分散投資にはどのようなやり方があるのか、基本をわかりやすく解説!
配信日: 2024.03.29
そこでこの記事では、分散投資の基本知識・実践方法について徹底解説します。分散投資のメリットやデメリットなどについても初心者でもわかりやすく紹介します。
投資をしたことがない人や、始めてみたけど自分に合った投資方法かわからない、という方はぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
分散投資とは?
分散投資とは、資産を複数の投資先に分散させ、リスクを減らしつつ、安定した収益を得ることを目指す投資手法です。
投資には必ずリスクが伴います。リスクとは、投資した資金が減少したり、期待した収益が得られなかったりする可能性のことです。リスクが高い投資は、収益も高くなる可能性があります。ですが逆に損失も大きくなる可能性があります。
では、どのようにしてリスクと収益のバランスをとりながら、効率的に投資ができるのでしょうか。その方法の1つが、「分散投資」です。分散投資の基本的な考え方は、「卵を1つのかごに盛るな」ということわざによく例えられます。
卵は壊れやすいため、1つのかごに全部を盛ってしまうと、かごを落とせば多くの卵が割れてしまう可能性が高くなります。しかし、複数のかごに分けて卵を盛っておけば、他のかごの卵は影響を受けずに済みます。
投資も同じことが言えます。投資先や時間を分散させれば、一部の投資が損失を出しても、他の投資でカバーしながら、全体のリスクを低く抑えられます。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
分散投資の基礎知識「各資産の特徴」について
それでは次に、分散投資の基礎知識として、資産ごとの特徴やリスク要因について解説していきます。
円預金
日本円で預け入れる金融商品のことで、定期預金や普通預金などがあります。リスクは低いですが、日本の低金利な環境ではリターンも限定的です。
外貨預金
外国通貨で預け入れる金融商品。米ドルやユーロなどがあります。為替リスクがあり、円換算した価値が変化します。預け入れ時より、円高になれば損失が発生し、逆に円安になれば利益となります。
国内株式
日本の企業の株式を購入すること。リスクは高いですが、キャピタルゲイン(購入時と売却時の差額)や配当によるリターンが期待できます。株価は企業の業績や経済情勢などによって変動します。
国内債権
日本の政府や企業が発行する債券を購入することです。リスクは低いですが、日本の長期金利が低いため、その分リターンも低いです。
外国株式
外国の企業の株式を購入すること。外国株式は、世界的な企業やこれから成長が見込まれる企業に、幅広く投資することができる点が利点です。
ただし、投資する国や地域の政治や経済の影響(カントリーリスク)を受ける点には注意が必要です。政府が変わったり、戦争や災害が起きたりすると、カントリーリスクが高まります。
外国債権
外国の政府や企業が発行する債券を購入することです。リスクは中程度ですが、外国の金利が日本よりも高い場合、リターンも高くなります。
投資信託
プロの運用会社が資産を運用し、その成果を投資家に分配する仕組みのことです。投資信託は、株式や債券、不動産など様々な資産クラスに分散投資ができます。ただし、運用会社の選択や手数料の比較などに注意する必要があります。
ETF
一般的に、ある指標に連動する運用を行う、証券取引所に上場する投資信託のことです。株式市場で取引できます。ETFは、指数に連動するため、ベンチマークとの乖離が少なく、手数料も低いという特徴があります。
分散投資のやり方
では、具体的にどのように分散投資すると良いのでしょうか。分散投資の方法は、次の4つに大別できます。
(1)資産の分散
(2)銘柄の分散
(3)地域の分散
(4)時間の分散
それぞれ詳しく解説していきます。
分散投資のやり方(1)資産の分散
資産の分散とは、異なる種類や特性の資産を組み合わせて投資することです。資産とは、現金、預金、株式、債券、投資信託、不動産、コモディティ(金や原油などの商品)などのことです。
