して設けられているため、運用している商品がどれだけ大きな利益を生んだとしても、非課税枠内での運用であれば非課税です。
 

【PR】SBI証券のNISA(ニーサ)

SBI証券のNISA(ニーサ)

おすすめポイント

【NISA】
・投資できる商品が多い
・NISA口座での国内株式 売買手数料0円
【つみたてNISA】
・幅広い投資信託ラインナップ
・100円から積立がスタートできる

NISAで確定申告が必要になる(課税対象になる)ケース

NISAで確定申告が必要(課税対象)になるケースは、ETFの分配金を「株式数比例配分方式」以外で受け取るケースです。
 
ETFとは、東京証券取引所や名古屋証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託のことをいいます。
 
また、株式数比例配分方式とは、株式の持ち分によって得られる配当金を運用者の証券口座で受け取る方法です。株式数比例配分方式以外には、「登録配当金受領口座方式」や「従来方式(配当金領収証方式)」があります。
 
登録配当金受領口座方式や従来方式(配当金領収証方式)で配当金を受領(じゅりょう)する場合、課税されるため、確定申告が必要となってしまいます。
 
その他にも、次のような人はNISAを運用するかどうかに関係なく、確定申告をしなければならない人です。
 

・給与収入が年間2000万円を超える人
・個人事業主で年間所得が48万円を超える人
・不動産所得が年間20万円を超える人
・退職所得があり退職所得の受給に関する申告書を提出していない人 など

 
上記のような人は、NISAを運用していても、していなくても確定申告が必要です。
 
確定申告が必要にも関わらず申告しない場合、延滞税や無申告加算税、重加算税などの追徴課税がおこなわれるため注意しなければなりません。脱税の意思があると判断されると、刑事罰により懲役が科されるケースもあるため、確定申告は必ずおこないましょう。
 

NISAで課税される場合の税金や税率

NISAで課税される場合、「所得税」、「住民税」、「復興特別所得税」が課税されます。
 
NISAで課税される税金は分離課税されるため、他に所得があったとしてもNISAで得た利益のみで税額が計算されます。
 
NISAで課税される税率は、次のとおりです。
 

・所得税:15%
・住民税:5%
・復興特別所得税:0.315%

 
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に充てられる税金で、2037年まで課税されます。
 
例えば、NISAで50万円の課税対象となる所得が発生した場合の各種税金は、次のとおりです。
 

・所得税:7万5000円(50万円×15%)
・住民税:2万5000円(50万円×5%)
・復興特別所得税:1575円(50万円×0.315%)
・税額合計:10万1575円(50万円×20.315%)

 
なお、所得税と復興特別所得税は確定申告の時期(2月16日~3月15日)に納税します。住民税は住所登録している地域の自治体から発送されてくる「住民税決定通知書」に記載されている納付日までに納税しなければなりません。
 
住民税決定通知書は勤務先の会社から5月~6月ごろに受け取ります。個人事業主などは自治体から6月ごろに郵送されてきます。
 
近年ではクレジットカード払いや電子マネー支払いができる自治体もありますが、納税方法は自治体によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
 

非課税で運用できるiDeCoとNISAの違い

NISAだけではなく、iDeCoも非課税で資産運用ができる制度です。
 
しかし、NISAとiDeCoには内容に違いがあるため、それぞれの違いを理解して運用していく必要があります。
 
NISAとiDeCoの違いは、図表1のとおりです。
 
図表1

NISA iDeCo
対象年齢 18歳以上 原則20歳以上60歳未満の国民年金加入者
運用できる上限金額 ・成長投資枠:年間240万円
・つみたて投資枠:年間120万円
・総額:1800万円
※成長投資枠は1200万円まで
年間14万4000円~81万6000円
※職種や企業年金の有無で変動
引き出せる時期 いつでもできる 60歳以降
税制優遇 運用益は非課税 ・掛け金は全額所得控除
・運用益は非課税
・受取時に公的年金等控除もしくは退職所得控除の対象となる

