更新日: 2024.03.29 その他資産運用
ETF(上場投資信託)とは? 仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説!
株式投資だけでなく、債券や投資信託など、多くの投資先があります。その中でETFに興味を持った人もいるでしょう。「ETF」は、株式投資や投資信託と比べてなじみがないといえますが、メリットもあるので検討したい投資先です。
そこで本記事では、ETFの仕組みやメリット、デメリットについてわかりやすく解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
ETF(上場投資信託)とは?
「ETF」は投資信託の種類の1つです。上場投資信託のことで、「Exchange Traded Funds」の頭文字をとってETFと呼ばれています。
また、上場投資信託の名前のとおり、投資信託の中でも証券取引所に上場している点が特徴です。上場している株式と同じように証券取引所で取引できます。証券取引所で取引するので、取引所が開いている時間のみ取引可能です。この点についても株式投資に似ている部分があるといえます。
ETFには、一般的な投資信託のように「インデックス型」の運用があります。インデックス型の運用では日経平均株価やTOPIXといった指数(株価の値動きがわかるように数値化したもの)に連動する点が特徴です。そのため、対象となっている指数全体に投資をしている場合と同じ効果が得られます。
また、株式だけでなく、債券やREIT、コモディティといった資産も対象にしているものもあります。
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ETFの仕組み
ETFの運用方法としては、「現物拠出型ETF」と「リンク債型ETF」があります。それぞれで運用方法の仕組みが違うので、ここではETFの仕組みについて解説します。
現物拠出型ETF
「現物拠出型ETF」は、証券会社が買い付けた現物の「株式バスケット(株式の詰め合わせ)」を運用会社に納め(拠出)、運用会社はそれを基にETFを設定します。この際、運用会社は株式バスケットを納めた証券会社に対してETFの持ち分がわかるように受益証券を発行する仕組みです。
つまり、「証券会社が買い付けた株式バスケット」と「運用会社が運用していくETFの受益証券」を交換している状態です。証券会社は運用会社が発行した受益証券を上場することで投資家が売買できるようになります。
リンク債型ETF
リンク債型ETFは現物拠出型ETFと異なり、証券会社は現物ではなく金銭を運用会社に納めます。そして、運用会社は受け取った金銭を特定の指標などに連動するリンク債に投資し、それを基にETFを設定する仕組みです。
現物を拠出できる場合は現物拠出型ETFを発行できますが、新興国では現物の拠出が難しい場合もあります。そのため、現物の拠出が難しい新興国の株価指数ではリンク債型ETFが発行されるケースが多いです。
ETFと投資信託の違いは?
ETFは上場投資信託なので、投資信託の1つです。しかし、ETFと投資信託には明確な違いがあります。
主な違いとしては「上場しているか、していないかの違い」、「購入できる場所の違い」、「売買方法の違い」の3つです。
そこでここでは、ETFと投資信託の違いについて解説します。
ETFと投資信託の違い1.上場しているか、していないかの違い
1番の大きな違いは証券取引所に上場しているか、していないかの違いです。ETFは証券取引所に上場していて、投資信託は上場していません。
上場しているか、していないかで取引時間が異なってきます。ETFは証券取引所が開いている平日の月曜日から金曜日の8時45分から16時45分で取引可能です。これに対して投資信託は申込期間中の9時から15時までが取引時間になっています。
また、ETFと投資信託は価格の決まり方も異なります。ETFは株式と同じようにリアルタイムで価格が変動し、好きなタイミングで購入可能です。投資信託は基準価額が1日1回算出され価格が決定します。
ETFは上場している点で株式により近い投資商品になっているといえるでしょう。
ETFと投資信託の違い2.購入できる場所の違い
購入できる場所もそれぞれ異なります。ETFが購入できるのは証券会社です。他方、投資信託はファンドごとに購入できる場所が異なり、証券会社だけでなく、銀行、郵便局といった金融機関の窓口でも購入できます。
購入できる場所も上場しているか、していないかで違うことがわかります。
ETFと投資信託の違い3.売買方法の違い
ETFと投資信託は売買方法も違います。まず、ETFは証券会社を通じて証券取引所にて売買の注文をおこないます。この点も株式と同様に成行注文か指値注文か、注文方法を選ぶ仕組みです。