資産を分散する理由は、値動きの異なる資産を組み合わせることで、極端な価格の変動を防ぎ、リスクを軽減させることにあります。
例えば、株式と債券は、一般的に異なる動きをすると考えられています。
株式は、景気が良いときには上昇しやすく、悪いときには下落しやすいとされています。逆に債券は、金利が下がるときには上昇しやすく、上がるときには下落しやすいとされています。
金利は、景気が良いときには上昇しやすいため、逆に債券は下落する傾向にあります。景気が悪いときに金利は下落しやすく、逆に債券は上場する傾向にあります。つまり、株式と債券は、景気の動きに対して逆の反応を示す傾向があるということです。
このように、片一方が下落傾向になってしまったとしても、もう片方がその影響を受けていなければ、資産価値が全体的に下がることを避けられます。資産を分散させることで、リスクを減らすことができます。
分散投資のやり方(2)銘柄の分散
銘柄の分散とは、同じ種類の投資商品でも、異なる企業や組織のものに分散して投資することです。
「銘柄」とは、1つの資産の中でも、個別の企業や商品のことです。株式という資産の中には、様々な業種や規模の企業の株があります。これらの株を銘柄と呼びます。
例えば、国内自動車メーカーA社と海外スポーツ用品会社B社の株式に投資するというのが銘柄の分散です。
このように、株式投資をする場合、1つの企業の株式だけに投資するのではなく、複数の企業の株式に投資しましょう。銘柄を分散させることは、信用リスク(企業の経営破綻などによる損失)や業績リスク(企業の業績の低迷による損失)などの軽減にもつながります。
銘柄の分散をするときは、次の点に注意しましょう。
●業種やセクターを分散させる
●大型株と中小型株のバランスをとる
●配当利回りや成長性などの指標を参考にする
「業種やセクターを分散させる」というのは、同じ業界の企業ばかりに投資するのではなく、異なる業界の企業にも投資するということです。例えば、自動車業界の企業だけに投資するのではなく、食品業界や医薬業界の企業にも投資するということです。
業種やセクターを分散させることで、特定の業界の景気や競争環境に影響されるリスクを減らすことができます。
「大型株と中小型株のバランスをとる」というのは、時価総額の大きい企業の株式だけに投資するのではなく、小さい企業の株式にも投資するということです。大型株は安定性や知名度が高い反面、成長性や割安性が低い傾向があります。中小型株は逆に、安定性や知名度が低い反面、成長性や割安性が高い傾向があります。
大型株と中小型株のバランスをとることで、安定性と成長性の両方を追求できます。
「配当利回りや成長性などの指標を参考にする」というのは、株式の価格だけでなく、株式の収益性や将来性を評価するための数値を見るということです。
例えば、配当利回りとは、株式の配当金を株式の価格で割ったもので、株式の収益性を表します。成長性とは、株式の利益や売上などがどれだけ増えているかを表します。
配当利回りや成長性などの指標を参考にすることで、株式の価値や魅力を客観的に判断できます。
資産・銘柄の分散を行うには、個別に資産や銘柄を選んで購入する方法と、投資信託やETF(上場投資信託)などの商品を利用する方法があります。個別に選ぶ場合は、自分で情報収集や分析を行う必要がありますが、自分の好みや目的に合わせて自由に組み合わせることができます。
投資信託やETFなどの商品を利用する場合は、専門家が選んだ資産や銘柄の組み合わせに従って投資することになりますが、手間やコストを省くことができます。なお、投資信託、ETFなどで、複数の資産・銘柄でセットになっている金融商品は、1つの商品へ投資するだけで、十分な分散効果が得られる可能性が高いです。
分散投資のやり方(3)地域の分散
地域の分散とは、異なる地域にある資産に投資することです。投資を始めるとき、多くの人はどの株や資産に投資すべきかを考えがちですが、地域の分散も同じくらい重要です。
例えば、日本株だけでなく、アメリカやドイツといった先進国、インドやタイといった新興国などの株式に投資するというのが地域の分散です。
