更新日: 2024.04.25 その他資産運用
【新NISA】投資初心者の正解した選択とちょっと残念な話とは?
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
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つみたてNISAの要点をチェック
先日、懐かしい友人たちとの会合がありました。テーブルを囲んだメンバーは、元銀行員・運用会社の元ファンドマネージャー・英文学者、そして筆者の4人です。
英文学者のAさんは投資初心者ですが、2年前からNISAで積み立てを始めたそうです。Aさんが投資状況について語ってくれましたので、これをもとに投資初心者が気をつける点を確認したいと思います。
(1) NISA口座を開設したのはネット証券で、その理由は手数料の安さ
この選択は正解です。手数料に目配りしている点は◎です。Aさんは日中仕事で忙しいので、好きな時間に取引できるネット証券が適しています。
(2) よく分からないので「つみたてNISA」で運用を開始
つみたてNISAは、毎月定額を投資する制度なので、自動的に時間の分散ができます。また投資できる商品は長期運用に適したものに限定されている点でも優れています。この制度を利用して始めたことは◎、これは現NISAの「つみたて投資枠」となります。
(3) 同じくよく分からないので、複数の投資対象を組み入れたバランス型の商品を選んだ
内容は、国内外の株式・債券・REITに投資するバランスファンド。「株式だけだと株価が暴落した時のことが心配だし、分散しているほうが安心。投資には時間や手間をかけたくない」というのが理由だそうです。
確かに経済状況に応じて組み合わせのバランスを調整するなどの作業は大変です。個人のリスク許容度にもよりますが、「こんなに損失を抱えてしまった」となると、うろたえて冷静な判断ができなくなるかもしれません。
その結果、その後の景気の回復を待たずして売却してしまう例は多いです。「バランスファンドで運用しているので、“株式のみ”に比べてへこみが少なくて済んだ」と納得できれば、回復を待つ余裕も持てるかもしれません。
Aさんがバランスファンドを選んだことは、自分のリスク許容度や投資に対する接し方にふさわしい選択をしたと考えられます。
ちなみに、複数あるバランスファンドから当該ファンドを選んだ理由を聞いたところ、「もっとも手数料(信託報酬)が安かった」という答え。元ファンドマネージャーは「他の比較も必要」と遠慮がちに苦言を呈しました。
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資産運用は自分に合ったやり方で
さて、Aさんの投資スタートはおおむね順調に思えました。ですが、この直後にとても残念なひと言を放ったのです。
「それでね、2年で2割も増えちゃった、スゴイでしょう。うれしいので確定して、今日のお洋服買っちゃった。良いでしょう!」と。「それはダメでしょう。複利の効果で増やさないと」と元銀行員がすかさず言いましたが、「実感しないと楽しくない」とAさんが反論。成功体験を可視化したい気持ちは分からなくもないですが、買い物で実感するのは今回限りにしたほうがよいかもしれません。
長期投資は“気長にコツコツ”が信条です。要は“ほったらかし”が成功の秘訣。儲かってご褒美にしてしまったら、損した時は積立を止めてしまう、あるいは残高を売却してしまいそうで心配です。
一方で、長らく投資に関わってきた上級者の2人は、個別株の選別方法などについて熱く語っていました。ここ最近の株式市場の活況ぶりを考えると、“バランスファンド、2年で2割の利益”では、納得できません。上を期待すればリスクはつきものです。十分な情報収集に加えて、想定外のことが起きた場合にでも変化に対応できる身のこなしができなければなりません。
楽しそうに話すハイレベルの会話に「投資は難しい。でも、だから面白いのだろうな」と感心しました。しかし、「よく分からないので」というAさんの姿勢にも見習う点があります。背伸びせず、自分に合った資産運用との付き合い方が良さそうです。
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士