更新日: 2024.10.22 NISA

NISAの成長投資枠で高配当銘柄での配当金獲得を考えています。毎月4万円くらいのお小遣いを目指したいのですが… <前編>

NISAの成長投資枠で高配当銘柄での配当金獲得を考えています。毎月4万円くらいのお小遣いを目指したいのですが… <前編>
リタイアしたAさんからの質問です。
 
「夫婦で480万円のNISA成長枠を使い、高配当株に投資を考えています。いくつかの個別株式を組み合わせて想定しましたが、年間40~50万円の目標には不足しています。課税口座も視野に入れたほうがいいですか?」
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

株式投資のリスク

高配当株式に投資して、配当金で生活している投資家による指南書が注目されています。“お金に働いてもらう”スタイルです。株式投資の利益には、キャピタルゲインとインカムゲインがあります。
 
値上がり益を追求するキャピタルゲインは、デイトレーダーのように短期売買で利益確定するようなイメージが先行しているのか、Aさんは配当金のインカムゲインを狙うのなら、投資初心者でも対応できると考えているようです。
 
Aさんは、「投資対象としてプライム市場に上場している高配当銘柄が候補です。このあたりの銘柄なら、リスクも少ないと思う」と意欲的です。そこで、一般的に高配当株式に投資する場合のリスクを押さえておきましょう。


(1)株価変動リスク
(2)配当金の減少リスク
(3)資金が特定の企業に集中してしまうリスク

このように、大きく3つのリスクが考えられます。以下で、詳しく見ていきましょう。
 

(1)株価変動リスク

これはいうまでもないことですが、株価は時々刻々と変動します。「毎年配当金が受け取れているし、業績も悪くないはず」と安心は禁物です。この夏にも、株価は乱高下しました。
 
下落局面で資金が必要になったら「待っていたら回復する」と思っても、損失覚悟で売却せざるを得ません。そのため、余裕資金で行うことが重要です。
 
また、長期の定期預金感覚で始めるのは危険です。期日が来たら元本が約束されている債券と違い、元本割れのリスクがあります。「気がついたら含み損が大きくなっていて塩漬け状態」となりかねませんので、株価の変動によっては売り時を見極めることも必要です。
 

(2)配当金の減少リスク

配当は、約束事項ではありません。1年間の経営内容に応じて決められるものなので、業績がよければ増配されることもあります。逆に業績が悪ければ、減配や無配ということもあり得ます。
 
筆者も「誠に申し訳ありませんが……」と、無配のお知らせを何度か受け取った経験があります。Aさんはお小遣いにしたいとのことですが、配当金をあてにして計画してしまうと、想定外の事態が起きる可能性にもあることは知っておいてほしいです。
 

(3)資金が特定の企業に集中してしまうリスク

個別株式は、銘柄によって株価が違います。100株単位で購入するとしても、例えばJTや日本製鉄などに投資するには30~40万円程度の資金が必要です。
 
特定の企業に、資金を集中させてしまうことになりかねません。リスクを減らすには、分散投資です。対象銘柄を増やすことに加えて、ひとつの銘柄を200株購入するのなら、購入時期を100株ずつ2回に分けるなどの工夫が大切です。
 

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配当利回りだけで判断は危険

「どの銘柄に投資する?」というときに、まず“配当利回り4%以上”などでスクリーニングする人は多いでしょう。ランキングされた銘柄のなかには、継続して高配当のものと株価が下がったためにランクインした銘柄が混在します。
 
「安定して配当利回りが高い」「経営方針を修正し、株主還元を手厚くした」「業績が悪化して株価が下がったので配当利回りがよくなった」など、数字だけで判断するのではなく、個々の状況を知ることが重要です。
 
高配当株の投資における、リスクや難しさを見てきました。決して、「やめておいたほうがいいです」と制止する気持ちはありません。ただ、簡単ではないということを伝えたいです。後編では、個別株式よりも簡単に投資できる投資信託やETFを使って、配当を得る方法について考えていきましょう。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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