地域の分散をすることによって、仮に特定の地域が政治的不安定、経済危機、または自然災害などによって経済状況が悪化し、保有する資産が下落したとしても、経済的に上昇傾向にある他の地域の資産で補うことができます。また、「国の成長機会を逃さない」というメリットもあります。
世界中の市場はそれぞれ異なる成長段階にあります。多くの国では成長が停滞している一方で、特定の国だけ急成長した場合であっても、その国に投資をしていれば。これらの異なる市場の成長機会を逃さずに捉えられます。
地域の分散をする際は、特定の地域の資産・銘柄に投資先を絞らずに、様々な地域を組み合わせることがポイントです。
分散投資のやり方(4)時間の分散
時間の分散とは、一度にまとめて投資をするのではなく、投資するタイミングを複数回に分けて投資をすることです。
一度の投資で、全資金を使って購入してしまうと、直後に価格が暴落してしまうという可能性はゼロではありません。タイミングを分散させることで、リスクを回避できる可能性が高くなります。
「ドルコスト平均法」という投資手法がメジャーですが、これは簡単に言えば投資金額を毎回一定にする投資手法のことです。投資信託などにおいて一般的に採用されています。
ドルコスト平均法の場合、価格が高いときには少なく、価格が低いときには多く購入できるため、購入単価が平準化されるという特徴があります。
分散投資のメリット
分散投資のメリットは、主に次の4つです。
(1)投資リスクを低減できる
(2)短期的な変動を気にせず済む
(3)複利の効果を最大限に活かせる
(4)安定した利益が狙える
それぞれについて、詳しく解説していきます。
分散投資のメリット(1)投資リスクを低減できる
分散投資の最大のメリットは、投資リスクを軽減できるという点です。仮に1つの投資先に全資産を投資した場合、投資した商品の相場が悪化してしまうと、資産全体にわたって大きな損害が出てしまいます。
しかし、複数の投資先に分散して投資していれば、たとえその中の1つの投資先の市況が悪化したときにも、資産の多くを守れます。また、分散投資にはリスクを回避する効果もあるので、相場が悪化してしまった商品の評価損を他の商品でカバーすることも可能です。
分散投資のメリット(2)短期的な変動を気にせず済む
分散投資のもう1つのメリットは、長期的な視点で投資に取り組むことができるということです。仮に分散投資をせず全資産を同タイミングで、同じ商品に投資を行った場合、購入後の値動きが頭から離れなくなってしまいます。
一方で、長期的な目線をもって資産運用を行っていれば、短期的な価格変動で一喜一憂しなくてよくなります。また、資産を分散して長期にわたって運用することで、知識や経験も増えていくので、さらに資産の増加を狙えるかもしれません。
分散投資のメリット(3)複利を最大限に活かせる
分散投資のもう1つのメリットは、複利の効果を最大限に活かせるということです。分散投資は、短期間で大きな利益を得ることは難しいかもしれませんが、その反面、大きな損失も出しにくいという特徴があります。
投資では、投資が可能な期間が長期的であればあるほどお金の増加が期待できます。これは、得られた利益を元本に組み入れる「複利」の効果によるものです。分散投資を続けることで、長期的に安定した収益を得られる可能性が高くなります。
分散投資のメリット(4)安定した利益が狙える
分散投資することで安定した利益が狙えることもメリットの1つです。
全ての資産を1つの資産に投資すると、その資産の価格変動だけで、資産価値が大きく上下してしまいます。しかし、複数の資産に投資を分散することで、1つの資産の価値の変動が他の資産によって相殺される効果があります。
例えば、株式と債券に分散して投資した場合、株式が下落しても債券が上昇すれば、損失を緩和できます。
このような分散投資の効果は、投資の収益率、つまり投資したお金に対する利益や損失の割合を通して測ることができます。
収益の安定化を図る1つの方法として、「シャープレシオ」という指標があります。これは、リスクを取らずに得られる利益(無リスク資産の収益率)を差し引いた上で、投資の収益率の変動性(標準偏差)で割ったものです。
このシャープレシオが高いほど、少ないリスクでより高い収益を得られることを意味し、分散投資の効果が高いと評価されます。
