年収400万円の夫が「NISA」を始めました。子どもの学費も考えると普通に貯金してほしいのですが、長期で考えると「得」なのでしょうか?
配信日: 2024.09.16
しかし、長期的な資産形成の観点から考えると、NISAを利用するメリットは大きいです。NISAを活用して学費を準備する可能性について考えてみましょう。
執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)
CFP、行政書士
2024年新NISAを利用する人が急増中
2024年から始まった新しいNISA制度は、従来のNISA制度を刷新し、より幅広い投資が可能となりました。図表1の通り、大きな特徴として、成長投資枠とつみたて投資枠の2つを併用できることになりました。
年間投資額が拡大され、成長投資枠は年間240万円、つみたて投資枠は年間120万円の合計360万円となり、旧NISA制度から大幅に引き上げられています。また、非課税保有枠の上限が1800万円と定められたため、売却時には非課税保有枠が復活するなど、売買の戦略も立てやすくなっています。
ほかにも、非課税期間が無期限になるなど、旧NISA制度よりも使いやすい制度になったことは間違いありません。実際に2023年末から2024年3月末までの3ヶ月でNISA口座は約200万口座が開設されています。
2023年の10~12月の増加数は約100万口座で、年後半になるにつれ口座開設数が増加しており、旧NISA制度の駆け込み口座開設があったと考えられますが、2024年の数字はそれを大きく上回っています。
図表1
金融庁 NISA特設ウェブサイト
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長期投資であれば家計にとって「得」なのか?
損をすることを期待して資産運用する人はいません。また、2024年になって預金金利が上昇しつつあるといっても、金利はいまだ0.1%程度です(2024年9月2日以降のゆうちょ通常貯金金利等)。資産を増やすことを「得」とするのであれば、基本的にはNISAで資産運用するほうが「得」する可能性は高くなります。
ただし、注意が必要なのは、NISAを含む資産運用は損失がでる可能性もあるということです。例えば、2024年7月中旬から8月初旬にかけて日経平均は約4万2000円から3万2000円まで下落しました。特に8月前半の動きは顕著で、今年からNISAを始めた人の中にも大きな痛手を受けた人もいるかもしれません。
NISAや積立投資なら損をしないと考えている人もいるかもしれませんが、特に短期的な動きには注意が必要です。
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家計を考えつつNISAを学費に活用する方法
家計の状況や資産運用に対する考え方はそれぞれ異なりますので、資産運用方法に正解はありません。その上で、前記した通り、資産運用は損失がでるリスクもあるので、全ての余裕資金を運用に回すのはリスクが高くなります。生活が苦しくなるまでNISA投資をすることはおすすめできません。
例えば、義務教育期間などの近い将来必要になる学費は貯金で貯めておき、支出が大きくなる大学進学に関連する費用はNISAで長期的に運用するなどの方法は合理的です。
仮に、毎月2万円を18年間、年率3%で運用したとすると、将来572万円(うち、運用収益は140万円)になります。全ての大学関連費用を賄うことは難しいかもしれませんが、十分安心できる金額ではないでしょうか。
図表2
金融庁 つみたてシミュレーター
まず、生活費や緊急時に備えるための安全資金は確保しておきましょう。NISAで運用する資産の選び方も重要です。これから投資を始める人や投資に自信がない人は、個別株などのハイリスクハイリターンな銘柄よりも、大きなインデックスに連動した投資信託がおすすめです。
日本株なら日経平均や東証株価指数(TOPIX)、外国株なら全世界株式(オルカン)やS&P500などがそれにあたります。
また、家族全体でお互いの考えや不安を話し合い、目標を共有することも大切です。そうすることで長期的な視点で見れば、NISAの利用は「得」をすることが多くなるでしょう。
出典
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
金融庁 NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について
金融庁 つみたてシミュレーター
執筆者:御手洗康之
CFP、行政書士