更新日: 2024.10.31 その他資産運用
民間の銀行が日銀にお金を預けるだけで、0.25%の利息が入ってくる!? 好転的な状況のなかで私たちがやるべきこととは
この件はすでに報道を通して広く周知されていますが、金利が上がれば家計がどうなるのかといった視点で取り扱われています。
確かに生活者目線では、その視点は重要ですが、NISA(少額投資非課税制度)を活用して投資を行っている人にとっては、今後どのように判断すればよいか、気になるところです。
そこで今回は、金融政策決定会合で決まった「あること」についてクローズアップしていきます。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
日銀は「いよいよ、大規模金融緩和政策を終わらせよう」と動き出した
日銀は毎回、金融政策決定会合で決まったことを資料として公表しています。
月30~31日の金融政策決定会合後の報道では、政策金利が0.25%に引き上げられたことと、国債の買入額を2026年3月までに3兆円程度にまで減額することが、クローズアップされています。
しかし筆者としては、「補完当座預金制度の適用利率」が0.25%に引き上げられたことに着目しています。
言葉が難しいので簡単に説明すると、民間の銀行が日銀にお金を預けるときの金利を0.25%に引き上げた、ということです。つまり、日銀は、民間の銀行から資金を吸収することで、事実上、マネーのフローを減らそうとしています。
これは市中に出し過ぎているお金を減らす動きですが、開催の前日に発表された「プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化」と合わせて見ると、事実上、本格的に金融緩和解除に向かい出したと捉える必要があります。
要するに、「これまでの大規模金融緩和政策はおおよそ終わらせ、これから金融政策を正常化していく」というメッセージとして受け止める必要があるということです。
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銀行は日銀にお金を預けるだけで収益性が高まる?
ここまで踏み込んだということは、日銀は、今の経済状況を必ずしも悪いものとは考えておらず、むしろ、今後よくなっていくだろうと考えていることになります。
生活者目線では「景気が回復している」とは思えないかもしれませんが、マクロ経済政策においては、日銀は「景気が緩やかに回復していくだろう」と判断しているということになり、投資家目線ではこれを好感する動きが今後出てくるでしょう。
特に注目したいのは、銀行や保険、証券、消費者金融などの金融セクターですが、株式投資をする場合、この業界に着目すると収益率を高く見込める可能性があります。
このようなことがいえる理由は、単純に金利が上がるからともいえますが、より重要な点は、前述した「補完当座預金制度の適用利率」が0.25%に引き上げられたことにあります。
これは、民間の銀行が日銀にお金を預けるだけで、0.25%の利息が支払われることを意味するため、これを見るだけでも銀行の収益性が向上することが分かります。このような銀行業界の動きにつられるように、他の金融セクター株が上がっていくという構図です。
まとめ
投資初心者向けに「長期投資でほったらかし」をすすめる向きがありますが、投資についてよく分からない、勉強する時間がない、詳しいところまでは興味がない……などの声に対応した動きであることは理解できます。
しかし、長期投資を行う場合、中央銀行の金融政策をある程度理解する必要があります。なぜならば、中央銀行の政策スパンは、通常、長期だからです。金融政策に関する情報を探る場合、直接、日銀などのホームページにアクセスし、発表される一次情報に目を通すことがベターといえます。
今回の話は、あまり報道に乗ってこない内容かと思われますが、この話を知っているのと知らないのとでは、投資をするうえで大きく結果が異なります。難しい話には、チャンスがあるものです。物事を表面で簡単に捉えるのではなく、少し深いところまで潜って考える、よい事例といえるでしょう。
出典
日本銀行 金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)