筆者作成
 
図表1のようにNISAとiDeCoは内容が異なるため、違いを理解しておかなければなりません。
 
大きな違いとして挙げられるのは、NISAでは投資した金額は所得控除にならず、iDeCoは積み立て時の掛け金が全額所得控除になるという点です。所得があまりないという人は掛け金の所得控除を生かしきれないため、その点においてはiDeCoを利用しても大きなメリットは得られないかもしれません。
 

NISAを利用する上での注意点

NISAで資産運用すると原則課税されないというメリットがあるものの、利用する上で注意しなければならないこともあります。
 
NISAを利用する上で注意しなければならないことは、次のとおりです。
 

1.損益通算や繰越控除はできない
2.非課税保有限度額が決まっている
3.確定申告したほうがよいケースもある
4.口座開設には年齢制限がある
5.成長投資枠とつみたて投資枠には違いがある

 
NISAで運用するときの注意点を確認し、利用を後悔することのないようにしておきましょう。
 

NISAを利用する上での注意点1.損益通算や繰越控除はできない

NISAで損失を出しても、損益通算や繰越控除ができません。
 
「損益通算」とは、年間で得た利益から、年間で出た損失を差し引くことにより、所得税や住民税の課税額を減らせる税制です。
 
例えば、株式の売却で譲渡損失を出した場合、株式の配当金から譲渡損失を差し引けるなどです。利益から損失を差し引くと、所得が圧縮されて所得税や住民税の節税につながります。
 
また、「繰越控除」とは、損益通算しても引ききれなかった損失を最大で3年間繰り越せる税制です。繰越控除が利用できると、大きな損失を出しても最大で3年間の所得を圧縮することができます。
 
損益通算も繰越控除も所得税や住民税を節税するのに有用な税制であり、これらの税制が使えないのはNISAのデメリットといえます。
 

NISAを利用する上での注意点2.非課税保有限度額が決まっている

NISAには非課税保有限度額が定められているため、限度額以上の投資はおこなえません。
 
NISAには成長投資枠とつみたて投資枠があるものの、どちらにも非課税保有限度額が決まっています。成長投資枠は1200万円、つみたて投資枠は1800万円が非課税保有限度額であり、両方を併用して運用する場合、合計で1800万円までです。
 
NISAでは1800万円以上の投資はできず、1800万円を超える投資をしたい場合は、課税口座を利用して運用することになります。当然ながら、課税口座で得た運用益には税金が課税されるため注意しなければなりません。
 

NISAを利用する上での注意点3.確定申告したほうがよいケースもある

NISAでは原則確定申告不要ですが、「確定申告しなければならない人」もいます。それに加えて、確定申告をしたほうがよいケースがあるのも覚えておかなければなりません。
 
確定申告したほうがよいケースは、次のとおりです。
 

・医療費控除を利用するケース
・住宅ローン控除の1回目の申請をするケース
・青色申告利用者が事業所得で赤字を出しているケース など

 
NISAのみを基準にして確定申告が必要かどうか判断するのではなく、他の控除を利用するときに必要かどうか判断しなければなりません。NISAは確定申告が不要だからしなくてもいい、と安易に考えると損をしてしまう恐れがあります。
 

NISAを利用する上での注意点4.口座開設には年齢制限がある

NISAの口座を開設するには、年齢制限をクリアしなければなりません。
 
NISAの口座を開設できるのは、18歳以上の成人のみです。
 
また、年齢のカウント方法は誕生日(満年齢)ではないことにも注意しましょう。NISAの年齢は、1月1日時点の年齢を基準とします。
 
例えば、4月1日に18歳となる人は、その年の1月1日時点では17歳ということになるため、NISAの口座を開設できません。18歳でNISA口座を開設しようと考えている人は、年齢のカウント方法に気を付けておきましょう。
 