これに対して投資信託はファンドごとの販売会社を通じて売買をおこないます。販売会社は証券会社だけでなく銀行や郵便局などの金融機関の場合もあります。そのため、相談がしやすく身近に感じられる金融機関での取引がしたい人には投資信託のほうが向いているでしょう。
ETFのメリット
ETFのメリットは「手軽に分散投資ができる」、「手数料が投資信託に比べて安い」、「株式のように成行注文や指値注文ができる」の3つが挙げられます。
ETFのメリット1.手軽に分散投資ができる
投資には多くのリスクがあるので、そのリスクを抑えることが重要です。そこで、リスク分散の投資方法として分散投資があります。分散投資は資産や銘柄を分散させる「資産の分散」、複数の国の資産に分散させる「地域の分散」、投資をする時間や時期を分散させる「時間の分散」によってそれぞれのリスクを分散する投資方法です。
この点、ETFは「複数の株式の詰め合わせである株式バスケットに投資」することと同じなので、ETFを保有するだけで分散投資ができます。本来であれば複数の銘柄を保有しなければ分散投資になりませんが、ETFのみを保有するだけでよいので手軽に分散投資が可能です。
もっとも、ETFも1つの銘柄だけを保有するのはリスクがあります。
例えば、TOPIXといった株式の指数に連動するETFを1つ持っていた場合、株式市場が暴落するリスクを抑えることはできません。そのため、株式以外の債券やコモディティに連動するETFを別に保有することでさらにリスク分散が可能になります。
ETFのメリット2.手数料が投資信託に比べて安い
ETFは投資信託と比べて手数料が安く設定されている点もメリットです。投資信託で注意したいものの1つに手数料の高さが挙げられます。
投資信託には販売会社から購入する際の購入時手数料や運用している際にかかる信託報酬といったコストがかかります。この点、ETFは販売会社を通さないので販売会社に支払われる信託報酬の一部がかかりません。そのため、投資信託よりも信託報酬が安く設定されている場合が多いです。
投資にかかるコストを抑えられるので、ETFは長く保有するのに向いている金融資産といえます。
ETFのメリット3.株式のように成行注文や指値注文ができる
ETFは株式と同じように成行注文や指値注文が可能です。成行注文は、いくらでもよいから買う、という注文方法となっています。これに対して指値注文は一定の金額まで下がれば買う、一定の金額になるまで売らない、といった設定ができる注文方法です。
特に指値注文は設定した金額になるまでは売買をしないので、リスクを抑えることにつながります。また、ETFは株式と同じようにリアルタイムで価格が変動するので、最適なタイミングで売買できる点がメリットです。
ETFのデメリット
ETFにはメリットが多くありますがデメリットもあります。主なデメリットは「価格変動リスク」、「流動性リスク」、「連動する指数から乖離(かいり)してしまうリスク」、「税金がかかる」の4つです。
ETFのデメリット1.価格変動リスク
「価格変動リスク」は、ETFに組み込まれている株式や債券の価格が変動し、場合によっては価格が購入時よりもマイナスになってしまうリスクです。ETFは株式バスケットを運用しているので一般的な株式よりもリスクを抑えられていますが、株式市場全体が落ち込んでしまうと価格が暴落する恐れがあります。
そのため、株式だけでなく債券のETFを保有するなどしてリスクを抑えることも必要です。債券は株式と逆の値動きをする傾向にあるので、株式と債券を両方保有することでリスクを分散できます。
ETFのデメリット2.流動性リスク
「流動性リスク」は、市場の需要と供給によって売買が成立しない可能性があるリスクです。また、予想よりも大きく離れた価格で売買が成立してしまう恐れもあり、注意が必要です。
ETFは指値注文ができるのである程度リスクを抑えられますが、市場の変化で設定した金額まで達しないことも考えられます。この場合は売買が成立しないので価格がマイナスのまま保有し続けなければならず、損失を大きくしてしまう恐れもあるのです。
そのため、損切りができるように売却時の逆指値注文の設定をすることも考えてください。逆指値注文は、価格が一定の金額まで下がったら売るように設定する注文方法で、損失を抑えることができます。
ETFのデメリット3.連動する指数から乖離してしまうリスク
ETFは株式や債券の指数に連動して価格が変動するのが特徴です。しかし、市場が急変すると連動する指数とETFの価格が乖離してしまうリスクがあります。この場合は価格の変動が読めず、指数に応じた取引ができません。
これを抑えるために重要なのが乖離(かいり)率です。乖離率が低いETFを購入することでリスクを抑えることができます。
ETFのデメリット4.税金がかかるリスク
