30歳で「手取り18万円」です。老後のためにNISAやiDeCoで「月3万円」欲しいのですが、出せるのは「月1万円」です。やはり少額だと厳しいでしょうか?
配信日: 2024.04.30 更新日: 2024.05.01
本記事では、NISAやiDeCoで貯金額を増やせるのか、解説していきます。
執筆者:沢渡こーじ(さわたり こーじ)
公認会計士
NISAやiDeCoは何がお得なのか
投資をする上で「NISA」や「iDeCo」の話を耳にする機会があると思います。NISAやiDeCoは、それ自体が金融商品というわけではなく、株や投資信託などの金融商品を買う際に利用できる制度のことです。では、NISAやiDeCoで何がお得になるのかを解説します。
NISA
通常、株や投資信託などを売買した場合の利益や、受け取った配当金に対しては約20%の税金がかかります。しかし、NISAを利用することで、一定額までの投資の利益については税金がかからなくなります。その分、投資によってより多くのお金を得られるようになります。
なおNISAは、証券会社や銀行などの金融機関で申し込むことができます。
iDeCo
iDeCoはNISAと同様、投資で得た利益に対して税金がかからなくなる制度です。
月の利用額には上限(拠出限度額)があり、会社員で企業年金なしの場合だと2万3000円、企業年金ありの場合だと最大2万円です。職業や保険の加入状況によって限度額は変わります。また、企業年金ありだと限度額は職場によって違うため、勤務先に確認する必要があります。
iDeCoは、1年間で投資した額が全額所得から控除され、所得税が安くなります。
ただし、原則60歳になるまでお金を引き出せないので、その点は注意してください。また、NISAと比べ投資できる銘柄が制限されていることにも注意が必要です。
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NISAやiDeCoを使うとどれくらい貯金額が増やせるのか
NISAやiDeCoを使うことで、貯金額がどれくらい増やせるのかをシミュレーションします。仮に、月1万3000円をNISAで投資し、年利3%で運用できた場合、30年間の運用収益は289万6000円になります。
つまり、単純に考えると1ヶ月あたり約8000円お金が増えている計算になります。
月3万円貯金することが目標ですから、今の貯金額月1万円に追加して月1万3000円をNISAに投資すれば8000円増えるので、目標の月3万円の貯金に相当する資産形成を達成できます。
ただし、あくまで30年間の長期投資をした場合にこれだけ増える見込みになるという点は、意識しておきましょう。
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月の貯金額を増やすには
では、月の貯金額を追加で1万3000円増やすにはどうすればいいのでしょうか。
主に、入ってくるお金を増やすことと、出ていくお金を減らすことの2つの軸で考え、それぞれの手段についてご紹介します。
収入を増やす
残業や副業をして月の収入を増やすのが一番手っ取り早い方法です。
特に、副業をすることでスキルや知識が身に付くのでおすすめです。
副業をしたことがない人は、ココナラやクラウドワークスなどの副業サイトに登録して仕事を探すのがいいでしょう。
例えば「営業をしているため営業に関する記事を書く」など、自分の持っている知識やスキルを活かした仕事をすると、収入を得やすいです。
副業で月1万円稼ぐことが目標であれば、無理なく達成できるでしょう。ただし、副業を禁止している企業もありますので、勤め先の規則をよく確認するようにしてください。
節約する
支出を抑えて貯金を増やすのも有効な方法です。食事を自炊にしたり、電気やガスの契約を安い会社に切り替えるといった方法が考えられます。スマホを格安キャリアに変えると、料金が月に数千円安くなることもありますので、検討しましょう。
節税制度を活用する
iDeCoを使って投資したお金はその年の所得から控除され、税金が安くなります。
例えば月1万円iDeCoを使って投資した場合、年間12万円の全額が課税所得から控除されます。
税率は年間の所得額によって変わりますが、仮に総所得300万円の場合の所得税率は10%のため、所得が12万円控除されると所得税が1万2000円安くなる計算です。
会社員であれば年末調整で控除を受けることができます。毎年「小規模企業共済等掛金払込証明書」が自宅に送られてきますので、年末調整のときに勤務先に提出してください。
また、「給与所得者の保険料控除申告書」にiDeCoの投資額を書く欄がありますので、払込証明書の金額を書いて勤務先に提出することで、控除を受けられます。
他にも、生命保険に入っているのであれば、年間で支払った保険料の一部が所得税から控除されるので、忘れずに申請しましょう。
まとめ
NISAやiDeCoを活用することで、貯金額をかなり増やすことができます。
投資するお金を追加で作るために、入ってくるお金を増やし、出ていくお金を減らす工夫をしましょう。
ただし、NISAとiDeCoは投資であり、元本は保証されていないため、運用成績が悪いとお金が減るリスクもあります。そうしたリスクも考慮して、投資は自己責任で行うようにしてください。
出典
金融庁 NISAとは?
厚生労働省 iDeCoの概要
金融庁 資産運用シミュレーション
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 令和5年「小規模企業共済掛金控除証明書」について
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者:沢渡こーじ
公認会計士