なお、年齢制限として年齢の下限は決まっているものの、上限は決まっていません。80歳を超えていても、すでに定年退職した人だとしてもNISAの口座を開設できます。
 

NISAを利用する上での注意点5.成長投資枠とつみたて投資枠には違いがある

NISAには、成長投資枠とつみたて投資枠があり、それぞれの枠に違いがあるため注意しましょう。
 
成長投資枠とつみたて投資枠の違いは、図表2のとおりです。
 
図表2

制度名 新NISA(新制度)
成長投資枠 つみたて投資枠
非課税対象 株や投資信託から得た配当金や分配金、譲渡益 金融庁が認める投資信託から得た分配金や譲渡益
年間の投資上限 240万円 120万円
投資対象商品 上場株式や投資信託 など 金融庁が認可したファンド
非課税保有限度額 1800万円
※1800万円のうち成長投資枠は1200万円まで

筆者作成
 
図表2のように、非課税対象や年間の投資上限金額、投資対象商品、非課税保有限度額が異なります。
 
また、新NISAに変更されたことで、枠を併用することも可能になりました。そのため、どちらの枠を使うかだけでなく、両方の枠を併用しながら資産運用していくことも視野に入れて検討していきましょう
 

NISA口座開設の方法

NISAの口座を開設するときには、一定の手続きが必要であり、用意しなければならない書類もあります。
 
NISAの口座を開設する方法は、次のとおりです。
 

1.どの証券会社で口座開設するのか決める
2.フォームに必要事項を記載する
3.本人確認書類を提出する
4.証券会社・税務署による審査がおこなわれる
5.運用を開始する

 
どのような流れでNISAの口座を開設したらよいのか確認しておきましょう。
 

NISA口座開設の方法1.どの証券会社で口座開設するのか決める

NISAで運用を開始するときには、まずどの証券会社で口座を開設するのか決めます。
 
NISAの口座は1人あたり1口座しか保有できないため、口座の開設先を決めなければなりません。
 
NISA口座の開設先を決めるときには、次の項目を比較する際の材料にしてみましょう。
 

・NISAで運用できる金融商品の豊富さ
・取引手数料の有無
・ポイント付与などのサービスの内容
・開催中のキャンペーン など

 
証券会社はそれぞれで取り扱いできる商品や、サービス内容に違いがあります。選択する証券会社によって運用成果が変わってしまうことも考えられるため、口座の開設先は慎重に決定していきましょう。
 

NISA口座開設の方法2.フォームに必要事項を記載する

口座を開設する証券会社を決めたら、証券会社のホームページから手続きを進めます。
 
各証券会社はホームページ上に、NISA口座開設の手続きができるページを用意しています。NISA口座開設の手続きを進めるには、まずフォームに必要事項を記載しなければなりません。
 
フォームに記載する内容は、氏名や住所、生年月日などで、必要事項は少なく簡単に入力することが可能です。
 

NISA口座開設の方法3.本人確認書類を提出する

フォームへの入力が終わったら、本人確認とマイナンバーの確認のために書類を提出します。
 
マイナンバーカードがあれば、本人確認とマイナンバーの確認が同時に終わるため、書類の提出は1点で済みます。
 
マイナンバーカードがない場合は、次の組み合わせで書類を2点提出しなければなりません。
 

【マイナンバー確認書類】

・マイナンバー通知カード
・マイナンバーが記載された住民票の写し など

 

【本人確認書類】

・運転免許証
・パスポート
・各種健康保険証
・印鑑登録証明書
・在留カード など

 
マイナンバーカードがない場合、【マイナンバー確認書類】1点と、【本人確認書類】1点が必要です。また、顔写真が付いていない本人確認書類を提出する場合、本人確認書類を2点提出しなければならないときもあります。
 

