更新日: 2024.06.21 その他資産運用
個人向け国債を検討しています。マイナス金利が解除されましたが、個人向け国債の利率も上がっていくのでしょうか?
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
個人向け国債には3種類あります
個人向け国債は、満期までの期間が異なる3つの種類があります。満期までの期間は「3年」「5年」「10年」です。3種類のうち、3年と5年は固定金利の個人向け国債です。固定金利の個人向け国債は発行時に設定した利率が、満期までの間変わることはありません。
ちなみに、2024年6月の個人向け国債の利率は、変動10年は0.69%、固定5年は0.59%、固定3年は0.40%です。これらの利率が3年間、あるいは5年間、変わりません。また利率は1年当たりの表示ですが、利息は半年ごとに受け取ります。
<10年満期の個人向け国債は変動利率>
満期までの期間が異なる3種類の個人向け国債のうち、10年満期のものは変動金利です。利率が半年ごとに変わります。
では、半年ごとに変わる利率は、どのように決まるのでしょうか?
「基準金利×0.66」とされています。基準金利とは、財務省のサイトから引用すると「利子計算期間の開始日の前月までの最後に行われた、10年固定利付国債の入札(初回利子については募集期間開始日までの最後に行われた入札)における平均落札価格を基に計算される複利利回り(小数点以下第3位を四捨五入し、0.01%刻み)の値」となっています。
例えば、平成26年1月9日(木)から1月31日(金)までに募集を行い、平成26年2月17日に発行された「変動10年(第46回)」の場合で見てみましょう。利子の計算期間が「平成26年2月16日から平成26年8月15日」の基準金利は0.72%です。そして「変動10年(第46回)」に適用される利率は0.72%×0.66=0.4752≒0.48%です。
同じく「変動10年(第46回)」の場合です。利子の計算期間が平成28年8月16日から平成29年2月15日で、その間の基準金利は-0.25%です。しかし、個人向け国債の適用利率の下限は0.05%なので、「変動10年(第46回)」に適用される利率は0.05%になります。
そして「変動10年(第46回)」の直近の利息はというと、利子の計算期間が「令和5年8月16日から令和6年2月15日」で、その間の基準金利は0.43%です。この基準金利を基にした利率は、0.28%です。
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長期金利が上がれば「変動10年」の個人向け国債の利率も上がる?
メディアなどで報じられる長期金利とは、10年国債の利回りを指しています。つまり10年固定利付国債の利回りが長期金利の代表的な数値とされています。したがって、長期金利が上がれば個人向け国債の利率も上がるのです。
日本銀行がマイナス金利を解除した今、長期金利が上がれば、個人向け国債の利率も上がります。では逆に、日本銀行が再びゼロ金利やマイナス金利に戻した場合には、個人向け国債の利率は、どのようになるのでしょうか?
先述のとおり、個人向け国債の適用利率の下限は0.05%です。投資とは未知の未来への投資です。投資をまだ経験されたことのない方の場合、日本政府が発行している個人向け国債への投資なら、安心だという方もいるかもしれません。
出典
財務省 現在募集中の個人向け国債・新窓販国債
財務省 個人向け国債についてのよくある質問
財務省 変動10年(第46回)の発行条件
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役