老後に安定した収益を得るために「毎月分配金」を受け取れる投資信託を始めようと思っています。投資信託の基準額がマイナスになったら受け取れる分配金は下がってしまうのでしょうか?

配信日: 2024.10.15

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老後に安定した収益を得るために「毎月分配金」を受け取れる投資信託を始めようと思っています。投資信託の基準額がマイナスになったら受け取れる分配金は下がってしまうのでしょうか?
投資信託の運用が、常に良好であるとは限りません。購入時に比べてマイナスになったとき、分配金はどうなるのでしょうか。マイナスなのに分配金をもらっても大丈夫なのか、仕組みを考えます。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

毎月分配型が好まれる理由

「老後も資産運用しながら資金を取り崩すことで、資産の寿命を延ばすことができます」このような考え方は納得できますが、“どのようにしたらよいのか”実践する方法は悩ましいところです。
 
1つの手段として、毎月分配型の投資信託を利用する方法があります。毎月分配型は資産形成期には運用効率が良くないので、NISAの商品からは外されていますが、個人的にはシニア世代にとって有効と考えます。
 
シニア世代にとって、“老後資金はリタイア後の生活費として形成したものだから、取り崩して使っていくことが当然”と頭で理解していても、取り崩す=減っていくと考えると、取り崩すことに躊躇してしまいます。運用効率の良しあしよりも、使い勝手を優先して利用しているシニア層は多いのではないでしょうか。
 

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分配金の仕組み

分配金を受け取る仕組みは以下のようになります。

<例>投資信託のX商品を基準価額1万円(手数料100円)でAさんが購入
 
Aさんの個別元本は1万円
 
その後、基準価額が1万2000円に上昇したときにBさんが購入(手数料100円)
 
Bさんの個別元本は1万2000円

収益分配金はすべての投資家に支払われます。決算日に1000円の分配金が支払われ、基準価額が1万1000円になったと仮定します。
 
Aさんの購入時の個別元本<収益分配後の基準価額 なので、普通分配金となります。
 
普通分配金には20.315%の税金が掛かります。
 
全額が収益からの分配金なので、Aさんの個別元本は変わりません。    
 
Bさんの購入時の個別元本>収益分配後の基準価額 なので、特別分配金となります。
 
特別分配金は、利益がでて分配されたわけではないので税金は掛かりません。
 
Bさんの個別元本は、当初の個別元本-特別分配金の金額に修正されます。
 
このように分配金は1万口あたり○○円と設定されていますので、同じ口数を持っていればAさんとBさんは同じ金額を手にします(ただし、Aさんは課税されますので税金分は差し引かれます)。
 
ですが、購入時のタイミングによっては、Bさんのように元本から分配金を払い出すことになるので、いわゆる“タコ足分配”です。個別元本を下方修正されますので、その変動にも注意を払う必要があります。
 
2000年頃にグロソブ(グローバル・ソブリン・オープン)がはやりました。現在よりも投資になじみがなかった頃ですが、分配金を受け取れるのでシニア層に人気が高い商品として脚光を浴びました。退職金などのまとまったお金をつぎ込めば、後は毎月お小遣いが振り込まれる感覚だったと察します。
 
元本を減らすことなく毎月分配金を出し続けるなんて、夢のようなことはあり得ません。リーマンショック後の基準価額下落もあり、分配金が下がったことでブームは去りました。
 
分配金を維持するためには、それなりのリスクが伴います。基準価額の変動によって分配金の金額を相応の水準に変動させるタイプの商品もありますが、先月と同じ分配金が振り込まれたことで安心していると危険です。
 
先のAさんBさんではありませんが、その内容を精査することも必要です。分配金から税金が引かれなかったら、自分の持っている商品がどのような状況にあるのかを確かめておくべきです。
 
基準価額の動向などは簡単に調べることができます。自分の大事な資産なので、ほったらかしにせずマメに面倒をみることを忘れてはいけません。「気がつけば、元本が大きく減っていた」ということのないようにしたいものです。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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