NISAの成長投資枠で高配当銘柄での配当金獲得を考えています。毎月4万円くらいのお小遣いを目指したいのですが… <後編>

配信日: 2024.10.23

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NISAの成長投資枠で高配当銘柄での配当金獲得を考えています。毎月4万円くらいのお小遣いを目指したいのですが… <後編>
リタイアしたAさんからの質問です。
 
「夫婦で480万円のNISA成長枠を使い、高配当株に投資を考えています。いくつかの個別株式を組み合わせて想定しましたが、年間40~50万円の目標には不足しています。課税口座も視野に入れたほうがいいですか?」
 
<前編>では、高配当株式投資のリスクを確認しました。<後編>では、個別株式よりも少し簡単に投資できる投資信託やETFを使って、配当を得る方法について考えていきます。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

個別株式の難しさを投資信託で軽減

<前編>では、投資のリスクを確認しました。というのも、Aさんは高配当株式投資なら株価の変動に一喜一憂する心配はなく、長く保有することで配当を得続けることができると考えているように感じたからです。
 
個別株に投資する場合は、その企業の「経営理念が素晴らしいので応援したい」「業務内容に将来性を感じた」「もともとお気に入りの商品の会社」「株主優待が目当て」などの理由があるでしょう。配当金が主な目的で投資をするのなら、個別株式ではなく、投資信託やETFを利用することがお勧めです。
 
このところの株式市場を見ると、株価は大きく動いています。そのようななかで、「いつ買うの?」と購入のタイミングを計るのは、初心者でなくても難しいところです。NISAのつみたて枠を使った投資法は、購入時期を分散させることでメリットがあります。
 
投資信託を利用すれば、成長枠でもこの手法を使えます。毎月20万円ずつなど決まった金額で買い続けるスタンスを基本にして、同時進行で下落局面では増額する買い方なら、購入時期に迷うストレスは軽減されると考えられます。
 
また個別株の組み合わせでは、240万円の投資枠に当てはめることに苦労することもありますが、その心配がないのもメリットです。
 

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長期展望で投資を考える

NISAの成長投資枠で購入できる投資信託のなかには、高配当利回り株に特化したものがあります。配当利回りは、約束されたものではありません。
 
何かの事情で減配や無配になる可能性もありますが、投資信託なら組入銘柄の入れ替えや組入比率の調整といったリバランスを任せられます。「投資信託は手数料がかかるから」との声もありますが、個人的には“難しい判断はプロに任せてよいのでは”と考えます。
 
複数ある高配当利回りファンドのなかから、手数料・分配頻度・分配実績(配当利回りや安定性)・運用実績・組入銘柄などを比較して、自分にあったものを選ぶことが重要です。
 
さらに、高配当ETFという選択肢もあります。投資信託とETFの違いは、大きく3点あります。


(1)ETFは個別株式のように取引所に上場しているので、市場の動きを見てリアルタイムで取引ができます。投資信託のように、注文を出した時点では実際の取引価格が分からないという不安はありません。「この値段なら購入する」という指値注文も可能です。

(2)ETFのほうが、一般的な投資信託よりも手数料が安いです。長期で保有する前提なので、信託報酬は低く抑えたいところです。

(3)ETFの分配金は投資信託とは違い、自動的に再投資されません。再投資したい場合は、自分で買い付け作業をしなければなりません。今回の事例のように、分配金を出金してお小遣いにする場合は適しているかもしれません。

冒頭のAさんのご質問に戻ります。希望は「480万円の成長投資枠を使い、毎月4万円のお小遣いを目指したい」ということでした。
 
この目標設定はかなり高く、さすがのAさんも無理だと考えました。そこでNISA枠にとらわれず、課税口座も含め原資をつぎ込むことに至ったわけですが、急激な資金移動はお勧めしません。
 
約2割の税金がかかる課税口座を利用すると、より多くの資金がないと同額の分配金は手にできません。2~3年かけて地道にNISA口座に移動するほうが、購入時期を分散できます。リタイア後はお金を守ることも大切なので、長期展望での投資を心掛けてはいかがでしょうか。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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