分散投資のデメリット
分散投資をすることで、リスクを抑えながら安定した資産運用ができますが、一方でデメリットもあります。それは次の3つです。
(1)リターンが低くなる
(2)管理が複雑になる
(3)為替変動のリスクがある
それぞれについて、詳しく解説していきます。
分散投資のデメリット(1)リターンが低くなる
分散投資は、リスクを抑えられますが、その分、リターンが少なくなる可能性があります。
投資は一般的に、高いリターンを得るには高いリスクを取る必要があります。分散投資では、リスクの高い資産に投資する割合を減らすことになるため、期待できるリターンも低くなる可能性があります。
また、分散投資では、全ての資産を最も収益性の高いものに集中させることはできません。例えば、株式投資では、優良な銘柄に絞って投資することで、高いリターンを得ることができますが、分散投資では、多くの銘柄に投資することになるため、その効果が薄まります。
分散投資のデメリット(2)管理が複雑になる
分散投資は、複数の資産、銘柄、地域、時間に投資することになるため、管理が複雑になりやすいです。
それぞれの資産の値動きや経済状況を把握する必要がある上、市場の変化に応じて、資産の配分を調整する必要もあります。
これをリバランスといいますが、リバランスを行うには、資産の売買が必要になります。これは、手間や時間がかかるだけでなく、手数料や税金も発生する可能性があります。
最も、投資信託を積立投資することで、資産の分散、銘柄の分散、地域の分散、時間の分散が簡単にできてしまうため、投資信託での資産運用は初心者におすすめの投資方法と言えます。
分散投資のデメリット(3)為替変動のリスクがある
分散投資するため、外国の資産に投資する場合には、為替変動のリスクが伴います。
為替変動のリスクとは、外貨建ての資産において、為替相場が変動することによって、価値が予想と異なる可能性のことです。
例えば、1ドル=150円のときに100ドル分の外国株を購入したとします。そのときの円換算の価値は1万5000円です。しかし、その後円高になって1ドル=100円になり、株価も変動していなければ、そのときの円換算の価値は1万円にしかなりません。
つまり、為替変動によって、5000円の損失が発生したことになります。これが為替差損と呼ばれるものです。逆に円安になって1ドル200円になれば、円換算した価値は2万円となり、5000円の利益となります。これが為替差益と呼ばれるものです。
分散投資には、リスクを低減するメリットがありますが、リターンが低くなる可能性や管理の複雑さ、為替変動のリスクなどのデメリットもあります。ですので、分散投資を行う際には、これらのデメリットを理解した上で、自分の目的やリスク許容度、運用期間などに合わせて、適切な投資戦略を立てることが大切です。
分散投資のやり方まとめ
分散投資は、リスクを抑えつつ安定した収益を狙うことができる投資手法です。
分散投資のメリットは、リスクの分散、収益の安定、投資効率の向上などがあります。また、資産、銘柄、地域、時間の4つの観点から分散投資を実践することで、投資の効率性を高めることができます。分散投資は、長期的な視点に立って資産形成をしていきたい方におすすめの投資手法です。
この記事では、分散投資のやり方を徹底解説しました。分散投資は、投資の基本中の基本とも言える重要な考え方です。投資初心者の方は、ぜひ分散投資の考え方を理解して、実践してみてください。
出典
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ウェブサイト 分散投資の意義①1位になる資産は当てられない
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ウェブサイト 分散投資の意義③卵を1つのかごに盛るな
金融庁 投資の基本
金融庁 はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ウェブサイト 用語集
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部