ETFは株式と同様に税金がかかるリスクがあります。ETFを譲渡することで利益が出た場合は譲渡益について課税され、分配金があれば分配金に対しても課税されます。
もっとも、一定金額までの運用で税金のかからない新NISAの対象になっているETFもあります。なるべく税金がかからないように、新NISAの対象になっているETFから銘柄を選ぶといった工夫で税金を抑えるようにしましょう。
ETFがおすすめな人の特徴
ETFがおすすめの人の特徴は「分散投資がしたい人」、「長期的に保有して運用したい人」、「リアルタイムで取引がしたい人」の3つです。
ETFがおすすめな人の特徴1:分散投資がしたい人
ETFは分散投資がしたい人におすすめです。本来であれば分散投資をするためには複数の銘柄や投資商品を保有しなければいけません。この点、ETFは株式バスケットといった株式の詰め合わせを1度に保有できるので分散投資が手軽にできます。
複数の銘柄や投資商品を保有するのが面倒だと感じている人におすすめです。
ETFがおすすめな人の特徴2:長期的に保有して運用したい人
ETFは長期的に投資商品を保有して運用したい人にもおすすめです。長期保有をするためには信託報酬がかかってしまいますが、ETFは投資信託と比べて信託報酬が安く設定されている場合が多いため、長期保有に向いています。
いわゆる「ほったらかし投資」がしたい人におすすめの投資商品です。
ETFがおすすめな人の特徴3:リアルタイムで取引がしたい人
長期保有にもおすすめですが、ETFはリアルタイムで取引がしたい人にもおすすめです。ETFは投資信託と異なり、株式のようにリアルタイムで価格が変動するので適切なタイミングを自分で選んで取引できます。
そのため、リアルタイムで株価指数といった連動する指数やチャートを見ながら投資をしたい人におすすめとなっています。
ETFをおすすめできない人の特徴
「多くの銘柄から投資先を選びたい人」、「銀行や郵便局といった金融機関窓口で相談したい人」、「分配金を再投資するのが面倒な人」はETFをおすすめできません。ここではETFをおすすめできない人の特徴について3つを解説します。
ETFをおすすめできない人の特徴1:多くの銘柄から投資先を選びたい人
ETFは投資信託と比べて銘柄が少なくなっています。そのため、多くの銘柄から投資先を選びたい人にはおすすめできません。
また、ETFのように複数の株式の集合体に投資するのではなく、個別の銘柄を選んで投資をしたい人にも不向きといえます。
ETFをおすすめできない人の特徴2:銀行や郵便局といった金融機関窓口で相談したい人
ETFは証券会社を通して取引できますが、銀行や郵便局といった金融機関では取り扱っていません。そのため、銀行や郵便局といった金融機関の窓口で担当者と相談しながら投資をしたい人にはおすすめできません。
金融機関の窓口は身近な存在なので相談しやすいと感じている人も多いでしょう。そのような人にはETFではなく投資信託のほうが取り扱っている金融機関も多いのでおすすめです。
ETFをおすすめできない人の特徴3:分配金を再投資するのが面倒な人
ETFは、「分配金が発生した際に再投資が自動的にできない」という特徴があります。そのため、分配金を自分で再投資する必要があります。この手続きが面倒に感じる人にETFは向いていないといえるでしょう。
ETFの購入方法
ETFの購入方法は株式とほとんど同じです。銘柄選び、数量の決定、注文方法の設定によって購入できます。
まずは銘柄を選びます。ETFもさまざまなものがあるので、ご自身に合った銘柄を選びましょう。そして、どれだけ買うのか数量を設定します。最後に注文方法の設定です。注文方法は成行注文と指値注文があります。初心者の場合は価格の上限や下限を設定できる指値注文がおすすめです。
ETFまとめ
ETFは投資信託と比べると認知度は低いかもしれませんが、投資信託の種類の1つなので投資信託を保有している人はチャレンジを検討してみてもよいかもしれません。一般的な投資信託と比べてコストがかからないので、長期的な投資にも向いています。それだけでなく、リアルタイムで取引できるので短期的な投資にも有効な投資商品です。
もっとも、ETFにもデメリットがあります。価格変動リスクや流動性リスク、連動する指数から乖離してしまうリスク、税金がかかるリスクには注意してください。また、株式投資と比べて1つの銘柄でも分散投資ができる点はメリットですが、それだけではリスク分散は十分ではありません。
多数の銘柄と合わせることでさらにリスクを抑えることができるので、銘柄選びも慎重にするようにしましょう。
出典
一般社団法人投資信託協会 ETFの仕組み
一般社団法人投資信託協会 投資信託のコスト
一般社団法人投資信託協会 投資信託が持つリスク
一般社団法人投資信託協会 メリットとリスク
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部