更新日: 2024.10.30 その他資産運用
2024年4月に創設された金融経済教育推進機構。どんな事業を予定しているの?
J-FLECでは、ファイナンシャル・ウェルビーイング(Financial Well-being:経済的に幸せな状態)という価値観の下、国民にお金の知識を身に付けてもらうことで、国民が自分らしい生き方を実現できる社会を築き上げることを目的にしています。
今回は、J-FLECが予定している事業について見ていきたいと思います。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
J-FLECの主な事業
J-FLECでは、次のような事業を2024年8月から開始しました。
(1)講師派遣(出張授業)
全国の企業や学校・公民館などに講師を派遣し、無料で出張授業やオンラインを活用した授業などを実施しています。受講者は、金融経済に関するさまざまな内容を学習することができます。
例えば、小学校への出張授業としては、おこづかいの使い方やため方だけでなく、お金の流れ・トラブルなどの事例を扱った「おこづかいから学ぶお金の話」があります。
また、企業への出張授業では社会人を対象として、家計の現状把握に加えて、お金の専門家の活用を通じた将来設計・資産形成の考え方、社会保険と民間保険、各種ローン、金融トラブルの防止方法などを学ぶ「将来に向けて知っておきたいお金の話」など、さまざまな学習内容が想定されています。
(2)イベント・セミナー
J-FLECではお金の専門家を招き、社会人や経営者、教員などを対象に、イベントやセミナーを無料で開催しています。例えば、お金について学べる親子向けイベントや、家計管理・資産形成セミナーなどです。
(3)個別相談「J-FLEC はじめてのマネープラン」
家計管理や生活設計、資産形成など金融経済全般の内容について、相談者が当人の状況に応じたアドバイスをJ-FLEC認定アドバイザーから受けられる企画です。
なお「J-FLEC認定アドバイザー」は、特定の金融機関や金融商品に偏らない中立的な立場から、相談者や講義受講者に寄り添って、金融経済に関するアドバイスを提供する人材です。アドバイスに有益な資格を保有し、一定の業務経験を兼ね備えた人が認定され、公表されます。
現在「J-FLEC はじめてのマネープラン」では2つのキャンペーンが予定されています。一つは「無料体験」、もう一つは「割引クーポン」の用意です。
前者は、対面もしくはオンライン相談であれば最大1時間まで、電話相談の場合は最大30分まで、相談料が無料となる体験メニューです。後者は、ライフプランの作成や資産形成方法などについて、J-FLEC認定アドバイザーから詳細なアドバイスを受けたい個人の相談者を対象としています。
相談料が最大8割引き(最大8000円まで)となる電子クーポンが発行される予定であり、例えば1時間1万円の相談の場合、2000円の負担で受けられることになります。
(4)学習教材の無料提供
小学校から高等学校の教員向けに、新学習指導要領に対応した学習教材が、無料で提供されます。
(5)金融経済教育研究校の指定・支援
金融経済教育を研究・実施するため、各都道府県に所在する金融広報委員会と協力し、小学校から高等学校、特別支援学校などを、J-FLECが「金融経済教育研究校」として指定・支援をおこないます。
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まとめ
2022年4月より、全国の高校では金融経済教育が実施されています。それだけではなく、今年4月に創設されたJ-FLECの事業内容を見ると、金融リテラシーの向上を国民レベルで実現していこう、という意気込みが伺えます。
人生設計(ライフプラン)を考える上で、金融リテラシーを身に付けておくことは、とても有意義なことといえます。私たちは人生の節目ごとに、経済的な判断を下す場面に遭遇しますが、そのようなときに効果を発揮するのが金融リテラシーだからです。
J-FLECの創設は、今後、国民の金融リテラシーを向上させる上で、非常に重要な枠組みの一つになるのではないでしょうか。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 補足資料
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)