NISA口座開設の方法4.証券会社・税務署による審査がおこなわれる

書類を提出すると、まず証券会社が口座開設のための審査を開始します。
 
審査期間は証券会社によって異なり、即日終わるケースや1週間以上かかるケースもあるため、すぐに口座開設したい人は気を付けましょう。
 
証券会社による審査に通過すると、NISAの仮口座が開設されます。そして、NISAの仮口座が開設されると、証券会社は税務署に対してNISA口座の申請をします。この際、申請者がおこなう手続きはありません。
 
税務署への申請が通過したら、NISA口座として運用を開始できます。
 

NISA口座開設の方法5.運用を開始する

税務署への手続きが終わったら、NISAで運用を開始していきます。
 
運用開始するときには、あらかじめ次の内容を決めておくようにしましょう。
 

・成長投資枠とつみたて投資枠どちらで運用するのか
・枠を併用して運用するのか
・年間にいくら投資するのか
・どの金融商品に投資するのか など

 
NISAを運用するには、さまざまなことを決めておく必要があります。開設が終わったからといって、何も考えずに運用を開始してはいけません。NISAはあくまで投資であるため、元本割れを起こす恐れもあるからです。
 
もし運用方法や銘柄選びなど決めかねるのであれば、証券会社に相談してみるのもよいでしょう。
 

NISAの確定申告と税金についてよくある質問

NISAで資産運用するときには、確定申告や税金についての知識が必要になります。しかし、確定申告や税金について把握するのは難しく、多くの人が悩みや疑問を抱いています。
 
NISAの確定申告と税金についての主な悩みや疑問は、次のとおりです。
 

・NISAはいくらもうかっても非課税ですか?
・NISA口座で株を売却したら税金はいくらかかりますか?
・NISAはどの証券会社で口座開設しても違いはありませんか?

 
ここからは、NISAの確定申告と税金についてよくある質問とその回答を紹介していきます。NISAを始めるときに悩まないよう、どのような質問があるのか確認しておきましょう。
 

NISAはいくらもうかっても非課税ですか?

NISAは、基本的にいくらもうかっても非課税です。
 
NISAでは株式などの譲渡益や配当金、投資信託の分配金を得たとしても課税されません。非課税保有限度額は決まっているものの、利益の幅で課税されるかどうかは関係ないため、いくらもうかっても非課税のままです。
 
ただし、利益の受け取り方によっては課税されるケースもあるため、非課税にならないケースもあることを理解しておかなければなりません。
 
具体的には、登録配当金受領口座方式や従来方式(配当金領収証方式)で配当金を受領(じゅりょう)すると課税されてしまいます。
 

NISA口座で株を売却したら税金はいくらかかりますか?

NISA口座で株を売却しても税金はかかりません。
NISAでは、株を売却して得た譲渡益は非課税対象となります。
 
また、株を売却すると売却した分だけ非課税保有限度額に空きが出ます。
 

NISAはどの証券会社で口座開設しても違いはありませんか?

NISAは口座開設する証券会社によって、運用成果が変わる恐れもあるため、慎重に開設先を選ばなければなりません。
 
NISA口座は1人1つしか開設できず、証券会社によって実施しているサービスも異なります。
 
例えば、株の取引手数料がかかるかどうかや、クレジットカード積立によるポイント還元率が変わったりします。選択する証券会社によって受けられるサービスが異なるため、自分にあった開設先を見つけることが大切です。
 

NISAで課税される税金まとめ

NISAは原則非課税であるため、税金がかからず、確定申告をする必要もありません。
 
しかし、運用益の受け取り方法によっては税金が課税され、確定申告も必要となるケースがあることには注意しなければなりません。
 
株や投資信託の運用益は分離課税であり、所得税・住民税・復興特別所得税が課税されます。すべての税金を合計すると、20.315%の税率となります。
 
また、確定申告する条件に当てはまっていないものの、確定申告をしたほうがよいケースがあることも理解しておかなければなりません。
 
NISAと税金、確定申告には密接な関係性があるため、NISAでの運用を開始するときには必ず税金の知識も深めておきましょう。
 

出典

国税庁 確定申告が必要な方
金融庁 新しいNISA
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集